記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/7/24
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
もしかすると、あなたはつま先や足、あるいは脚を糖尿病で失ってしまった人をご存じかもしれません。糖尿病に関連してよく聞く話ではありますが、では、なぜ足に影響するのでしょうか? また、どのようにケアすればよいのでしょうか?
糖尿病は足への血液供給を減らし、末梢神経障害として知られる感覚の喪失を引き起こすことがあります。
そのため痛みを感じにくく負傷しても気付かないようになり、気づかないまま放置してしまうことによって、感染症に感染する可能性が高くなります。
また、糖尿病は足の血流も減らしてしまうので、感染症が治りにくくなってしまいます。悪性の感染症の場合治らないこともあり、感染症が原因で壊疽(えそ)に発展するケースもあります。
治療しても良くならない壊疽や足の潰瘍が悪化した場合、感染症が体全体に広がることを防ぐために、つま先、足、あるいは脚の一部の切断が必要になることもあります。感染症や壊疽で切断しないためにも、糖尿病の人が足の健康管理をすることはとても重要なのです。
稀なことではありますが、糖尿病による神経の損傷は、シャルコー足などの足の変形に至ることがあります。シャルコー足は、赤みがさした、温かい、腫れた状態から始まり、その後脚とつま先の骨が折れて変形が起こり、足が「揺り椅子状の足底」と呼ばれる奇妙な形をとるようになります。
主治医に相談のもと、糖尿病セルフケアプランを作りましょう。セルフケアプランの中には、足のケアを必ず入れましょう。
足に問題があっても痛みは感じないことも多いですが、毎日足をチェックすることで悪化する前に早期に問題を特定することができるようになります。
毎晩靴を脱いだときに足をチェックするようにすると、忘れずにチェックできるのではないでしょうか。つま先の間も忘れずにチェックし、もし足を見るためにかがむことが辛かったら、鏡を使って見てみるか、誰かに足を見てもらうようにしてください。
・毎日足を洗いましょう
・魚の目と胼胝(たこ)をなめらかにしましょう
・足の爪を横にまっすぐ切りましょう
・いつも靴と靴下を履きましょう
・足を暑さや寒さから守りましょう
・足の血液循環がよくなるようにしましょう
・健康診断の度に足のチェックを受けましょう
・切り傷、ひりひりとした痛み、赤い斑点
・むくみや水ぶくれ
・内側に伸びた爪。爪の先端が肌に食い込んでいるもの
・魚の目や胼胝。同じ場所を擦りすぎたり押しすぎたせいでできたざらざらした肌のいぼ
・足底いぼ。足の底の鮮やかな色の突起物
・水虫
・しみ
足に以下のような問題が見られたら、すぐに医師に診せましょう。
・数日経っても治らない切り傷、水ぶくれ、あざ
・足の肌が赤く、熱を帯び、痛むようになっている(感染症の可能性を示している)
・乾燥した血液が中にある胼胝。胼胝の下の傷が原因でできた可能性がある
・黒く、臭いがする足の感染症。壊疽がある可能性の印
足の感覚がなくなることで負傷に気づかなくなり、感染症となって足を蝕んでいく…。とても怖いですよね。糖尿病の治療とともに、必ず毎日の足のケアは続けましょう。そして、一日も早く異変に気づけるようにしましょう。