記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/7/13
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
肺がんの原因の8割以上が喫煙が関係している可能性が研究によって示唆されています。肺がんを発症する理由は他にもありますが(アスベストや食生活など)、喫煙が大きな要因であることは間違いない事実といえるでしょう。この記事では、喫煙と肺がんの関連性と喫煙による喫煙者本人と周囲の人へのリスクなどについてまとめました。
肺癌を示唆する症状には咳、喀血、赤褐色の痰、倦怠感、原因不明の体重減少、再発する呼吸器感染症、嗄声、喘鳴、そして息切れなどがあります。その他の変化として、繰り返す肺炎、胸や首周りのリンパ節の腫大が挙げられます。また、肺癌は他の部位に転移し多彩な症状を示します。
喫煙は肺癌のリスク因子の中で群を抜いてリスクが高いとされ、全症例数の85%以上のケースで喫煙が要因だと疑われています。また、たばこの煙はそれ自身が発がん性物質となって細胞を癌化させるといわれています。
受動喫煙にさらされている場合、さらされている煙の量が増えれば増えるほど健康へのリスクが高くなります。受動喫煙している人は、肺癌を発症するリスクが約20-30%増加すると推測され、幼少期に副流煙にさらされた量が多いと、後年肺癌を発症するリスクが高くなる可能性あるといわれています。たとえ窓を開けていても数時間は化学物質が大気中に残るため、家庭内のたばこの煙は特に有害とされるので、受動喫煙を避けたい場合は、たばこを吸う友人や家族に頼んで、家で喫煙をしないようにしてもらいましょう。
肺がん予防に大きな効果があるとされる方法は「禁煙」することです。禁煙すると肺がんのリスクが徐々に減少し始め、驚くべきことに禁煙してから10年経つと、リスクは喫煙を続けているひとの半分まで下がります。つまり、早く禁煙すればするほど予防効果が期待でき、たとえ何年も喫煙していたとしても禁煙に遅すぎることはありません。
「一人で禁煙するのは難しい」と感じる場合は禁煙をサポートしてもらえるかをかかりつけの医師に相談してみてください。医師はニコチン補充療法や処方薬についてアドバイスしてくれますし、禁煙治療を行っている他の機関を紹介してくれるかもしれません。このように、医療機関を利用することで禁煙の成功する可能性を高めることができます。加えて、地域の禁煙サポートグループや禁煙アドバイザーセンター、などにコンタクトを取り、気になるコミュニティに参加してみるのも良い方法でしょう。
禁煙は肺癌治療においても効果があるとされ、副作用も軽度になる可能性が示唆されています。さらに、手術が必要な場合にも治癒の可能性が高くなるといわれている他、いくつかのケースで、禁煙が新たながんを予防する可能性があるとわかっています。
上記で見てきたように、喫煙と肺がんには明らかな関連性があります。発症のリスクを減らすにはそもそも喫煙しないことが効果的ですが、すでに喫煙しているという人は「なるべく早く」禁煙しましょう。
また、たばこを吸うことは本人の肺がんリスクを増加させることはもちろん、受動喫煙によって周囲の人にも悪影響を与えていることになります。喫煙する場合は、喫煙スペースを利用する、室内ではたばこを吸わないなど、家族や周りの人への配慮を欠かさないようにしてください。