記事監修医師
産業医科大学第1外科
佐藤 典宏 先生
2017/2/21 記事改定日: 2018/7/3
記事改定回数:1回
記事監修医師
産業医科大学第1外科
佐藤 典宏 先生
熱帯・亜熱帯地域で流行するマラリアは、蚊を媒介してヒトに感染する感染症です。発症から24時間以内に治療しないと重症化し、最悪の場合は死に至ることがあります。
この記事では、マラリアの症状と予防など「マラリアとはどんな病気か」を説明していきます。
マラリアは、血液の主成分である赤血球の感染です。マラリアを起こす寄生虫(マラリア原虫)を運ぶ蚊(ハマダラカ)によって広がります。 ハマダラカに刺されると、マラリア原虫が卵を産み繁殖し、血液細胞を食べることでマラリアに感染します。治療しないで放置すれば深刻な事態となり命を落とすこともあります。
1週間から4週間ほどの潜伏期間をおいて、以下のような症状があらわれます。
マラリアは重症化すると、脳や腎臓、呼吸機能などに障害が起こり、また出血しやすくなるため全身に様々な合併症が生じます。このような状態に陥ると、完全に発症前の状態に回復することは難しく、後遺症が遺ったり、場合によっては死に至ることもあります。
重症化のサインとしては次のようなものが挙げられます。重症化を防ぐためにもサインを見逃さないようにしましょう。
マラリアは、アジア、オセアニア、アフリカおよび中南米の熱帯・亜熱帯地域で流行しています。これらの国に渡航するときはマラリアの危険性を認識し、予防措置を取ってください。
出かける前に必ず外務省海外安全ホームページなどで渡航先の健康問題に関する情報を集めてください。
マラリアは、蚊によって媒介される感染症であり、マラリア原虫が寄生する蚊が人を刺すことで感染します。
マラリア原虫は人の体内に卵を産み落とし、孵化した原虫が血液細胞を貪食することで発症するため、基本的に感染者の体内からマラリア原虫が排出されることはありません。
一般的な感染症は、発症者の唾液や便に病原菌が含まれて、それを他者が触れたり吸い込んだりすることで感染が広がりますが、マラリアの場合には蚊が人に刺さなければ感染することはないのです。このため、マラリアは人から人への感染はないと考えられています。
マラリアが流行する国に渡航する場合、マラリアの予防薬(抗マラリア薬)を飲みます。 しかし、抗マラリア薬だけではマラリアを完全に防ぐことはできません。ほかの予防措置が必要なことを忘れないでください。
出発の数日または1週間前に服用を開始し、旅行中や旅行後も約1〜4週間服用し続けます。 マラリア原虫が血中にまだ残っていることがあるため、旅行後の服用は特に重要です。抗マラリア薬にはいくつかの副作用があるので、だれでも服用できるわけではありません。 薬のタイプもいくつかあり、旅行地域によって異なります。服用できる薬については、医師に相談してください。
蚊は夕方に活動します。長袖・長ズボンなどでできるだけ肌の露出を控えましょう。寝るときは、蚊の侵入を防ぐために窓とドアを閉めて蚊帳(かや)を使用してください。
虫除けスプレーやローションは、ディート(DEET)と呼ばれる化学物質を含有するものが有効です。何の対策も取らずに外出しないでください。着衣の上から虫除けスプレーをかけ、蚊にさされないようにしましょう。
蚊は世界中にいます。蚊に媒介されて起こる病気のリスクが高い国に行くときは、蚊から身を守ることが大事です。事前の予防薬の服用は必須ですが、虫除けスプレーや、衣類、蚊帳(かや)の準備を忘れないようにしましょう。
また、海外で症状が出たときのために渡航先の医療情報を調べておきましょう。
【参考:外務省在外公館医務官情報 】