ストレスの対処法~ストレスを知りうまく付き合う~

2017/7/18

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

ストレスは誰もが感じるものです。では、ストレスとは一体何であり、どのように健康に影響を与えるのでしょうか? そしてストレスは、どう対処をすることができるのでしょうか? 今回の記事ではストレスについて学び、ストレスを対処する方法をご紹介します。

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ストレスについて知っておくべき3つのこと

ストレスは、心身に悪影響を及ぼす前に対処することが重要であり、ストレスに対処するには、まずはストレスについて知る必要があります。以下の3つの項目でストレスについて知りましょう。

1.誰もがストレスを抱えている

誰もがストレスを抱えているということ事を常に忘れないようにしましょう。ストレスから回復するスピードには個人差がありますが、日常生活の中でストレスに感じるということはあたりまえのことです。ストレスを感じた場合は、ストレスとうまく付き合い溜め込まないように工夫して、ストレスから早く回復できるように心がけましょう。

また、精神的、または肉体的なリスクを起こす可能性があるストレッサー(ストレスの原因となるもの)にもは様々な種類があります。下記に代表的な例を紹介します。
・仕事、学校、家族、日常生活における責任などの日常的なストレス
・失業、離婚、病気などの急なネガティブな生活の変化
・大事故、戦争、暴行、自分や他の人が大怪我を追ったり、死者がでるほどの災害の経験、トラウマになっているストレスを抱えた過去の出来事

2.すべてのストレスが悪というわけではない

新しい仕事の試験や面接を受ける前に準備をしたり、準備どおりに行動しようとすることも、ストレスがあるからできることです。また、ストレスは状況によって人命を救うことにも役立ちます。危険なことに直面すると、自分の命を守るために、脈拍が早まり、呼吸が速くなり、筋肉が緊張し、脳はより多くの酸素を消費し、活動性を高めます。その後、脅威に立ち向かうか安全に逃げるかを判断し、その準備に入るでしょう。危険というストレスを感じなければ、このような身を守る行動ができなくなってしまいます。

3.長期間のストレスは、健康に害を及ぼす

長期的にストレスがかかっている状態が続くと、免疫、消化、睡眠、生殖器などに正常に機能しなくなってしまう可能性があります。ストレスによって表れる症状には個人差があり、例えば消化器系で症状がでる人もいれば、頭痛、不眠、悲しみ、怒りや苛立ちといった形で症状が出る人もいます。また、慢性のストレスで免疫系に異常が出ると、インフルエンザや風邪など、ウイルスや菌に感染する確立が高くなる傾向があります。

そして、慢性的なストレスがさらに積み重なることによって、心臓病、高血圧、糖尿病などの重大な病気や、うつ病や不安神経症などの精神障害につながる可能性があります。特に日常的なストレスは自覚しにくく、長期間溜め込み慢性化しやすいため注意するようにしましょう。

ストレスの対処法

ストレスの影響は、時間の経過とともに蓄積されていく傾向にあります。ストレスをコントロールやストレスを防ぐためには、いくつか実践的な対処法がありますので、代表的なものをご紹介しましょう。

体のストレスに対する反応のサインに気づく

ストレスのサインには、不眠やアルコールや喫煙量の増加、短気、落ち込みやすい、気力がないなどがあります。

医師や専門家に相談する

今あるストレスや新しいストレスに対処するために、適切な処置を受けましょう。

定期的に運動する

1日30分間歩くだけで、気分が高揚し、ストレスが軽減するといわれています。

リラックスできることに取り組む

ヨガ、太極拳などの適度な運動やリラックスするための活動を日常生活に取り入れましょう。これらのリラックス法は、他の治療と併用可能なものもあります。

サポートを得られる人と繋がっておく

ストレスを減らすためには、友達、家族、または同じコミュニティーに属している人に助けを求めましょう。

ストレスでいっぱいいっぱいになったら専門家に助けを求める

自殺願望に駆られたり、頭がいっぱいいっぱいになったり、1人では乗り越えられないと感じたり、アルコールや薬物に依存している場合は、至急、助けを求めることが重要です。

職場でのストレス

病気になってしまうほどのストレスを仕事から受けているという人は少なくありません。ストレス、不安神経症、うつを含めた心理学的な問題は、診察理由のトップ5に挙げられているほどです。仕事を通して感じるプレッシャーは、モチベーションの向上のようなメリットにもなりますが、過度になると様々な拒絶反応が症状として表れます。ストレスの症状の代表的なものとして、脈拍数の上昇や動悸、口の乾燥、頭痛、奇妙な痛み、食欲不振などが挙げられます。

職場でのストレスの対処法

健康のためには、職場でのストレスマネジメントは非常に重要です。以下に職場でのストレスの対処法をご紹介します。

断る勇気を持つ

職場でのストレスコントロールのために大切なスキルの一つは、「いいえ」ということです。上司に対して全て「はい」と答えることは、手っ取り早く評価を得られるものの、仕事を抱えこみ過ぎる要因になります。また、失敗するようなことがあれば、さらに大きなストレスとなる可能性があるでしょう。自分が「いいえ」と判断するのであれば、自信を持って断ることも大切です。

正々堂々と意見を述べる

仕事を引き受ける量をコントロールすることよって、過度に疲労することを防ぐことができます。非常に忙しい状態なのに、上司に仕事を頼まれた場合でも、もし非常に忙しい状態であるなら、断るようにしてください。断っても納得してもらえない場合は、理由を具体的に説明し、解決策を提示するようにしましょう。

おわりに:ストレスをうまく対処しよう

ストレスはすべての欲求に対する脳や体の反応であり、運動、仕事、学校、人生の大きな転機、トラウマとなる出来事すべての種類の欲求やストレッサーは、ストレスに繋がります。そして、ストレスは健康に影響を与えます。たとえ小さなストレスであっても、過度に溜め込まないようにするために、常に注意するようにしましょう。

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