記事監修医師
産業医科大学第1外科
佐藤 典宏 先生
2017/3/14
記事監修医師
産業医科大学第1外科
佐藤 典宏 先生
人はだれでも、人前でしゃべる必要が出てきたときに緊張します。 初めのうちは、何を言おうか、何をしたらいいか、何を着て行こうかと気になりますが、何度か経験するとその状況や雰囲気に慣れてきます。 しかし不安障害(不安症)をかかえている人にとって、これらの出来事や状況は非常に恐ろしいものであり、何もできなくなります。一部の人は限られた状況で、また別の人は公共浴場やレストラン、電話といったごく普通の状況で不安障害(不安症)となることがあります。
不安障害(不安症)は、急性ストレス障害、強迫性障害、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、パニック障害などの精神疾患です。
不安障害(不安症)は、うつ病や薬物乱用などの問題につながることがあります。
不安障害(不安症)をかかえているほとんどの人は、他人の前で裁かれたり恥をかいたりすることを非常に恐れます。
まわりのだれもが自分を見ているように感じ、顔を赤らめたり、汗をかいたり「恐怖」と「不安」を示し、そのことが劣等感となっています。身体的症状としては、以下のような症状がみられます。
・赤面
・発汗
・吐き気
・ふるえ
・話すことや視覚による接触困難
その症状は、通勤や通学、行事や日常活動に支障をきたすことがあります。
不安障害(不安症)は、治療する必要があります。
恐怖心をコントロールするための「認知行動療法」は 、社会的な状況に対する考え方を変えて、恐れをなくすことができます。 認知行動療法は、不安を軽減する方法や社交スキル、会話スキルを向上させる方法を学習する治療法です。
抗うつ薬やベンゾジアゼピン系抗不安薬、β受容体遮断薬などの薬物治療とともに行うと効果的です。
日常生活において心配、緊張感、恐れ、危惧、懸念、不穏状態に陥ったときに感じる「不安感」は、危険を警告するからだの警報システムです。不安感はまた、心配やパニックなどの突然の発作、または特定の状況や対象が「恐怖」に変わることがあります。GADは、特定の出来事や状況に関連していない進行中の不安をコントロールできずに日常生活に支障をきたす病気です。特に小児のGADは、健康な心と発育を妨げることがあります。
日々の生活に支障をきたすほど心配し、1日をより緊張して生活するGADの症状は、以下のとおりです。
・睡眠障害
・筋緊張性
・過敏性
・集中力が続かない
・疲れやすい
・落ち着かない、緊張感やイライラ感
・ふるえ
・息切れ
・速い心拍数
・口渇
・めまい
・吐き気
日常生活のほとんどの時間を緊張し、上記の症状があるときは医師に相談してください。また、ある種の薬がGADを引き起こすことがあります。甲状腺機能亢進症やうつ病があるときもこれらの症状がみられることがありますが、ほかの理由がみつからない場ときはGADの治療を受ける必要があります。
GADは、不安障害(不安症)と同じで、危険がないのに誤って危険信号を作動してしまいます。これはからだの化学的不均衡や、無意識の記憶、薬の副作用または病気に関連している可能性があります。
不安や心配に対処する認知行動療法については医師に相談してください。不安に対処する治療計画を立て、何があなたを緊張させるのかを理解するのに役立つカウンセリングと、不安を感じさせないような薬を処方してくれるでしょう。
以下に日常生活の中で不安に対処するためのヒントを示します。
「心配」があらわれる場所と時間を選択し、毎日、同じ場所と時間に30分間、何をすることができるか考えください。起こるかもしれないことではなく、本当に起こっていることに集中して1日を過ごしてください。不安のレベルを0から10にわけ、レベルが上下したときを記録してください。非常に高いレベルに数秒以上とどまらないように注意してください。恐怖があらわれたらそれを受け入れ、立ち止まり、恐怖から離れずに通り抜ける時間をもってください。
筋弛緩(きんしかん)や、ヨガや深呼吸などの方法を試してください。
以下に深呼吸の手順を示します。
1. 平らな面に横になる
2. おへそのすぐ上、胃の上に片手を置き、もう一方の手を胸の上に置く
3. 胃が少し上昇するように、ゆっくりと呼吸する
4. 息を少し止める
5. ゆっくりと呼吸して、胃を元に戻す
ある筋肉を数秒間強く押し続けたあと、指を離します。足から始めてからだの上のほうへ、すべての筋肉にこの方法を試してみてください。
不安をもつ人は運動をやめてしまいます。しかし、運動は幸福感を与え、不安感を軽減するのに役立ちます。
睡眠は脳とからだを休め、気分だけでなく幸福感をも向上させることができます。
アルコールや薬は一時的にはリラックスできますが、長期的には不安を悪化させ、より多くの問題を引き起こします。
カフェインはコーヒー、紅茶、清涼飲料水、チョコレートに含まれています。カフェインは神経系を刺激するので、不安感を増すことがあります。また、市販のダイエット薬、うっ血除去薬を含む咳(せき)の薬や風邪薬を避けてください。
過去の心配が実際に行う前に気になるという考えに慣れることができます、心配に直面しているのをより心地よく感じたら、実際にそれらに直面することができるでしょう。
自分自身が不安を感じている場合は、リラクゼーション法を練習するか、100から0までをくりかえし数えるなどの簡単な作業に集中します。
医師に話すことで、不安に対処するカウンセリング計画を立てることができます。カウンセリングは、怒りや不安を抑え、より多くコントロールできるようになるでしょう。
不安を軽減するための多くの薬は、医師の指示に従い、用法・用量を守って服用してください。また、不安障害(不安症)を克服するために最も重要なことは「行動」することです。
お医者さんといっしょに1歩ずつ前に進んでいきましょう!!