記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/7/24
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
片耳だけ聴こえにくかったり、耳鳴りがしたりといった耳の異常が続いている場合、「聴神経腫瘍」の可能性があります。この病名を初めて耳にした人も少なくないでしょうが、命にかかわることもある重大な病気です。以下で詳しく解説していきます。
聴神経腫瘍とは、聴神経(耳からの情報を脳に送る蝸牛(かぎゅう)神経と平衡感覚についての情報を送る前庭(ぜんてい)神経との2種類の神経の総称)に生じた腫瘍のことです。聴神経腫瘍の多くはゆっくり成長していく良性の腫瘍ですが、腫瘍の成長が早く、神経を圧迫し伸展すると、めまいや難聴、耳鳴りを発症することがあります。また、腫瘍が大きくなると、顔面神経麻痺(運動障害)や顔面のけいれん、感覚障害などを生じたり、脳が圧迫され歩行障害や意識障害などが起きる可能性もある病気です。
以下のような症状が現れた場合、聴神経腫瘍の可能性があります。該当する症状が見られたら、耳鼻科を受診しましょう。
・聴力の低下
両耳ではなく片耳のみ聴こえにくくなるのが特徴です。徐々に音が聞こえなくなるので、はじめは気づかないという人も少なくありません。
・耳鳴り
・耳がつまったような感じ
・めまい、顔のしびれ、物が二重に見える、まっすぐに歩けない、食事や水でむせる、意識障害
これらの症状は腫瘍が大きくなると現れることがあります。
聴神経腫瘍の診断は、基本的にはMRI検査によって行われます。造影剤を使ったMRI検査を行うことにより、直径数mmの小さな腫瘍でも正確に診断することができます。聴神経腫瘍が大きくなった場合は、CTによっても診断することは困難ではありませんが、CTでは数mmの小さな聴神経腫瘍の診断は難しいといわれています。聴力検査など耳鼻科での検査も必要ですが、聴神経腫瘍を最終的に診断するには、MRIやCTという画像診断が必要になっていきます。病院によっては、言葉をどれだけ鮮明に理解できるかといった検査や、平衡感覚、嚥下機能なども追加して検査することがあります。
聴神経腫瘍は徐々に進行していく病気のため、はじめのうちは気づかないという人も少なくありません。しかし、聴神経腫瘍は腫瘍が小さいうちに発見し、早期治療していくことが非常に大切です。当てはまる症状がある方は、病院で早めに検査を受けることをおすすめします。
【出典: 下記ホームページを編集して作成】
・慶応義塾大学病院KOMPAS http://kompas.hosp.keio.ac.jp/contents/000560.html
・東海大学医学部脳神経外科 http://neurosurgery.med.u-tokai.ac.jp/edemiru/chou/shoujyou.html
・東京女子医科大学脳神経外科 http://www.twmu.ac.jp/NIJ/column/encephaloma/acoustic_tumor.html
・千葉大学医学部脳神経外科 http://www.chiba-neurosurgery.jp/original38.html