痔を治療して排便時の苦痛とサヨナラ!~②病院での治療編~

2017/8/1

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

痔の重症度やタイプによっては、前回ご紹介したセルフケアで治療可能ですが、重度の痔や特殊な痔の場合、自宅治療ではなかなか治らないケースがあります。
今回の記事では、そういった痔の治療法について、病院で受けられる処置を中心にお伝えしていきます。

病院での治療が必要なケースは?

集中的な治療が必要かどうかは、痔が肛門管のどこにあるかによって変わってきます。肛門に近い場所に位置する肛門管の下部3分の1にある痔を外痔核、肛門管の上部3分の2にある痔を内痔核と言います。内痔核は痛みがありませんが、外痔核は痛みを伝える神経があるため、強い痛みが表れます。内痔核は治療しなくても治るケースが多いですが、外痔核は痛みもひどく自然治癒や市販薬での完治が難しいため、病院での治療が検討されます。

また、以下に該当する場合は、内痔核であっても病院治療の対象になります。
1週間以内に市販の薬で治らない
出血や痛みがひどい
・慢性的な痔
・取り除くのが困難な場所に痔がある

痔の治療法④:病院での処方薬

病院では、市販薬より強力な軟膏やクリームといった痔の治療薬を処方してもらえます。病院で処方される薬の種類としては、以下のものがあります。

コルチコステロイドクリーム

肛門や肛門周辺に重度の炎症がある場合、治療薬として病院でコルチコステロイドクリームが処方されることがあります。なお、コルチコステロイドクリームは1週間以上使用してはいけません。肛門周辺の皮膚をより薄くし、痔を悪化させる可能性があるからです。

局所麻酔薬

痛みを伴う痔の場合、病院では治療のために局所麻酔薬が処方されることがあります。ただ、局所麻酔薬も他の市販薬と同様、長期にわたって使用しないようにしましょう。肛門周辺の肌が刺激される恐れがあるためです。

下剤

痔の原因が便秘の場合、病院で下剤が処方されることがあります。

痔の治療法⑤:ゴム輪結紮(けっさつ)療法

肛門管の上部に痔核がある内痔核の場合、「ゴム輪結紮療法」による治療が行われることがあります。

ゴム輪結紮療法とは、痔の根元をきついゴムバンドで縛り、血液供給を遮断する治療法です。こうすることで、およそ1週間以内に痔をとることができます(粘液の排出が、痔が落ちたサインです)。

ゴム輪結紮療法は、多くの場合麻酔を必要としない日帰りの処置で、ほとんどの人は翌日から日常生活に戻ることができます。治療後数日は痛みや不快感を感じるかもしれませんが、鎮痛薬で十分対処可能です。

治療の直後のトイレでは出血が見られるかもしれませんが、これは正常です。鮮血や血の塊が大量に出る場合は、すぐに病院を受診してください。

痔の治療法⑥:注射(硬化療法)

肛門管の上部に痔核がある内痔核の場合、ゴム輪結紮療法のほかに「硬化療法」と呼ばれる治療が実施されることがあります。硬化療法とは、注射で化学溶液を直腸の血管に注入し、神経を麻痺させて痛みを緩和する治療法です。

硬化療法は痔の組織を硬化させるので、傷跡ができることがありますが、約4〜6週間後に痔のサイズは小さくしぼんでいきます。

注射当日の激しい運動は控えてください。しばらく軽度の痛みがあったり、少し出血したりすることがありますが、翌日には日常生活に戻ることができます。

痔の治療法⑦:電気療法

電気療法(別名:「電気凝固療法」)は、小さな痔がある人のための治療法です。治療では直腸鏡と呼ばれる装置を肛門内に挿入し、痔の位置を特定します。その後、痔の根元に置いた金属プローブに電流を流し、痔に供給する血液を濃くして痔を収縮させます。複数の痔の治療も可能です。

電気療法は、低電流であれば外来治療、高電流であれば全身麻酔や脊髄麻酔をして行います。治療中や治療後に軽い痛みを感じるかもしれませんが、それほど長く続かないことがほとんどです。治療後の副作用として直腸出血が起こることもありますが、これも短期間で終わるでしょう。

痔の治療法⑧:手術

ほとんどの痔は上記の方法で治療することができますが、手術が必要なケースもあります。手術は歯状線の下にできている痔に特に有効で、非外科的治療と異なり麻酔をして行います。

痔の手術にはさまざまな種類がありますが、痔を取り除くか、血液供給を減らして痔を収縮させる手術が一般的です。

おわりに:恥ずかしがらずに病院へ

「たかが痔で病院なんて大げさな気がする…」「痔だって言うのが恥ずかしい」といった理由で病院をなかなか受診できずにいる人もいるようですが、痔の治療のために病院に訪れる患者さんはたくさんいます。恥ずかしく思う必要はありません。

セルフケアでも痔が改善しない場合や、痔が日常生活に影響を及ぼしている場合は遠慮せずに病院を受診し、自分に適した治療法を見つけていってくださいね。一日も早く痛みと決別できることをお祈りしています!

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