肺癌の原因について ― タバコを吸わなくても肺癌になるの?

2017/8/10

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

あなたはタバコを吸わないから、肺癌には縁がないと考えていますか? 肺癌は、さまざまな要因から発症する病気です。たとえあなたが喫煙をしないとしても肺癌になるリスクがないとはいえません。この記事では、肺癌の原因について解説します。

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肺癌の原因

肺癌の原因の多くはタバコであると考えられています。喫煙経験が全く無い人もタバコが原因(副流煙など)で肺がんになる可能性があります。もちろん、肺癌の原因はタバコ以外にも存在し、喫煙歴が全く無い人でも肺癌になることがあります。下記で肺がんの原因を紹介していきましょう。

喫煙

喫煙は、肺癌因子の中で群を抜いてリスクが高く、全症例数の実に85%以上のケースにおいて喫煙が原因となっているといわれています。タバコの煙には60以上の毒素が含まれており、これが癌の発症を導くとされ、これらは発癌性物質として知られています。例えば、1日25本タバコを吸った場合、非喫煙者と比べて肺がんを患う可能性は25倍となります。

タバコを吸うことは大きなリスク因子ではありますが、下記に挙げた別種のタバコ製品の使用も、肺癌やその他の癌(食道癌や口腔癌等)のリスクを増大すると考えられています。
・葉巻
・パイプタバコ
・噛みタバコ

禁煙するとリスクが減るか

禁煙する人は、喫煙を続ける場合に比べて肺がんのリスクが減少するものの、一度もタバコを吸ったことの無い人に比べるとリスクは高くなります。ただし、禁煙は、どの年齢で行っても、肺癌のリスクを減少させる効果があります。

受動喫煙

非喫煙者でも、喫煙者の副流煙に頻繁にさらされた場合は、肺癌のリスクが増大します。例えば、喫煙者のパートナーと住居を共有する非喫煙者の女性は、非喫煙者のパートナーと過ごしている非喫煙者の女性に比べて肺癌罹患率が25%上昇することが研究によって明らかにされました。

職業上の曝露や汚染

複数の職業や産業で特定の化学物質にさらされることが、肺癌のリスクを多少増加させているとされています。以下がこれに該当する化学物質です。
・ヒ素
・アスベスト
・ベリリウム
・カドミウム
・石炭
・二酸化珪素
・ニッケル
また、多量の煙霧に長年さらされ続けると肺癌のリスクが50%増大するといいます。また、窒素酸化物(車やその他の乗物から排出されたもの)の量が多い地域に住んでいる人は肺癌罹患率が30%ほど増加します。

胸部放射線治療

胸部に放射線治療を受けたことのある元がん患者は、肺癌を患うリスクが高くなるといわれています。

食生活

研究者らは、様々な食物や栄養補助食品が肺癌罹患率を変化させるかどうか調査していますが、未だ不明な点がたくさんあります。

肺癌は遺伝するのか

肺がんに1度かかったことがある人は、再発のリスクを持っています(喫煙者ともなればなおさらです)。またその人の親や兄弟、姉妹、子供などが肺がんにかかったことがある場合も、リスクはより高くなります。これは、かならずしも遺伝因子が原因という訳ではなく、家族全員が喫煙するからかもしれませんし、或いは全員が同じ環境(発がん性物質にさらされた環境)に住んでいることや同じ環境で仕事をしていることが原因などの環境因子が関係しているかもしれません。

おわりに:肺癌の原因を理解し、予防しよう

日本における肺癌の羅患率は、がんの中でも非常に高く、その死亡率も高くなっています。肺癌のリスクを軽減するための対策をとるようにしましょう。喫煙をしている人は、禁煙を検討することをおすすめします。長期間喫煙している人でも、禁煙の効果はあるとされているので、この機会に禁煙にチャレンジしてみてはいかがでしょうか?

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