甲状腺機能低下症でダイエットが必要なのはどうして?

2017/7/25 記事改定日: 2019/11/28
記事改定回数:2回

二宮 英樹 先生

記事監修医師

東大医学部卒、セレオ八王子メディカルクリニック

二宮 英樹 先生

甲状腺機能低下症になると通常時よりも代謝が低下するため、それまでと同じような食生活を続けていると体重が増えてしまいます。
この記事では、甲状腺機能低下症の方に正しい減量法とダイエットをするときの注意点をご紹介します。

甲状腺機能低下症でダイエットしなければ行けない理由とは?

甲状腺機能低下症の代表的な症状のひとつに体重の増加があります。
これは、甲状腺機能低下症になると新陳代謝を活発にする甲状腺ホルモンが減少し、代謝が落ちてしまうことが主な原因です。

代謝が低下してしまうことで消費できるカロリーの量が減るため、以前よりも太りやすくなってしまうので、ダイエットする必要があるのです。

加えて胃腸の働きが悪くなるために、便秘がちになったり、体に不要なものを排出しにくくなることも体重増加の理由のひとつです。
また、体がむくみやすくなることも原因となります。

甲状腺機能低下症のむくみは、ダイエットでとれる?

甲状腺機能低下症は、主にまぶたや頬などの顔面にむくみが生じます。これは、甲状腺の機能が低下することでムコ多糖という物質が皮膚に蓄積し、そのムコ多糖が水分を保持するためと考えられています。

むくみは顔面から始まり、手足にも広がり、通常のむくみは強く押すとその部分がへこむ特徴があるのに対して、甲状腺機能低下症で生じるむくみは押してもへこまないのが特徴です。

甲状腺機能低下症で生じるむくみを粘液水腫と呼びますが、通常のむくみとは特徴が異なるため「単に太った」と思われることがあります。

粘液水腫で太ったと勘違いしてダイエットに励む人もいますが、粘液水腫は運動や食事制限をしても改善するものではありません。
なかには、ダイエットをしても見た目が変わらないからと無理な減量を試みる人もいますが非常に危険です。

適切な治療を受けるためにも、原因不明の体重増加やむくみがある場合には病院を受診しましょう。

むくみ以外の症状

甲状腺ホルモンは全身の新陳代謝を活発にする作用を持ちます。このため、甲状腺ホルモンの分泌量が低下する甲状腺機能低下症では、むくみ以外にも心身に様々な症状が引き起こされます。

むくみ以外には次のような症状が現れますので、思い当たる項目が多い場合は放置せずに病院で検査・治療を受けるようにしましょう。

  • 原因がはっきりしない疲労感、倦怠感
  • 日中の眠気
  • 抑うつ気分、無気力感
  • 皮膚の乾燥
  • 脱毛
  • 体重増加
  • 便秘
  • 寒がり
  • 月経異常
  • 脈が遅くなる

甲状腺機能低下症のダイエット、摂取カロリーの目安はどのれくらい?

新陳代謝が低下すると消費カロリーが減るため、以前と同じような食事内容では体重が増えやすくなってしまいます。
そのため、ダイエット(減量)に重要になってくるのが食事の内容とカロリーをきちんと管理することです。

具体的には摂取カロリーを1200~1600キロカロリーに抑えるのが理想ですが、炭水化物を抜くなどの極端なダイエットは避けてください。
特に炭水化物の不足は甲状腺ホルモンの低下につながるので、炭水化物をまったく摂らないという減量法はやめましょう。

全体的な食事量を少しずつ減らす、栄養価の低いスナック菓子などを控える、冷たいものを控える(胃腸を冷やし働きを低下させるため)・・・これらのことからダイエットを始めてみてください。

海藻に注意!

甲状腺ホルモンは海藻に多く含まれるヨードを原料として生成されます。
体内に取り入れられたヨードは一旦甲状腺に蓄積され、そこで甲状腺ホルモンに作りかえられます。

しかし、甲状腺に炎症が生じている甲状腺機能低下症の人が過剰なヨードを摂ると、甲状腺の炎症が悪化し、更なる機能低下を招くことがあります。

海藻はダイエット効果があることは有名ですが、甲状腺機能低下症の人で食事療法のために海藻を積極的に摂りたいという人は、必ず医師と相談して摂取してもよいかどうかを決定してください

甲状腺機能低下症で運動しても大丈夫?オススメの運動は?

甲状腺機能低下症になると倦怠感があり、やる気も起きにくいため、運動なんてする気になれないという場合も多いかもしれませんが、医学的にも運動することが奨励されています。

運動することによって代謝量が上がるため、食事コントロールと合わせて行うことでより痩せやすくなります。
最初はストレッチや散歩などの気軽に取り掛かれるものからはじめましょう。
ウォーキングやサイクリングなども脂肪の燃焼に効果的です。

治療薬(ホルモン剤)「チラージン®」の使用について

甲状腺機能低下症の治療では、低下した甲状腺ホルモンを補充するために、チラージン®というホルモン剤を使うことがあります。
チラージン®は甲状腺ホルモンを増やし、新陳代謝を通常の状態に近づける効果が期待できます。

チラージン®の使用で新陳代謝が活性化すれば、もちろんダイエットの成功に役立ちますが、チラージン®の治療が体重の減少につながらないというケースもあります。
必ずしも全員に効果があるわけではないことを覚えておきましょう。

チラージン®と食事

チラージン®は、80%が小腸で吸収されますが、豆腐や納豆などの大豆製品、カフェインを多く含むエスプレッソ、食物繊維、乳製品などを摂った後に服用すると吸収が妨げられることがわかっています。特に食物繊維の摂りすぎはチラージン®の吸収を半分以下にするとの報告もあり、注意が必要です。

また、食事の直後にチラージン®を服用すると、消化管に残った食べ物の影響で吸収が悪くなる可能性がありますので、食前や眠前などの空腹時に服用することが推奨されています。

おわりに:バランスの取れた食事と運動で健康的にダイエットしよう

甲状腺機能低下症のダイエットで効果的なのは食事管理で摂取カロリーを減らすことと、運動で新陳代謝を上げることです。ただし、医師から食事指導をされている場合はきちんと指示に従い、自己判断で食事制限をしないでください。

炭水化物抜きダイエットなどの極端な方法は避け、健康的な食生活と適度な運動を続けながら長期的なスパン(少なくとも3ヶ月ほど)で体重を減らしていきましょう。

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