末期がんと知ったときに何が必要?緩和ケアの注意点とは!?

2017/1/25 記事改定日: 2018/6/13
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末期がんになると様々な症状が現れます。ときにはひどい痛みに苦しむこともありますが、痛み止めや食事などはどのようにすればいいのでしょうか。
この記事では、末期がんの特徴や末期がんと宣告されたときに必要なもの、緩和ケアを受ける時の注意点について解説しています。

冷凍宅配食の「ナッシュ」
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末期がんの症状 ― 宣告されたときの心の準備

末期がんでは、全身に様々な症状が現れます。
腹腔内に広くがん細胞が播種している場合には腹水がたまり、水分が正常に排泄されないためにむくみが生じ、心臓や肺に水分が溜まるうっ血性心不全や肺水腫などを併発することも少なくありません。また、脳に転移がある場合には記憶障害やけいれんなどの精神症状が現れます。

大きくなったがんは非常に強い痛みを生じることが多く、痛み止めの麻薬が手放せない人もいます。体重は著しく低下する状態となり、免疫力が低下することで様々な感染症にかかる可能性が高くなります。

このように、末期がんは全身の機能が著しく低下し、高度な衰弱が見られます。
患者本人は末期がんの状態になると非常に強い痛みや迫りくる死の恐怖に耐えられず、家族に暴言を吐くことも少なくありません。患者本人はよりよく残りの時間を送れるように、積極的に緩和ケアを行うようにし、家族は患者の精神的な痛みを支えるように心がけましょう。

末期がんの治療 ― 緩和ケアとは?

平成24年6月閣議決定された「がん対策推進基本計画」では、「がんと診断されたときからの緩和ケアの推進」を重点的に取り組むべき課題として位置づけ、がん患者とその家族が可能な限り質の高い治療と療養生活を送れるように身体的症状の緩和、精神心理的な問題などの援助を終末期だけでなく、診断されたときから治療と同時に行われるべきだとしています。

がん対策推進基本計画

  • すべてのがん診療にかかわる医師が、緩和ケアについての基本的な知識・技術を習得する
  • 緩和ケアチームや緩和ケア外来などの専門的緩和ケアを提供する体制を整備する
  • 患者や家族の意向を踏まえ、住み慣れた地域での療養を選択できる体制を整備する

末期がんの緩和ケアはどこで受けられる?

緩和ケアは治療中の病院の緩和ケア病棟でも、自宅でも受けられます。 がん診療連携拠点病院および緩和ケア病棟がある施設は、それぞれ全国に約400施設あります。

ホスピス

ホスピスは、ターミナルケア(終末期ケア)を行う施設です。身体症状、心理的および精神的サポート、およびグリーフケア(身近な人との死別を経験し悲嘆に暮れる人をそばで支援する)といった治療を提供することができます。また、鍼治療やマッサージ、美術や音楽療法、美容といった補完的な治療など、幅広いサービスを提供することもできます。
ホスピスは、自宅やホスピス施設あるいは介護施設でも受けることができます。

末期がんのときの食事

末期がんでは、食欲不振が生じ体重が著しく低下することが多いです。このため、末期がんの食事は本人の希望を重視して食べたいものを選ぶようにしましょう。
しかし、消化しにくいものは避け、柔らかくあっさりしたメニューがおすすめです。
また、肝機能に異常がある場合にはタンパク質を避けるなど、がんの種類によってはよくないとされる食材もあるので、それらのものは避けるようにしましょう。

痛み止めはどのくらい使ってもいいの?

末期がんは非常に強い痛みが生じるため、一般的な鎮痛薬や医療用麻薬の「痛み止め」が使用されます。
基本的には痛み止めの薬は痛みを軽減するのに十分な量を使用してよいとされていますが、中には体質に合わないタイプのものを使いすぎることで思わぬ副作用に苦しめられることもあります。痛み止めが効きにくいと感じる場合には、別のタイプの痛み止めに変更する必要もありますので、主治医によく相談してみましょう。

おわりに:末期がんの症状は非常に苦しいもの。現実的な予後についても見つめなおそう

末期がんの症状は非常に苦しいものです。誰もが生きていたいでしょうし、生きていてほしいと思うでしょうが、現実的な予後を知り、今後の人生をより豊かに過ごしていくことも大切になってきます。
がん患者本人だけでなく、家族にも多くの覚悟や準備が必要になりますが、正解はひとつだけではありませんので、様々な選択肢を考慮しながら納得のいく治療をすすめていきましょう。

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