ストレスによる頭痛の対処法について

2025/4/16

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

頭痛にはさまざまな原因があり、ストレスが頭痛を引き起こすことがあります。慢性的な頭痛や激しい頭痛がある場合は、まず医療機関を受診することをおすすめしますが、ストレスによる頭痛は日常生活でできる対処法で緩和できる場合があります。この記事では、ストレスによる頭痛の対処法について解説しています。

ストレスで頭痛が起こる理由

ストレスを感じると、体内でストレスホルモン(副腎皮質ホルモン)が分泌され、血圧が上昇します。血圧が上昇すると血管が収縮・拡張し、脳の血液量が増えます。この変化により頭痛が起こる可能性があります。また、ストレスを感じると、交感神経という緊張を促す自律神経が活発になり、頭部の筋肉を収縮させて頭を締め付けるようになり、頭痛が引き起こされることがあります。このようなストレスによる自律神経の乱れも頭痛の原因になる場合があります。なお、片頭痛や緊張型頭痛もストレスが原因で起こることがあります。

ストレスで頭痛になったときの対処法

ストレスによる頭痛は、以下の対処法で緩和する場合があります。

ツボ押し・マッサージ

ツボ押しやマッサージで筋肉の緊張を緩和することで、リラックスが促されます。また、ストレスを和らげるといわれているツボに「合谷(ごうこく)」と「神門(しんもん)」があり、これらを押すことがリラックスにつながる場合もあります。

合谷とは、手の甲側の人差し指の親指の骨の付け根の分かれ目にあるツボ(やや人差し指側)です。精神的緊張の緩和を促すといわれます。気持ちいい強さで片手ずつ20〜30回程度押してみてください。
神門は、小指側の手首の横ジワのくぼみにあるツボです。ストレスで乱れた自律神経の正常化を促すといわれています。少し強めに20〜30回程度を片手ずつ押してみてください。

漢方薬

漢方では、頭痛はストレスや過労で「血(けつ)」や「気」の巡りが悪くなったことで引き起こされると考えられています。頭痛によく用いられる漢方は「呉茱萸湯(ごしゅゆとう)」で、冷えを取り除くことで「血」や「気」の乱れを改善し、頭痛を鎮めるといわれています。

頭痛薬

ストレスによる頭痛は、頭痛薬で緩和できる場合があり、一般的な頭痛薬としては、ロキソプロフェンナトリウム(ロキソニン®など)のNSAIDs、アセトアミノフェンなどがあります。なお、片頭痛であればトリプタン製剤やエルゴタミン製剤、緊張型頭痛であればエチゾラム(デパス®など)などが処方されることがあります。

自分でできるストレスの対処法

ストレスとは、有害な状況に対して起こる体の反応です。危機を感じると体内で化学反応が起こり、脳が体の損傷を防ぐための行動を起こして体や神経が緊張している状態になり、その結果のひとつとして頭痛が現れることがあります。以下の方法でストレスを解消したり心身をリラックスさせることで、ストレスによる頭痛が緩和する可能性があります。

十分な睡眠をとる

睡眠不足は体のストレス反応をより強くしてしまうと考えられています。1日7~8時間を目安に、毎日十分な睡眠をとれるようにしましょう。毎晩同じ時間に就寝し、毎朝同じ時間に起床することを習慣づけることで、睡眠時間を確保しやすくなります。また、週末・祝日などのお休みの日に就寝時間・起床時間が変わると、睡眠のリズムが乱れたり、睡眠不足が起こりやすくなったりします。就寝時間・起床時間は、お休みの日でも変えないようにしてください。

適度な運動をする

エンドルフィンは多幸感・高揚感を促す脳内伝達物質であり、鎮痛作用もあるといわれています。適度な運動で体を動かすと、エンドルフィンの分泌が促され、ストレスホルモンが低下すると考えられています。運動することで気分が高まり、やる気も満ちてきて、ストレスも緩和されます。

姿勢を良くする

正しい姿勢で過ごすことは、体の負担や筋肉の緊張の軽減につながります。背すじを伸ばしてまっすぐ立ち、猫背にならないようにしましょう。また、パソコン作業をするときやスマホを見るとき、読書をするときは、できるだけ首を前に曲げないようにして、首(頭)〜背中〜骨盤までが一直線になる姿勢を保つよう心がけてください。

休憩・休息をとる

毎日の生活や仕事でやることが多くなると心身が常に緊張するようになり、筋肉も緊張しやすくなります。無理のない生活を過ごせるように、休憩・休息を意識的にとるようにしてください。定期的に「自分の時間」をつくり、忙しい状況やストレスの多い状況から少し離れることも大切です。仕事や家事などで忙しく時間がつくれない場合は、適切にタスク管理ができる環境を整えるようにしましょう。

親しい人と過ごす

家族や友達など「気のおけない親しい人」と同じ時間を過ごすことは、ストレスの軽減に役立つといわれています。いっしょにショッピングや映画を楽しんだり、レジャー施設に出かけたりするなどして、思いっきり楽しみましょう。特別なことをしなくても、悩みを相談したり、趣味の話を楽しんだりしても良いと思います。

ストレスについて書き出す

ストレスの原因について書き出すことが、ストレス解消に役立つ可能性があります。悩みやストレスを感じたときの出来事などを書き出し、どんな気持ちになったかについても書き出しましょう。1日に10~15分ほど書き出す時間を確保できるようにスケジュールを立てると、習慣化しやすくなります。このように書き出して記録することは、「何がストレスを引き起こしているか」「どれくらいのストレスを感じているか」を客観的に見直す機会になります。また、心に溜めていた自分の感情を書き出して表に出すこと自体が、ストレスの軽減に役立つ場合もあります。

「楽しい」ことに時間を使う

趣味・旅行・自然に触れる・動物と触れ合う・芸術鑑賞・芸術活動・ボランティア活動などのような、「楽しい」「癒やされる」と感じる時間を過ごすことは、リラックスにつながります。「他人が楽しい」かどうかではなく、「自分自身が楽しい・癒やされる」と感じることに時間を使うことが大切です。

おわりに:ストレスに対処して頭痛を防ごう

ストレスによる頭痛は、ツボ押しやマッサージ、頭痛薬や漢方薬、生活習慣の見直しやストレス対策などで緩和できる可能性があります。1人で過ごす時間を作ったり、楽しいと感じる時間を作っても良いでしょう。ただし、頭痛にはさまざまな原因があり、なかには専門的な治療が必要なものもあります。また、ストレス状態が長期間続くと、専門的な治療が必要な心の不調を引き起こすこともあります。頭痛が長期間続いていたり、がまんできないような頭痛を感じていたりする場合は、早めに医師に相談しましょう。

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