糖尿病のチェックは自分でできる? ― こんな症状が出たら要注意!

2017/7/25 記事改定日: 2018/3/15
記事改定回数:1回

三上 貴浩 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 医学博士

三上 貴浩 先生

糖尿病は自覚症状がないまま進行する怖い病気。いったん発症すると、さまざまな合併症を引き起こしたり、著しく健康を損なったりする可能性があります。糖尿病の症状を悪化させないためには、できるだけ早い時期に糖尿病の発症に気づき、治療を始めること。この記事では、糖尿病の症状とともに、糖尿病になった場合の治療ほうなどについてもご紹介します。

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糖尿病の症状

糖尿病は治療せずに放置すると、こん睡状態に陥ったり、最悪の場合、死に至ることもあります。このため、糖尿病になるとどのような症状が出てくるのかを知っておくことが重要です。

糖尿病の主な症状として、以下のようなものがあります。

・ひどいのどの渇き
・排尿量の増加
・体重減少
・疲労感

ただ、これらの症状は、主に1型糖尿病の方にみられる症状です。これに対し、2型糖尿病の場合は自覚症状がみられないことも多く、健康診断の血液検査の結果や献血をしたとき、あるいは合併症を発症した時などにたまたま気づくこともあります。

1型糖尿病の症状

1型糖尿病は、自己免疫疾患や遺伝、ウイルス感染などが原因で、インスリンを作る細胞(すい臓にあるβ細胞)が破壊され、体内でインスリンを作ることができなくなってしまう病気です。

1型糖尿病の方によく見られる症状として、以下のようなものがあります。

・ひどいのどの渇き
・排尿量の増加
・疲労
・視界のぼやけ
・体重減少
・ひどい疲れ

1型糖尿病の症状は、数日から数週間に渡って急激に進行するのが一般的です。最初は症状に気づかなかったり、他の病気(風邪やインフルエンザなど)に間違えられたりすることもあります。

1型糖尿病を発症する原因は、インスリンの分泌がほとんどなくなってしまったために起こる高血糖です。高血糖になると、以下のような症状が出てきます。

・腎臓が血液中の余分な糖分を放出しようとするため、とくに夜間の排尿が増える
・ひどくのどが渇く
・尿の量が多くなる
・特に運動やダイエットもしていないのに、体重が減少する
・空腹感がひどくなる
・疲れがひどくなる

2型糖尿病の症状

2型糖尿病は、運動不足や食生活の乱れ、ストレスなど、生活習慣の乱れが原因でインスリンの働きが低下、もしくは分泌量が少なくなった結果、高血糖状態になってしまったことが原因で発症します。症状はゆっくり進行し、自覚症状がないまま悪化してしまいやすいという特徴があります。

2型糖尿病を発症すると、以下のような症状がみられます。

・ひどくのどが渇く
・尿量が増える
・視界がぼやける
・体重が減ってしまう
・疲れやすくなる

そのほかの初期症状として、感染症に敏感になったり、傷の治りが遅くなったりすることがあります。

また、男性の場合、勃起不全(ED)が起こったり、男性器の先端部におけるカンジダ感染症(カンジダ性亀頭炎)を発症したりすることも、糖尿病の症状としてよく見受けられます。一方女性、特に高齢の女性の場合、カンジダ膣炎がなかなか治らないことが2型糖尿病の初期症状となる可能性があります。

最近こんな症状ありませんか? ― 2型糖尿病の初期症状チェック

以下に、2型糖尿病の初期症状としてよくみられるものをご紹介します。糖尿病かな・・・と気になる方は、ぜひ一度チェックしてみてください。

□目がかすむ
□視力が下がった気がする
□のどがよく渇く
□頻繁に水を飲む
□食べてもすぐお腹が空いてしまう
□体が疲れやすい、だるい
□体がむくんでいる
□足がしびれる、ほてる
□足がつりやすい

上記の項目の中で当てはまるものがあったら、一度病院で検査を受けてみることをおすすめします。

もし2型糖尿病だったら、どんな治療が待っている?

検査の結果、2型糖尿病を発症していることがわかった場合、食事療法と運動療法に取り組んで、血糖値をコントロールします。それでも血糖値をうまくコントロールできない場合は、薬物療法も合わせて行います。

食事療法

食事療法では、自分に必要なカロリーがどのくらいかを把握し、その範囲内でバランスの取れた食事を摂るように心がけることが大切です。食事を抜いたり、一度にたくさん食べたりせず、1日3回の食事を摂るように心がけましょう。また、食事は腹八分目にとどめることも大切です。

どのくらいのカロリーを摂ってよいかや、塩分量や脂質、たんぱく質の量など、一人ひとりの状況によって異なりますので、より具体的な目標値についてはかかりつけの医師の指示をあおいでください。

運動療法

運動療法は、特に2型糖尿病の方にお勧めです。運動することで、血糖値やインスリン抵抗性を改善する効果があります。また、特に2型糖尿病の方の場合、食事療法と一緒に行うことで血糖値のコントロールがうまくいくことが明らかになっています。

ただし、合併症がみられる場合や、薬で治療している場合は、運動してはいけない可能性があります。また、場合によっては運動量が多いと低血糖を起こす可能性もあります。治療の一環で運動に取り組みたい場合は、医師に取り組んでもいい運動やその時間、回数などを相談してから行いましょう。

薬物療法

食事療法と運動療法だけでは血糖値のコントロールが難しい場合、状況に応じて経口血糖降下薬やインスリン注射を使った治療が行われることがあります。

糖尿病じゃなかったといって油断は禁物

検査の結果、糖尿病ではなかったからといって、今後も糖尿病にならないとは限りません。特に、糖尿病予備群(空腹時や食後の血糖値が糖尿病と診断されるまでには至っていないものの、正常値は超えている、糖尿病の一歩手前の状態)だった場合、このまま同じ生活を続けていると糖尿病を発症してしまう可能性が高くなります。
自覚症状がないからといって安心せず、生活習慣の見直しや食生活の改善を心がけ、糖尿病を発症しないよう、予防に努めてください。

おわりに:糖尿病は、初期症状を見過ごさないことが大切!

上記のように、ほとんど症状が出ないか、出たとしても「少し疲れているな」「風邪かな」と思うところから始まるのが糖尿病の怖いところです。放っておくと、自らの寿命にも影響を及ぼす糖尿病。今回の記事を参考に、自覚症状に気づいたら早めに病院で検査をし、適切な治療を受けたり、発症を予防するために食生活や運動の習慣を見直したりしましょう。

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