記事監修医師
産業医科大学第1外科
佐藤 典宏 先生
2017/2/22 記事改定日: 2018/7/17
記事改定回数:1回
記事監修医師
産業医科大学第1外科
佐藤 典宏 先生
ジカ熱は蚊を媒介してヒトに感染し、ヒトからヒトへ感染します。 妊娠中にジカウイルスに感染すると、胎児に小頭症などの先天性障害をきたすことがある怖い病気です。
この記事では、ジカ熱の症状と予防方法、治療法について説明していきます。
ジカウイルスに感染すると、ジカウイルス感染症(ジカ熱)を発症します。 ヒトへの感染は、男性から女性、女性から男性へ性行為(腟または肛門を介して)と妊娠で起こります。
ジカウイルスは、ウガンダのジカ森林からその名前が付けられ、1947年に初めて発見されました。ヒトへの感染は、性行為中(腟または肛門を介して)または妊娠中に起こり、ジカ熱と呼ばれています。妊娠中または妊娠の可能性のある女性がジカウイルスに弱いというわけではなく、胎児にウイルスを感染させる危険性が高いのです。
ジカウイルスに感染した蚊に刺されると、以下のような症状がみられます。
症状は、刺されてから2〜7日後にあらわれることもあり、数日~1週間続くことがあります。
ほとんどの人はウイルスに感染していることを自覚していません。
ジカ熱は大人と子供で症状に大きな差はありません。しかし、高熱が出た場合には大人より子供の方が脱水症状などに陥りやすく重症化の危険があります。
また、ごくまれに治った後にギランバレー症候群を発症することがあるため注意が必要です。
ジカウイルスに対する抗ウイルス薬は開発されておらず、ジカ熱にかかった時には、諸症状に対する対症療法を行うしかありません。特に高熱による脱水症状には注意して経過を診ていく必要があります。
妊娠中にジカ熱を発症すると、胎盤を通じて胎児がジカウイルスに感染し、小頭症になるリスクが高くなることが指摘されています。
このため、妊娠中や妊娠する可能性のある女性は流行地への入国を避け、どうしても避けられない場合には、長袖の着用や虫よけスプレーの使用などを徹底しましょう。
デング熱とチクングンヤ熱ウイルスを媒介する「ヒトスジシマカ」が、ジカウイルスを媒介するとされています。 ヒトスジシマカは、日中でも人を刺すことが知られており、沼地に多く生息しています。ジカ熱は、アフリカ、中央・南アメリカ、アジア太平洋地域で発生があります。特に、近年は中南米で流行しています。流行している地域に住んでいる、または旅行する人は注意が必要です。
ジカウイルスの検査は、以下の2種類です。
尿検査でジカウイルスを確認することができますが、2週間以内でなければ「陽性」を確認できません。状況に応じて、上記の検査の一方または両方を行います。結果は、 3〜5日後に判明します。
ジカ熱は、性行為、妊娠、輸血または手術室内での感染によってウイルスが広がります。 症状もなくヒトからヒトへウイルスを広げてしまいます。現在、ジカ熱を予防するためのワクチンは存在しません。 予防は、以下のように自分で予防するしかありません。
ジカウイルスは蚊が媒介する感染症ですが、性行為による感染も報告されています。性行為感染や母体から胎児への感染を防ぐためにも、性行為の際はコンドームを使用するか、性行為を控えるようにしたいですね。