記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
洋服が妙に汚れている、おこづかいが足りないとしょっちゅう言ってくる……など、子どもの様子に変化があるとき、いじめを受けているのではないかと不安になりますよね。子どもがいじめられているとわかった場合、またはいじめの疑いがある場合、親としてどのように関わればよいのでしょうか。
子どもは親を怒らせたくなかったり、親に話したことでいじめが悪化するのを恐れたりして、いじめられていることを親に話さないことがあります。しかし、子どもがいじめられている疑いがある場合、下記のようなはっきりわかる徴候があります。
・帰宅した時に、衣服が破れていたり、ケガをしたりしている
・持っていたはずのお金がなくなっている
・特にはっきりした理由もなく、宿題をしたがらない
・いつもと違うルートで学校に通っている
・情緒不安定になっている
また、最近増えているネットいじめの兆候として、次のようなものがあります。
・テキストメッセージをやり取りした後やインターネットを使った後、引きこもったり、イライラしたりする
・テキストメッセージや電話でやり取りしている内容について話したがらない
・携帯電話やパソコン、タブレット端末に、見慣れない電話番号やメッセージ、メールアドレスなどが表示されている
子どもがいじめられていることを打ち明けてきたら、最初にやるべきことは話をよく聞いてあげることです。親は、子どもたちが自分の言葉で自分がされていることを話せるように、また、いじめの経験を「大人へのステップ」として扱わないようにしましょう。
また、子どもにいじめについて日記をつけることをアドバイスしてください。学校、クラブの指導者などに、いじめの具体的事実を伝えるときに役立ちます。
次は、子どもの学校やクラブ担当者に、いじめを受けていることを話すことです。いじめを止めるには、親か子ども、あるいは双方がそろって学校に話すことが欠かせません。
学校に話すとき、最初に誰に話すのが一番よいか考えてみましょう。子どもが親しみを感じている教師がいるかもしれないので、これについては子どもと話し合ってください。
学校はさまざまないじめを防ぐために、学校でできることはすべて尽くすはずです。いじめ防止対策推進法では、すべての学校にいじめ行為に関する方針が定められていなければならず、学校がどのようにいじめへの対策をするのかを尋ねることができます。一部の学校では、ピア・メンタリングといった対話プログラムを実行しており、特定の子どもたちが問題に耳を傾けて解決するように訓練を受けます。
教師は、学校の敷地外(バス、通り道、または店など)で起こるいじめについて子どもたちを指導することができます。
子どもはいじめが解決した後も、いじめの影響を受けていることがあります。子どもたちの不安が続き、それが日々の生活を妨げているのなら、助けを求めたほうがよいかもしれません。そのようなときは、医師または学校のカウンセラーに相談してみましょう。
いじめられているお子さんにとって、親は数少ない味方です。お子さんが家の中で心穏やかに過ごせるよう、まずは見守ってあげましょう。
また、いじめの事実を打ち明けてきたらじっと耳を傾け、いつ・どんなふうに学校に伝えるかをよく話し合って、行動に移してください。そしていじめが解決した後、以前のように元気になっているかをじっと観察し、「おかしいな」と思ったら医師やカウンセラーに相談してください。いじめられた心の傷が少しでも早く癒えるよう、サポートしてあげましょう。