旅行前には注意したい、腸チフスの予防接種の効果と副作用

2017/3/10

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

腸チフスは、チフス菌による感染症で、発熱、頭痛、腹痛、食欲不振などの症状があらわれます。世界各地で腸チフスは蔓延していて、流行地域に訪れる際には予防接種が必要になります。

ここでは、旅行の際に注意したい腸チフスの情報と予防接種について説明していきます。

腸チフスの危険地域と予防接種

腸チフスの予防接種は、腸チフスが蔓延している国や地域を旅行する際に受けることを推奨されています。ただし日本での腸チフスのワクチンの製造を行っていないため、必要な際は個人の判断の上で、海外から輸入したワクチンをクリニックで接種することになり、そのさいは国の健康被害保証制度の適用外となります。以下の記事はそのことを念頭に参考としてください。

腸チフスになる危険性が高い地域

腸チフスは世界中にある病気ですが、衛生基準や食品衛生基準の低い地域ではより蔓延しやすくなっています。危険性の高い地域は以下のとおりです。

・インド亜大陸
・アフリカ
・南アジア、東南アジア
・南南米
・中東
・ヨーロッパ
・中央アメリカ

衛生基準や食品衛生基準の低い地域で、地元の人と生活する予定、またはその地域に長く滞在する場合は、予防接種が強く推奨されています。

インド、パキスタン、バングラデシュに訪れた際に腸チフスにかかっている人は多くみられます。したがって、これらの国を訪れる場合には予防接種を受けることが特に重要です。

腸チフスワクチン

主に以下の2種のワクチンが腸チフスの予防接種に使われています。

・Viワクチン:一度の注射で投与されます
・Ty21aワクチン:3つのカプセルを1日おきに服用することで投与されます

15歳以上の人は、腸チフスとA型肝炎の混合ワクチンの注射も利用することができます。A型肝炎に対するワクチンは1年間効力があり、腸チフスに対するワクチンは3年間効力があります。

ワクチンは身体を刺激し、抗体(感染症と闘うタンパク質)を生成することによってはたらきます。この抗体があることによって、チフス菌に感染した場合に病気になることを予防することができます。

しかしながら、100%有効な腸チフスワクチンはなく、外国で食べ物や飲み物を口にするときは常に用心が必要になります。

ViワクチンはTy21aワクチンよりも効果がありますが、Ty21aワクチンの投与には注射を使用しなくてよいため、Ty21aワクチンを好む人もいます。

Ty21aワクチンには腸チフス菌の生きたサンプルが含まれているため、HIVにかかっている人、化学療法などの特定の種類の治療を受けているなど、免疫系が弱い人には適していません。

6歳以下の子どもに対する投与は勧められていませんが、Viワクチンは2歳以上であれば子どもでも予防接種を受けることができます。

腸チフスワクチンは最低でも旅行の1ヶ月前に投与されることが望ましいですが、必要に応じて出発間近でも予防接種を受けることができます。

チフス菌に感染する可能性が高い場所にとどまり続ける場合は、3年ごとに予防接種の投与量を増やすことが推奨されています。

腸チフスワクチンの副作用

腸チフスワクチンを投与された後、注射を打った場所が硬くなったり、痛み、赤み、はれが生じることもあります。

およそ100人に1人の割合で、38度以上の高熱を経験する人もいます。

それほど一般的なものではありませんが、以下のような副作用が見られることもあります。

・腹痛
・頭痛
・体調不良
・下痢

どちらの腸チフスワクチンでも、深刻な副作用が出ることはめったにないようです。

おわりに:海外旅行の行き先に注意しましょう

海外に旅行の予定がある場合は、その地域が腸チフス流行地域ではないかを確認しましょう。

旅先で発症しても十分な治療が受けられる地域は多くはないため、出発前に予防接種をうけるようにしてください。

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