ストレスの原因になるものは?どうやって対処すればいい?

2017/8/1 記事改定日: 2018/3/29
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

ほとんどの人が、仕事や対人関係のストレスを抱えていると思います。また、身の回りのトラブルや、自らの悩みが原因でストレスを感じている人も多いと思います。この記事では、ストレスの原因を中心に、対処法についても紹介します。

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ストレスの主な原因

ストレスとは、外部から刺激を受けたときに体にあらわれる緊張状態のことです。このストレスの原因として、ほとんどの人に共通するのが、以下にご紹介するような仕事のストレスではないかと思います。

・長時間労働が続いている
・業務量が多い
・責任が重い
・業務が危険
・業務内容への不満
・不安定な雇用状況
・職場の人間関係

また、辛い経験や環境の変化など、私生活の中で起こる出来事が原因となることもあります。

・離婚
・失業
・借金
・結婚
・新居への引越し
・慢性的な病気
・親の介護
・自然災害
・DV(ドメスティック・バイオレンス)

ストレスによって体にどんな症状が出てくる?

ストレスは必ずしも悪いものではありません。新たに事業を起こすときや、大がかりなイベントを行うときには、ストレスによって集中力やモチベーションが高まることが明らかになっています。

しかし、長期にわたってストレスを抱え続けると、高血圧、肥満といった慢性疾患の原因となります。以下にストレスを受けた時に、体内のさまざまな臓器がどのような反応をするかをご紹介します。

筋骨格系

・短期:筋肉が緊張して動きやすくなる
・長期:筋肉が常に緊張している場合、緊張性頭痛、肩こりといった症状だけでなく、ほかの慢性的な痛みを引き起こす可能性がある

呼吸器系

・短期:呼吸数が速くなる。酸素をたくさん取り込もうとする反応ではあるが、場合によっては過呼吸を起こす可能性もある

心臓血管系

・短期:鼓動がどんどん激しく、速くなり、血管が拡張し、大きな筋肉にたくさんの血液を流し、血圧を上げる
・長期:心拍数、血圧、ストレスホルモンが上がり続けると、心臓発作、脳卒中、および高血圧や動脈硬化に至る可能性が高まる

内分泌系

・短期:アドレナリンやコルチゾールなど、ストレスホルモンが全身に行き渡り敵と戦うのに適した体の環境を作る(例:血糖値を上げる)
・長期:血糖値が高くなり続けた結果、2型糖尿病を発症しやすくなる可能性がある。また、コルチゾールに長時間さらされることで甲状腺疾患を引き起こしたり、思考力に影響を及ぼす可能性がある。また、男女共に性的欲求の減退や不妊の原因にもつながる

消化器系

・短期:胃の痛み、吐き気、嘔吐を催すことがある。食欲が変化したり、下痢、便秘になることもある
・長期:ストレスが慢性的な痛みや食生活の変化につながります。呑酸(どんさん:胃液が口内に逆流すること)が起こる可能性もある

また、長期にわたってストレスを受け続けたことで精神面に影響が及ぶと、うつ病を発症する恐れがあります。特に、憂うつな気持ちや不安感、緊張感、やる気が出ないといった症状が2週間続いている場合、念のため専門医(精神科、心療内科)にみてもらうことをお勧めします。

ストレスに対処するためには

ストレスにうまく対処できるようになるためには、ひとりで抱え込まず、気軽に相談できる人に気持ちを打ち明けることが大切です。自分の思いを打ち明けることで、ストレスになっていたことに対する見方が変わったり、思いもよらなかった解決策が見つかったりすることがあります。

また、睡眠時間をしっかり確保することも大切です。というのも、睡眠不足は生理的ストレスのひとつだからです。睡眠のリズムが乱れると、体のバランスが崩れて自分自身でストレスに弱い体を作ることにもつながります。毎日同じ時間に寝るようにしたり、寝具や寝室の環境を整えたりして、しっかりと睡眠がとれるようにしましょう。また、昼間に軽い運動をすることも、質のよい睡眠の確保につながります。

なお、ストレスを発散するために、アルコールの力を借りることがあるかもしれません。お酒の力を借りてリラックスすることもときには大切かもしれませんが、適量を超える飲酒を繰り返すと、アルコール依存症となる恐れがありますので、注意が必要です。

また、眠れないからといって睡眠薬に頼りすぎると、飲まないと眠れなくなってしまうことにもつながります。薬を服用するときは、医師の指示を守りましょう。また、生活習慣の改善も心がけてください。

おわりに:早めに体の異変をキャッチすることが、ストレスへの対処法につながる

ストレスにさらされると、私たちの体は敏感に反応を示します。神経系がはたらき、ストレスに抵抗するホルモンを放出することを「闘争・逃走反応」いいますが、この闘争・逃走反応によって、心拍数の上昇、呼吸の乱れ、筋肉の緊張、発汗などで現れます。これは無意識のうちにも起こることですが、こうした症状が長引く場合はストレスによる体調変化の兆しになる可能性があります。自分に合ったストレス解消法を見つけて、長期的なストレスで体や心が蝕まれる前に適切に対処しましょう。

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