記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/7/26 記事改定日: 2018/4/5
記事改定回数:1回
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MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
「最近、咳が止まらない…熱はないけど風邪?」--その咳、夜寝る前にひどくなったりしていませんか?呼吸がしにくかったり、息苦しさを感じたりしていませんか?もしかしたら「喘息」の症状かもしれません。この記事では喘息の症状の特徴や、大人と子供の喘息の違いについて解説します。
「気管支喘息(以下、喘息)=子供の病気」と思っている方もいらっしゃいますが、喘息は大人になってから発症することもあります。特に40歳以降での発症者が多く、子供の頃の小児喘息が再発した場合もあれば、大人になってから初めて喘息が発覚するケースも少なくありません。
小児喘息のほとんどは、ダニやハウスダストなどが原因のアレルギー性のものですが、大人は約3割が非アレルギー性の喘息を起こす傾向にあります。特に仕事や家庭でのストレスが大きくなる40〜60代に発症が多く、風邪をこじらせたり、加齢による免疫力の低下がきっかけで発症するケースが多いです。
また、特に30〜40代には「アスピリン喘息」という喘息がよく見られます。アスピリン喘息とは、アスピリンなどの鎮痛薬の服薬後1時間くらいで誘発される喘息で、女性の発症率が高く、大人の喘息の10人に1人はこのアスピリン喘息に該当すると言われます。慢性鼻炎や副鼻腔炎の持病のある方は発症リスクが上がります。
「咳喘息」という、喘息の前段階の状態にいる大人も少なくありません。ヒューヒューといった喘息に特徴的な音はせず、痰がほとんど絡まない咳が1ヶ月以上続き、風邪薬などでは治らないのが特徴です。近年患者数は増加傾向にあり、そのまま本格的な喘息に移行するケースも見られます。
喘息は、おもにアレルギー反応によって気管支やそれより細い空気の通り道に炎症が起きることが原因で生じます。気道を覆う細胞は粘液をたくさん産生し、これにより気道が粘液で狭まったり溢れたりすると、下記のような症状が表れます。
咳は喘息の典型的な症状のひとつです。喘息による咳は夜間や早朝に悪化することが多いといわれています。
喘鳴(ぜいめい)とは、呼吸するときにヒューヒューという音が出ることです。空気の通り道が狭くなっていることによって生じる音です。
喘息になると、胸の上に何かが乗っかっているような圧迫感を感じることがあります。
喘息患者の中には、呼吸ができなかったり、息苦しさを感じたりする人がいます。肺から空気を取り込むことができないように感じるかもしれません。
すべての喘息患者に上記の症状が出るわけではありません。喘息を患っていてもまったく症状が出ない人もいれば、一見喘息とは無関係に思える、下記のような症状が出る人もいます。
・呼吸が速くなる
・疲労感
・運動が困難になる
・睡眠の質の低下
・集中力が散漫になる
・慢性的な咳
・首や胸の筋肉の締め付け感
・話がしにくい
・不安感や恐怖感
・顔が青白く汗ばんでいる
・唇や爪が青くなる
「初期兆候」とは、喘息発作の前もしくは発作直後に起きる症状のことで、喘息が悪化しているサインの可能性があります。下記の兆候がないかチェックしてみてください。
・頻繁な咳(特に夜間)
・息切れ
・運動時、非常に疲れる
・運動後の喘鳴や咳
・疲れている、調子が悪い
・肺機能の低下や変化
・風邪やアレルギーの兆候(くしゃみ、鼻水、咳、鼻づまり、喉の痛み、頭痛)
・眠れない
いずれも日常活動を止めるほど深刻なものではありませんが、こうした喘息のサインに気づくことが発作や悪化を防ぐことへとつながります。
喘息らしい症状が出たら、呼吸器科や呼吸器内科などの専門外来を受診してください。一般内科では、呼吸器疾患に対する的確な診断が難しい場合があります。
また、気管支喘息ではアレルギー検査が必要になるので、アレルギー科を受診してもOKです。
喘息の発作や症状を引き起こしたり、悪化させたりする原因にはさまざまなものがあります。一般的な原因としては下記のものが挙げられます。
・アレルゲン
ほこり、動物の毛、カビ、木や草花の花粉などです。
・刺激物
タバコの煙、大気汚染、職場の化学物質や作業場の粉塵、ヘアスプレーなどがこれに該当します。
・特定の医薬品
アスピリンやその他の非ステロイド性抗炎症薬や非選択性β遮断薬などが原因で喘息が表れることがあります。
・食品や飲料に含まれる亜硫酸塩
・風邪などのウイルスや細菌感染
ウイルスや細菌感染が喘息のきっかけになることがあります。また、細菌性副鼻腔感染が原因で喘息を発症する人もいます。
・運動などの身体活動(大人よりも子供の喘息で起こりやすい原因です)
喘息の症状は個人個人で差があるだけでなく、最初の発作から次の発作で症状が変化することがあり、「前回は軽度の発作だったのに、今回は重度の発作だった」というパターンもあります。また、喘息ではないのに発作が現れる人もいます。
喘息は発作は軽度であることが一般的ですが、軽度の喘息を放置して重症化すると、命にかかわることもあります。早期発見・早期治療が重要なので、もし咳や呼吸しづらいなどの発作や初期兆候が現れた場合は、病院で肺機能検査や病歴(症状の種類および頻度を含む)の確認など、必要な検査を受けてください。
ご自身に当てはまる症状はあったでしょうか。喘息の症状にはかなり個人差があるため、運動後の咳や慢性的な疲労感といったちょっとした症状も、もしかしたら喘息の可能性があります。喘息は子供も大人も発症することのある疾患であり、早期発見・早期治療が大切なので、「もしかしたら喘息かも?」と心配な方は一度病院で検査するようにしましょう。