記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/7/18
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
暑い季節になってくると心配なのが「食中毒」
どんな症状がでたら食中毒を疑う必要があるのでしょうか?また、すぐに病院に行くべきなのでしょうか?
この記事では食中毒の症状とその原因、家庭でできる対策についてご紹介していきます。
食中毒の症状は、原因となる細菌、ウイルス、寄生虫の種類や数、さらにかかった人の免疫能力によって違ってきます。しかし、基本的には「下痢」「嘔吐」「吐き気」が症状の中心となり、症状が軽いときは風邪やウイルス性胃腸炎になったのではないかと勘違いするケースも少なくありません。軽い食中毒のほとんどは自然に治るため、病院での治療がいらないことが多いです。
その他の食中毒の症状として、以下のようなものもあります。
食中毒は基本的には深刻なものでありませんが、ボツリヌス中毒の場合はすぐに救急車を呼ぶ必要があります。ボツリヌス菌による食中毒は稀ではありますが、最悪の場合死に至る危険があるので注意が必要です。症状として以下のようなものが挙げられるので、周囲の人がこのような症状で苦しんでいるときはすぐに医師に診せてください。
食中毒の原因は食品に付着した細菌、ウイルス、寄生虫で、食品がしっかりと加熱、冷凍されていないことで生存、増殖することで人間に悪影響を及ぼします。食中毒の原因菌となるものには以下のようなものがあります。
カンピロバクターは十分に火が通っていない肉類で見られることが多く、潜伏期間は2~5日ほどです。症状は1週間程度続きます。
サルモネラ菌は生や十分火が通っていない肉、生卵、牛乳などの乳製品によく見られます。潜伏期間はたいてい12~72時間です。症状は4~7日間続くことが多いです。
リステリア菌はハムやチーズなどの乳製品に見られることがあり、潜伏期間は数日から数週間とかなりばらつきがあります。症状はだいたい3日以内に治まります。
大腸菌は人間を含む多くの動物の消化器系で見られる細菌です。健常人の腸内にも多く生息しており、大半の菌は無害ですが、一部の菌は食中毒の原因になります。
大腸菌による食中毒は、十分に加熱していない肉(特に牛肉)を食べたときに発症することが多いです。
大腸菌による食中毒の潜伏期間は、1日から8日間であるのが一般的です。症状はたいてい数日から数週間続きます。
赤痢菌は生水や生水で洗った食品から感染する可能性が高く、どの食品にも付着する可能性があります。潜伏期間は最大7日程度で、症状は1週間程度続きます。
食中毒を防ぐためにはどうすればいいでしょうか。ここでは家庭でできる食中毒対策についてご紹介します。
調理する前や食事前は必ず手を洗いましょう。手だけでなく、調理用のまな板や包丁もしっかり洗浄、殺菌しておく必要があります。
食品を調理するときは十分加熱しましょう。めやすは、中心部の温度が75 度で1分間以上加熱することです。電子レンジを使う場合は、電子レンジ用の容器、ふたを使い、調理時間に気を付け、熱の伝わりにくい物は、時々かき混ぜることも必要です。
さらに、ペットを触ったときや、子どもなどの排泄物を処理した後にもしっかり手洗いしましょう。食中毒が疑われる人の排泄物を処理するときは特に注意が必要で、二次感染を防ぐために手を含め、感染者が触ったものも殺菌しましょう。
旅の心得として当たり前のことですが、海外へ旅行した時は生水、生ものを避けるようにしましょう。特に発展途上国では、飲料水はミネラルウォーターを買い、食事は十分加熱されたものを選びましょう。
【厚生労働省ホームページを編集して作成: http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/index.html 】
嘔吐、下痢、吐き気は食中毒の一般的な症状です。ほとんどの場合は、数日以内に自然に治りますが、数日以内に治らない場合や症状が深刻な場合は、必ず病院を受診しましょう。また、普段から手洗いや十分な加熱などの対策をしっかり行い、海外旅行の際には生水や生ものを避けることも予防対策として重要になります。