記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/8/7
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
前回の記事では、不眠症とその治療、特に治療薬についてお伝えしました。不眠症の治療薬はさまざまですが、その効果や副作用はどうなのでしょう?今回の記事では、気になる不眠症の薬について具体的にまとめました。
不眠症の治療薬には、さまざまなものがあります。それぞれ、具体的に説明しましょう。
ベンゾジアゼピンは、不眠症の標準的な処方薬の1つです。
不眠症の治療に使用されるベンゾジアゼピンには、フルラゼパム、エスタゾラム、トリアゾラムなど様々な種類があります。通常作用時間の長さによって使い分けがなされます。
ベンゾジアゼピンは、心理的及び身体的依存を引き起こす可能性があるといわれています。長期間使用した場合、依存を形成しているため、慎重に量を減らさなければ、離脱症状を生じることがあります。
最も一般的な副作用として、眠気、調律障害、疲労、錯乱、めまい、集中力低下、短期記憶障害、口の渇き、視力障害、不規則な心拍などがあります。
近年、非ベンゾジアゼピンと呼ばれる、ベンゾジアゼピン受容体作用薬である、鎮静睡眠薬の新種が開発されています。
これらの新しい薬剤は、ベンゾジアゼピンよりも安全性に優れ、悪影響がより少ないといわれています。
そして、ベンゾジアゼピンよりも依存症になる危険性は低いとされていますが、依存性が全くないとはいえないことも事実です。
このタイプの薬には、ゾルピデム、ザレプロン、エスゾピクロンなどがあります。
ラメルテオンは、メラトニン受容体作動薬と呼ばれる新しい種類の薬剤に属する薬です。
メラトニンは、夜間に産生されるホルモンであり、概日リズム(24時間の周期で睡眠と覚醒を繰り返す、体内時計ともいわれる)を促します。
体内のメラトニン濃度は、昼間には低くなります。脳の松果体は、夜間に体内のメラトニン濃度を上昇させることによって、自然に眠りを誘います。このプロセスは、概日リズムを維持するために不可欠であると考えられています。
ラメルテオンは、正常な概日リズムと、睡眠から覚醒サイクルを正常化する働きをするメラトニンのレベルを上げて、睡眠を促進する作用があります。
これらの薬は、朝の鎮静状態を引き起こしにくく、依存リスクも少ないとされています。副作用には、日中の眠気、めまい、疲労などがあります。
不眠症薬として使用される他の薬でにはクエチアピン、ミルタザピン、オランザピンなどの、非定型抗精神病薬があります。
抗精神病薬は、神経伝達物質のセロトニンとドーパミンの作用を遮断する作用から、鎮静作用、抗精神病作用があるとされています。これらの薬剤は元々不眠症に対する薬剤ではありませんが、眠気を生じる副作用を利用して不眠薬としての効果も狙って処方されることがあります。ですが、そのため使用に際しては医師の厳重なフォローが必要でしょう。
今までの記事からわかるように、不眠症の治療薬にはたくさんの種類があります。よく相談した上で、症状に合った薬を処方してもらいましょう。
また、服用している間は、その作用や副作用についてよくチェックし、医師に報告しましょう。自分に合った薬を服用することで、不眠症は早期改善が期待できます。