貧血はヘモグロビン不足が原因?数値がどのくらいだとキケン?

2017/7/19 記事改定日: 2018/4/5
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山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

貧血の原因と言えば鉄分不足を思い浮かべる方が多いと思います。確かに、鉄分不足は貧血の原因一つですが、原因はそれだけではありません。この記事では貧血に原因について詳しく解説していきます。

貧血のカギを握るヘモグロビンとは?

ヘモグロビンとは、血液に含まれる赤血球の赤い色素のことで、体のすみずみまで酸素を届ける役割を担っています。貧血になると、このヘモグロビンが不足して体内に十分な酸素を届けられなくなるため、動悸や息切れ、めまい、頭痛といった症状を起こしやすくなります。

ヘモグロビンの基準値は?

ヘモグロビンの測定値は、g/dlで表示されます。この基準値は、男性と女性とで異なります。

正常なヘモグロビンの数値

男性
13.1-16.3g/dl
女性
12.1-14.5g/dl

上記の数値より低いと貧血となります。妊娠中の女性や高齢者、幼児はヘモグロビンの数値が低い傾向があります。

注意が必要なヘモグロビンの数値

男性
12.1-13.0g/dl
女性
11.1-12.0g/dl

ヘモグロビンの数値異常

男性
12.0g/dl 以下
女性
11.0g/dl 以下

健康診断などで行う血液検査の結果、注意が必要な数値だった場合は食事やサプリメントを摂取すれば回復が見込めますが、ヘモグロビンの数値異常だった場合、食事では改善できないため、病院での治療が必要です。

貧血になってしまうのはどうして?

赤血球が減少したり、異常を起こしたりする原因として、主に以下の3つが考えられます。

  • 失血による貧血
  • 赤血球の産生障害による貧血
  • 赤血球の破壊による貧血

失血による貧血

体のどこからか出血していると、赤血球の量も減ってしまいます。このような失血の原因として考えられるのは、女性の場合は月経過多が多いですが、消化器(胃腸)からの出血も多いです。

たとえば、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、食道静脈瘤からの出血、大腸の憩室出血、もしくは悪性腫瘍(胃癌、大腸癌など)などが、消化器からの出血の原因となります。なお、アスピリンやイブプロフェンなどのステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を服用すると、胃粘膜を荒らしたり、胃潰瘍のリスクを高めるため、出血につながることがあります。

鉄欠乏性貧血

鉄欠乏性貧血は、体内にミネラルである鉄分が不足しているために起こります。鉄分はヘモグロビンを作るのに欠かせない材料のため、鉄分が不足するとヘモグロビンも不足してしまうのです。

鉄分が不足する原因は食生活や妊娠、母乳育児、月経といった女性特有のものもあれば、外科手術による胃や小腸の一部切除、クローン病といった特定の疾患までさまざまです。しかし、女性は月経で鉄分を失いやすいため、男性より圧倒的に貧血になりやすいと言えます。

巨赤芽球性貧血

赤血球を作るのに欠かせない、ビタミンB12と葉酸が不足することで発症する貧血のことを巨赤芽球性貧血と呼んでいます。腸の疾患がある人は、栄養をうまく吸収できない可能性があるため、このタイプの貧血になりやすい傾向にあります。

また、特定の疾患の症状の一つとして貧血が起きることもあり、たとえば、高度の腎疾患による腎性貧血 、甲状腺機能低下症、がん、慢性的な感染症、各種の膠原病などがあります。

赤血球の破壊による貧血

赤血球に異常があるため、血液中で早期に壊れてしまった結果、赤血球が不足してしまうことがあります。このタイプの貧血は「溶血性貧血」といい、先天的な原因によるものと後天的な原因によるものとが考えられます。

先天的な原因には鎌状赤血球症、サラセミアなどの疾患があり、後天的な原因には自己免疫不全、感染症治療のための薬剤や抗生物質の使用、肝臓もしくは腎臓病からの毒素、血管移植片、人工心臓弁、腫瘍、重度のやけど、特定の化学物質への曝露、重度の高血圧、および凝固障害などがあります。

おわりに:貧血はヘモグロビン不足で起こる。数値が低すぎるときは病院で治療を

貧血の最大の原因は鉄分不足ですが、根本的にはヘモグロビンの不足と言えます。貧血と聞くと鉄分不足が原因と考えがちですが、鉄分不足以外にも赤血球(および、赤血球に含まれるヘモグロビン)が不足してしまう原因はいくつもあります。ただし、深刻な疾患が原因の貧血になる確率は高くありません。もし、日ごろから貧血の症状に悩まされているようでしたら、病院でその原因を診てもらうようにしましょう。

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