記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/8/1 記事改定日: 2018/5/11
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
痔の治療を考えたとき、恥ずかしさや不安から抵抗を感じる人も少ないないでしょう。
この記事では、痔の治療への不安を解消するために、痔の治療方法について紹介しています。
自宅での対処法やケア方法についても触れているので、参考にしてください。
病院で行われる痔の治療には、以下のものがあります。
ゴム輪結紮療法は、内痔核の出血または脱出を治療するための治療方法です。痔核の根元を特別なゴムバンドで縛ることで、血液の供給を止めます。バンドで締めつけられた痔の部分は萎縮し、ほとんどの場合1週間以内に落ち、残った部分に瘢痕(はんこん)組織できます。
治療後、ほとんどのケースで痔が小さくなるといわれています。
内痔核に溶液を注入すると、瘢痕組織ができます。瘢痕組織により血液供給が遮断され、痔が収縮していきます。
内痔核に赤外線を照射する治療法です。赤外線で発生する熱は、瘢痕組織を形成して血液供給を遮断し、痔を収縮させます。
内痔核に電流を送る治療法です。電流によって瘢痕組織が形成され、血液供給を遮断し、痔を収縮させます。
大きな外痔核や他の治療に反応しない脱出している内痔核を取り除くために、痔核切除術を行う場合があります。
PPH法(つり上げ法)とも言います。特殊なステープリングツールを使って内痔核を取り除いたり、脱出している内痔核を肛門内に戻したりすることがあります。
痔は肛門科や肛門外科で治療するのが一般的ですが、近くにこれらの診療科がない場合は、消化器外科などに受診するのがよいでしょう。また、かかりつけの病院で相談するのもおすすめです。痔の多くは手術による治療は必要とせず、専門科以外でも薬によって治ることも多々あります。
また、女性の場合では痔の相談や診察を受けるのに抵抗がある人もいるでしょう。女性の場合には産婦人科で治療を受けることもできますが、最近では女性専門の肛門科も増えています。痔に悩んでいる女性も恥ずかしがらずに早めに受診し、適切な治療を行うようにしましょう。
軽い症状の痔であれば、以下のような自宅でのケアで治ることもあります。
ただし、何度も繰り返す場合や長期間続いている場合、痛みや出血がひどく日常生活に支障をきたしている場合は、早めに病院を受診しましょう。
市販の痔のクリームや軟膏を塗るか、坐薬(直腸内に挿入する薬)を使用すると、軽度の痛み、腫れ、外痔核のかゆみを和らげることができます。
痔が肛門の外側や肛門周囲など手の届く部位にできている場合には、直接痔に塗れる軟膏がおすすめです。
市販されている軟膏には、プリザエースやボラギノール®、プリザSなどがあり、含まれる成分は消炎鎮痛剤やかゆみ止め、ステロイド、麻酔成分など商品によって違いがあります。
基本的には使ってみて相性がいいものを選んでかまいませんが、痔は過度な刺激が加わると症状が悪化することがあるため、塗るときにはなるべく優しく、痔を刺激しないようにしましょう。また、不潔な手で塗ると痔に細菌感染が起こる恐れもありますので、塗る前には手をしっかり洗い可能な限りアルコールで手指消毒をしてから行うようにしましょう。
痔が肛門の内部にあり、手が届かない場合には注入軟膏がおすすめです。成分は通常の軟膏と同様のため、肛門の外側にある痔にも使用することができます。注入軟膏は使い捨てのため、指を使わずに塗ることができるので刺激よる悪化や感染の危険性が低くなります。
市販されている注入軟膏はプリザエース注入軟膏、ボラギノール®注入軟膏などがあります。これらを使用する場合、肛門の内側にある痔には容器の一部を肛門に挿入して薬剤を注入しますが、肛門直上に痔がある場合は容器で痔を傷つけてしまうこともあります。使うときにはゆっくりと挿入し、痛みを感じたときはすぐに挿入を中止しましょう。
肛門の内部にある痔には、座薬が有効です。座薬は肛門に挿入し、有効成分が痔に直接作用します。
市販のものには、プリザエース座薬やボラギノール®座薬、Vザックエースなどがありますが、座薬も軟膏と同様の成分が含まれています。
座薬は固形物を肛門内に挿入するため、肛門より内側に裂肛が原因の傷がある場合には、挿入時の刺激で痛みを感じたり、粘膜の損傷部分が悪化することがあります。このため、出血がひどい場合や痛みが強い場合には自己判断で使用するのはおすすめできません。
市販薬を使って次のようなことがあった場合、医師に見てもらったほうがよいでしょう。
また、脱出した内痔核は、治療をしなくても治ることが多いといわれていますが、ひどく脱出した内痔核や出血を伴う内痔核、発熱がありズキズキとした痛みがある場合は病院での治療が必要な可能性があるので、すぐに病院を受診しましょう。
痔は市販薬も多く販売されているので、一時的な処置がしやすく、自宅での治療が可能とされている病気です。また、生活習慣を改善し便秘や下痢にならないようにすることで治癒や予防できるとされているので、薬や医師に頼らなくてもいいように、ふだんから気をつけておきましょう。
しかし、悪化したものは自然治癒が難しく、悪化した状態で治療を開始しても治癒までに長い期間が必要になる可能性があります。長患いしているものや痛みが強いもの、何度も繰り返すものについては、早めに病院に相談しましょう。