若い女性の間で増えてきている子宮内膜がん
2017/3/14
女性のからだは、妊娠するという男性にない特有のからだの構造をもっており「子宮内膜がん」は女性特有のがんのひとつです。その多くは高齢になるほど発症リスクが高くなりますが、最近では若い女性にもみられるようになっています。
子宮内膜がんとは?
子宮内膜がん(子宮体がん)は、子宮内膜のがんです。子宮内膜は卵巣からのホルモンの作用で肥厚し、妊娠しないと剥離して月経となって体外へ排出されます。この子宮内膜にできるがんを子宮内膜がんといいます。早期に発見された場合はほとんど治療ができます。子宮内膜がんの症状は、腟からの不正出血です。
子宮内膜がんの危険因子
・体重過多
・高血圧
・糖尿病
・12歳未満での初潮
・50歳以降の閉経
一度も妊娠していない女性や、タモキシフェンという薬を使用していることも高リスクとなります。体内に高濃度の卵胞ホルモン(エストロゲン)があると、さらに大きなリスクとなります。また、女性ホルモン補充療法(HRT)はエストロゲンと黄体ホルモン(プロゲスチン)の組み合わせで行われますが、プロゲスチンを服用せずにHRTを行うとリスクは高まります。
子宮内膜がんはどのように診断されるのでしょう?
子宮内膜がんは、以下の検査で診断されます。
子宮内膜生検
細い管を子宮内に挿入し、子宮壁から少量の組織を採取してがん性または前がん性の細胞の有無について検査されます。検査結果は、数分で判明します。
子宮頸管拡張および掻爬術(D&C)
子宮壁の掻爬(そうは)および吸引を行って組織採取をするために器具を使用します。
D&Cは外来で行いますが、全身麻酔が必要です。検査には約1時間かかります。
画像検査
核磁気共鳴画像(MRI)、コンピュータ断層撮影(CT)、または超音波(エコー)などの画像検査を行います。
子宮内膜がんはどのように治療されますか?
治療は、がんの広がりに応じて放射線治療、化学療法(抗がん剤治療)、ホルモン療法を組み合わせて行います。子宮を残す治療が可能なのは早期がんに限られます。それ以外は、子宮、卵管および卵巣を除去する手術となります。
子宮内膜がんのステージ分類
子宮内膜がんのステージは以下のように4期に分けられ、がんの大きさだけでなく子宮筋層内にどの程度深く入っているか、リンパ節転移や肺などへの遠隔転移があるかどうかで分類されています。5年生存率は、I期87% II期76% III期 51% IV期 19%とステージがあがるにつれて低くなっています。
I期:がんが子宮体部にのみ認められるもの(子宮頸部、その他にがんは認められない)
II期:がんが子宮体部を越えて子宮頸部に広がったもの(がんは子宮の外に出ていない)
III期:がんが子宮外に広がっているが骨盤を越えて外には広がっていない、または骨盤内あるいは大動脈周囲のリンパ節に転移を認めるもの
IV期:がんが骨盤を越えて別の部位へ広がるか、膀胱あるいは腸の粘膜を侵すか、あるいは遠隔転移のあるもの
おわりに
年齢に関係なく女性特有のからだの機能を失うことは、特に妊娠適齢期の女性にとっては悲しいことです。しかし早期に診断され治療を受ければ機能を温存することもできます。生理ではないのに出血が続いたときには、恥ずかしがらずに医師に相談してください。