大人よりもリスクが高い子供の脱水症と熱中症

2017/7/27

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

暑い夏、子供が外で遊んだりスポーツしたりしているとき、注意しなくてはいけないのが脱水症状と熱中症です。子供は熱中症のリスクが高く、急激に症状が進みます。ここでは、子供の熱中症についてまとめました。

子供の熱中症とは?

子供は、体重に対する体の表面積が大きいため、大人よりも脱水症や熱中症になりやすいです。夏の暑さの中で一生懸命スポーツをする子供たちは、特に大きなリスクにさらされています。熱中症の初期に見られる前兆を理解しましょう。その知識が子供の命を救うかもしれません。

子供の脱水症状

子供の脱水症状では、次のような状態を示すことがあります。

  • のどの渇き
  • 倦怠感
  • 怒りっぽさ
  • 口の渇き
  • 暑く感じる

子供がのどの渇きや暑さを訴えるとき、あるいはただ暑さでイライラしているようにみえるときは、初期の脱水症の可能性があります。子供を日なたから連れ出し、涼しい場所に連れて行きましょう。

そして、水や経口補水液(スポーツドリンクのような)冷たい飲み物を十分に飲ませましょう。糖分の多いフルーツジュースや炭酸飲料は、水やスポーツドリンクほど早く吸収されないため、おすすめできません。

また、余計な重ね着はやめましょう。もし、分厚い衣服を身につけているのであれば、それも脱いだほうがよいでしょう。過剰に熱された皮膚には、水で濡らした冷たい布を当ててください。これらの症状を見逃してしまうと、より深刻な熱中症が引き起こされることがあります。

子供の熱中症の症状

子供が熱中症を起こすと、次のような症状がみられます。

熱けいれん
脚や腕、腹筋の筋肉けいれん、筋肉痛、手足がつる
熱失神
炎天下の運動後などに見られるめまい、一時的な失神、顔面蒼白
熱射病
体温が高い(40℃以上)、吐き気や嘔吐、呼びかけても反応がないなどの意識障害

症状が軽度な場合は、涼しい場所での休憩と、水やスポーツドリンクによる水分補給で症状が改善する場合もあります。ただ、重度の熱中症は医療機関での早急な治療が必要です。

子供の熱けいれんへの対応

もし、スポーツをしている子供が熱けいれんを起こしている場合は、涼しい場所へと連れて行き、けいれんしている筋肉を優しくストレッチしましょう。けいれんが治まった直後の試合や練習復帰についても、慎重に様子を見てください。

子供の熱失神への対応

熱失神は、炎天下で長時間立った状態が続いたときや、座った(もしくは横になった)状態からいきなり立ち上がるときに起こる目まい、または失神に近い状態を指します。

脱水症状を経験している人、もしくは、暑い環境に慣れていない人は熱失神になる可能性がより高いです。熱失神の症状が見られたら寝かせ、可能であれば水分を摂取させてあげるのがよいでしょう。意識がない場合や、水分を摂ることができない場合は早急に医療機関での治療を受けましょう。

子供の熱射病への対応

  • 意識障害が見られる場合は、すぐに救急車を呼ぶ
  • エアコンの効いた涼しい場所に連れて行く
  • 衣服をゆるめて寝かせ、身体を冷やす(うちわで扇ぐ、ホースやシャワーなどで全身に水を掛ける、首・脇・脚の付け根に氷嚢を当てるなど)
  • 水分の摂取ができる場合は、スポーツドリンクなどで水分・塩分を補給させる(嘔吐の症状がみられるときは、無理に飲料は与えない)

おわりに:子供の脱水症状と熱中症は大人が注意する

子供は大人より脱水症状や熱中症を起こしやすいため、屋外でスポーツをしている子供の健康状態については、周りの大人が十分な注意を払わなくてはいけません。事故が起こらないように、応急処置の仕方なども理解しておきましょう。

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