記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/8/9 記事改定日: 2018/4/4
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
咳や発作、息苦しさなど辛い症状が特徴的な気管支喘息(以下、喘息と表記)は子どもも大人も発症することがある病気です。では、大人が発症した場合はどのような症状がみられるのでしょうか?
この記事で、大人の気管支喘息の症状・原因・治療法について見ていきましょう。
子どもの場合も大人の場合も、喘息の原因は気道の炎症です。
気道は鼻から肺までの空気の通り道のことを指しますが、喘息はこの気道の粘膜が刺激に弱く、常に炎症が起きていることで起こります。
たとえば、冷たい空気や特定の匂いなどに反応して発作が起きこったり、発作がないときでも気道の内部がむくんで痰が増えるといった症状があらわれます。
代表的な大人の喘息の症状は以下の通りです。
喘息の発作で引き起こされる代表的な症状は「呼吸困難」です。
呼吸困難は、炎症によって気道が狭くなっているため十分に酸素を取り込めないことで起こります。
呼吸困難に伴って息がゼイゼイする喘鳴(ぜいめい)という症状もあらわれやすいです。
特徴としては、喉や胸から「ゼイゼイ」「ヒューヒュー」という音がします。
子供は気道が狭いので喘息以外の病気でも喘鳴が起こりますが、大人の場合は喘鳴があれば、喘息である可能性は非常に高いといえます。
喘息になると激しい咳や痰が出ます。
風邪の症状と間違えやすいのですが、数週間も続くようであれば喘息を発症している可能性があります。
喘息は大きく2つに分けられます。
ひとつはおおよそ15歳までに発症する「小児喘息」、もうひとつは成人してから症状が現れる「大人の喘息」です。
さらに大人の喘息は、
◆小児喘息が治りきらず大人になってから再発するタイプ
◆中高年以降、新たに喘息を発症するタイプ
・・・の2つにわかれます。
喘息というと子どもの病気だと思われがちですが、成人してから発症するケースも決して少なくないことを覚えておきましょう。
大人の喘息は子どもの喘息と比べて重症化しやすい傾向があります。
治療薬の進歩のおかげで、以前よりは重症化するケースは減少していますが、依然として子どもの喘息よりも慢性化・重症化しやすく、経口副腎皮質ステロイド薬に依存するような難治性の喘息が5~10%存在するといわれています。
特に60歳以上の高齢者(特に男性)の場合、喘息によって死亡するケースも少なくないので注意が必要です。
大人の喘息は子どもの喘息とは異なり、非アレルギー性のものが多いです。また、アレルギー性であってもアレルゲンを特定できないことが多いという特徴があります。
一般的には以下のような要因が喘息の原因になりやすいと考えられています。
◆気道の炎症を引き起こす風邪やインフルエンザなどの感染症
◆気道の粘膜を刺激する喫煙、大気汚染、冷たい空気による刺激
◆ストレス
◆香水や化粧品の成分など
喘息は発作が起こらないようコントロールすることはできますが、完治させるのは非常に難しい病気です。ですが、以下のような行動を心がけることで、喘息の発作の頻度を減らして普通の生活を送りやすくなります。
アレルギー、タバコの煙、動物の毛など、喘息の原因が特定できたのであれば、できるだけ避けるようにしましょう。
抗炎症薬は喘息患者にとって非常に重要な薬です(気道内の腫れや痰の産生を減らすための吸入ステロイドなどが抗炎症薬に該当します)。
抗炎症薬を服用することで気道の過度の反応や損傷が抑えられ、発作の回数を減らすことができます。
こうした薬は基本的には毎日服用する必要があり、およそ6~7週間ほどで喘息の症状をコントロールできるようになります。
気管支拡張薬は気管支を緩め空気の通り道を広げる薬です。
吸入器タイプや経口薬など種類はさまざまですが、この薬によって気道が開いて肺への空気が出入りしやすくなるため、使用後は呼吸をしやすくなります。
【出典: 厚生労働省ホームページを編集して作成 http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/kenkou/ryumachi/dl/jouhou01-07.pdf】
子どもも大人も、喘息の症状があると思ったら早めに治療を始めることが大切です。
早期に治療を開始することで発作をコントロールしやすくなり、同時に治療効果が発揮されやすくなるからです。反対に、治療せずに放置していると気道の炎症が悪化したり発作が起きやすくなったりしてしまいます。
また、発作が起きたときだけではなく発作が起きていない時にも気管支が良好な状態を維持できるようにすることが大切です。「しばらく発作が起きていないから」といって勝手に薬剤の使用を中断せず、医師の指示通り治療を継続していきましょう。
加えて、生活環境を整えて気管支が反応してしまう原因をできる限り取り除くようにしましょう。