大人の喘息「成人発症喘息」の症状や原因について

2017/7/13

三上 貴浩 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 医学博士

三上 貴浩 先生

喘息と聞くと子供がかかる小児喘息のイメージが一般的かもしれませんが、実は大人になってから突如喘息を発症することもあります。この記事では、そんな大人の喘息について症状・原因・治療法をご紹介します。

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大人の喘息「成人発症喘息」とは?

喘息の兆候が現れた場合や20歳以上の大人が喘息と診断された場合を、「成人発症喘息」と言います。職場で触れた刺激物に起因するもの(職業性喘息)や、家の環境によって起こるものもあり、症状が突然表れることが特徴とされています。

主な症状

代表的な症状としては以下のようなものがあります。
・息切れがする
・頻繁に咳をする、特に夜間酷い咳をする
・息をするたびにヒューヒューという喘鳴(ぜんめい)がする
・呼吸がしにくい
・胸が苦しくなる

大人が喘息になる原因とは?

子供のころに喘息持ちで無かった場合でも、大人になってから喘息を発症するのはなぜでしょうか。ここでは、その原因について見ていきます。

喫煙、アレルギー、職場環境など・・・要因は多様

大人が喘息になる大きな要因のひとつは喫煙をしていることです。喫煙は体のあらゆる器官に害を及ぼしますが、中でも肺機能に対しては特にひどいダメージを与えます。例えば、自身は非喫煙者でも、タバコの煙にさらされる環境にいる(受動喫煙)場合は喘息発症のリスクが高まります。さらに、カビ、ほこり、羽毛の寝具、香水などの環境刺激物やアレルギーも、「成人発症喘息」の原因となります。その中でも、職場に起因するものによって起きた喘息を職業性喘息と呼ばれます。

このような場合も注意!

上記に挙げた原因以外にも、以下のような状態になると成人発症喘息にかかるリスクが通常より高くなると考えられています。

・妊娠中や閉経中などのホルモン変化を受けている女性
・閉経後10年以上エストロゲンを摂取している女性
・風邪やインフルエンザなど、特定のウイルスや病気にかかっている
・アレルギーのある人(特に猫に対するアレルギー)
・胃食道逆流性疾患(慢性的な逆流性の胸焼けの一種)にかかっている

大人の喘息「成人発症喘息」の治療法について

喘息は完治するのは難しいですが、日常生活に支障が出ない程度に症状を管理することはできます
そのためには喘息の薬剤を用いる方法が一般的です。薬剤は、定量吸入器、ドライパウダー吸入器、喘息ネブライザーなどで吸引する方法と、経口薬剤(錠剤や液体)を服用する方法があります。また、治療中は喘息の誘因となるものを避け、毎日の症状を観察しながら、処方された通りに薬剤をきちんと使用することが大切です。

抗炎症薬

これは多くの喘息の人にとって特に重要となる薬剤です。気道内の腫れを抑えて痰を減らす作用を持つ「吸入ステロイド」などが代表的な抗炎症薬になります。薬剤の作用により気道の炎症が軽減されることで空気の流れも良くなり、気道の過度の反応や損傷も抑えられるため、喘息の発作が少なくなります。また、突発的な発作への対処にも効果を発揮します。こうした薬剤は毎日使用する必要があり、喘息を管理し始められるようになるまでには6~7週間程の期間が必要です。

気管支拡張薬

気管支拡張薬は気管支の筋肉(平滑筋)を緩め、気道を開きやすくする作用があります。その結果、空気が肺に出入りしやすくなり、呼吸も改善されやすくなります。また、気道が開くことで痰が動きやすくなるので、咳とともに痰が外に出やすくなる効果も期待できます。

おわりに:大人も喘息には要注意

子供だけではなく、成人してからも喘息になることがあります。喘息になった場合はすぐに病院へ行き、医師の指示を仰ぎましょう。また、治療中は喘息の原因となるものを避け、医師に処方された通りに薬剤を使用してください。

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