記事監修医師
前田 裕斗 先生
2017/8/1 記事改定日: 2018/3/29
記事改定回数:1回
記事監修医師
前田 裕斗 先生
ストレスをうまくコントロールしたり、適度に解消したりすることが、健康的な生活を送る上では大切です。そのためには、健康的な食事を心がけて免疫力を高めるとともに、ストレスの影響を少なくするための工夫も必要になります。この記事では、ストレスの緩和に役立つ食べ物についてご紹介します。
ストレスが溜まりすぎて、自分でうまくコントロールできなくなったとき、ジャンクフードでお腹を満たしたり、早食いしたりして解消したくなるものです。しかし、神経が擦り減ってストレスが溜まっているときこそ、体にはいつも以上にたくさんのビタミンやミネラルが必要です。
以下に、ストレスに効く食べ物をご紹介します。
炭水化物は、脳にセロトニンの生成を促します。安定してセロトニンを生成するためには、消化に時間がかかる複合糖質を食べるのがおすすめです。複合糖質は血糖値を安定させ、心の落ち着きを感じさせるはたらきがあります。
本来、健康のためにはお菓子やジュースといった単純糖質は避けたほうがよいと言われていますが、単純糖質にはセロトニンを急増するはたらきがあるため、ほどほどであればストレスの緩和によいと言われています。
ただし、単純糖質はすぐに消化されて長持ちはしないので、摂りすぎないようにしてください。
マグネシウムが不足すると、頭痛や疲労が出てきてストレスの影響がさらにひどくなってしまう恐れがあります。豊富なマグネシウム源のひとつとして、ほうれん草がおすすめです。マグネシウムは人を落ち着かせたり、ストレスを下げる働きがあります。
ほうれん草が好きでない場合は、ブロッコリーや調理済みの大豆やサケなども試してみてください。このような食べ物にもマグネシウムがたくさん含まれています。
セロリやニンジンなどの生野菜にもストレスを和らげるはたらきのある栄養素が豊富です。また、スティック状にして食べると、歯を食いしばってしまうストレス症状も予防できるでしょう。
ストレスがあると、体内のビタミンCが減っていきます。ビタミンCは体内で作り出すことができないため、食べ物で摂取することが必要です。
オレンジに豊富に含まれるビタミンCは、ストレスホルモンの値を抑えると同時に、免疫力を強化する働きがあると言われています。ある研究によると、高血圧の人がストレスのかかる仕事をする前にビタミンCを摂取したところ、血圧とコルチゾール値がより早く正常値に戻ったことが報告されています。
バナナには、緊張をほぐす作用があるとされるカリウムを多く含んでいます。また、セロトニン(気分が良くなるホルモン)とメラトニン(眠気を誘発するホルモン)のバランスを整えるアミノ酸やトリプトファンも豊富なため、心身のリラックス効果が期待できます。
サケやマグロといった魚に含まれているオメガ3脂肪酸は、ストレスホルモンの増加を防ぐと言われています。また、アドレナリンの分泌を抑えて、ストレスが原因で発症する心臓病の予防にも効果があるとされています。また、オメガ3脂肪酸はうつ、月経前症候群(PMS)の予防効果も期待できます。
オメガ3脂肪酸を安定して摂取するためには、こうした魚を週に2回ぐらい、100g以上食べるとよいでしょう。
ナッツには、セロトニンの分泌を促すトリプトファンが豊富なだけでなく、ビタミンB、ビタミンE、マグネシウム、亜鉛も豊富に含まれています。
ピスタチオやその他のナッツ類に含まれる脂肪には、健康効果があると言われています。ピスタチオやクルミ、アーモンドを毎日一握り食べることで、コレステロール値の低下、心臓病や糖尿病の予防、ストレス軽減の効果が期待できます。
また、アーモンドには、免疫系を強化するビタミンEや、ストレスやうつが続いているときに、より早く回復できるようにする可能性のあるビタミンBなど、健康に役に立つビタミンが豊富に含まれています。
ただし、ナッツはカロリーが高いのであまり食べ過ぎないようにしましょう。
ストレスを和らげる効果がある飲み物として、紅茶や牛乳があります。
紅茶を飲むと、ストレス状態からの回復が早くなる可能性があると言われています。ある研究によると、6週間毎日紅茶を4杯飲んだ人と、別のものを飲んだ人を比較したところ、紅茶を飲んだ人のほうが気持ちが落ち着きやすく、ストレスが溜まった状態の後でもストレスホルモンであるコルチゾールの値がより低くなっていたということが報告されています。
就寝時のストレスを和らげる飲みものとして、コップ1杯のホットミルクが挙げられます。ある研究では、カルシウムがPMS(月経前症候群)に関連する不安や気分変動を和らげることが明らかになっています。このため、多くの栄養士がスキムミルクや低脂肪乳を飲むことを勧めています。
ストレスに効果的なハーブサプリメントとして、よく研究されているもののひとつがセイヨウオトギリです。軽度から中程度のうつを抱えている人に効果があるとされ、不安やPMSの緩和にも効果があると言われています。
また、検証が十分ではないものの、カノコソウにはリラックス作用があると言われています。すでにサプリメントを服用している場合は医師に伝え、飲み合わせの問題が起きないか確認してから飲むようにしましょう。
加工食品やファストフードの摂取はストレス緩和に適していません。また、乳製品の食べ過ぎにも気をつけてください(1日に2~3人分の乳製品を食べてはいけません)。
また、アルコールやカフェインなどの刺激物や、清涼飲料水も摂り過ぎないよう気をつけてください。
ここまでストレス解消に役立つ食べ物や飲み物を中心に紹介してきましたが、ストレス解消法としてもうひとつ欠かせないのが運動です。適度な運動は、ストレス解消につながるだけでなく、食べ過ぎによる肥満を防いだり、体内の血液循環を促したりする効果があります。健康的な生活習慣を確立させて、ストレスをうまくコントロールしていきましょう。