ストレスとうつ 〜 自発的治癒力を鍛えうつを予防しよう ~

2017/7/19

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

ストレスは悪い影響を与えるばかりではありません。ストレスは、用心深さを養ったり、モチベーションを保ったり、危険に対応できる心構えをするのに役立ちます。しかし、ストレスが多すぎる状態になると、心身に不調をきたし大うつ病につながる可能性があります。今回の記事では、ストレスとうつの関係について説明します。

ストレスとうつの関係

ストレスは、介護や仕事によるストレスのように慢性的に続きうるものや、失業、愛する人の死といった急なものなど様々ですが、どちらもうつ病につながる可能性があります。どちらのタイプのストレスも、体のストレス反応のメカニズムが過剰反応していることによって起こります。過剰なストレス反応が遮断できなかったり、リセットできなかったりすると、うつ病を発症する可能性があります。

自発的治癒力を鍛え、うつのリスクを抑える

うつ病にかかった場合は、体のストレス反応を変化させるようなライフスタイルに変えることで、うつ病の再発を防ぐことができる可能性があります。つまりストレスに対する対応をうまくできるようにするということです。失業などの慢性的なストレスを抱えているとき、特に重要です。以下の方法をとることで、ストレスレベルを下げたり、自発的治癒力を高める対策をとり、うつのリスクを抑えるようにしましょう。

1.運動する

専門家は、週に5日、30分間のウォーキングやスイミングなどの適度な運動を勧めています。運動すると気分を高揚させたり、ストレスを抑える効果があるエンドルフィンといったホルモンや神経伝達物質といった化学物質を体内に作り出す効果が期待できます。

2.強く支えあうコミュニティへの参加

孤立はうつのリスク要因であり、コミュニティは不幸な出来事による影響から人を守ります。ただし、悲観的で批判的な人間関係はうつにとって有害とされているので注意しましょう。

3.ヨガ、瞑想、祈り、心理療法

研究によって、こうした習慣が有益で、脳の回路を再訓練するのに役立つ可能性があることが明らかになっています。こうした習慣は感情面の脳内回路によい影響を与えると考えられています。

4.よく食べ、アルコールを飲みすぎない

ストレスを抱えている人はお酒を飲みすぎてしまう可能性があります。アルコールは気持ちを落ち着かせることで知られていますが、飲みすぎないように注意しましょう。

5.自分のための時間を作る

独創的な研究や趣味に没頭できるよう、休憩を予定の中にうまく組み込んでみてください。現代のイライラするようなマルチタスクの生活にストレスを感じることも多いでしょう。10日間の長期休暇は、ストレスを減らすうえでとてもメリットがあることが明らかになっています。可能であれば、ちょっとした休暇を予定に組み込んでみましょう。

6.睡眠

残業をしている人や、家庭と仕事を慌しくしている人は、8時間ゆったりと眠れないかもしれませんが、なるべく睡眠を取るようにしましょう。

7.認知行動療法

このタイプの療法は、さまざまな出来事を前向きな意味合いに再構成するのに役立ちます。否定的な態度や心配性の傾向があると、ストレスの影響を増幅させる可能性があります。うつの一部は、体質、現在の環境、そしてうつに至った初期の環境によるものです。うつに悩む人は、自分自身を責めないことが回復のために重要になります。もしうつになったら、ひとりで克服しようとせず、助けを求めるようにしましょう。

おわりに:ストレスが健康にどう影響を及ぼすのか

ストレスはまた、感情的な問題、うつ、パニック発作、またはその他の不安および心配につながる可能性があります。しかし、人生でストレスを感じることは少なからずあるものです。むしろ、ストレスがあることは正常なことであり、ストレスの原因はコントロールできないことの方が多いのではないでしょうか。健康のために大切なことは、ストレスにうまく対処することです。もし、ストレスが健康に影響を与えていると思うなら、医師に相談する事をおすすめします。医師による適切な治療とアドバイスは、体と心に良い変化をもたらしてくれるでしょう。

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