記事監修医師
産業医科大学第1外科
佐藤 典宏 先生
2017/3/13 記事改定日: 2018/7/5
記事改定回数:1回
記事監修医師
産業医科大学第1外科
佐藤 典宏 先生
きっと多くの人が、胃もたれや吐き気などの消化不良を経験したことがあると思います。
ここでは、消化不良の原因と予防法を紹介していきます。身近な症状だからこそ、正しい知識が必要です。この機会に覚えておきましょう。
胃の上部や中央部に痛みや不快感がある状態をいいます。多くの場合は慢性的な痛みがあり、4人に1人の割合で発症するといわれています。
消化不良の場合、以下のような症状があらわれます。
食べ物が胃の中に入ると、私たちの体の中では様々な消化酵素が分泌されて食べ物を消化し、栄養分を吸収しようとします。また、胃で細かく消化された食べ物は、胃が蠕動運動を行うことで十二指腸へと流れていきます。
消化不良は、消化酵素が十分に分泌されなかったり、胃の蠕動運動が正常に行われないことが原因で起こります。このような原因のきっかけには様々なものがありますが、生活習慣が大きく関与していることが多いです。
原因となる生活習慣としては、食生活の乱れやストレスが挙げられます。刺激物や脂肪分が多い食事や過度なアルコールは通常の分泌量の消化酵素では十分な消化が行われなかったり、胃の粘膜を傷つけることで消化酵素の分泌を抑制することがあります。
また、ストレスは交感神経が過剰に興奮して胃の蠕動運動を抑制することにつながるのです。
消化不良は何らかの病気が原因となって生じることがあります。
代表的なものでは、胃下垂や胃アトニーといった胃の蠕動運動が弱まるような病気が挙げられます。他にも、胃がんや胃潰瘍などの胃の粘膜に荒れを引き起こす病気では、消化酵素の分泌が低下することもあるため、消化不良の原因となることがあります。
消化不良は薬の副作用によっても生じることがあります。
一般的な鎮痛剤や抗生物質、抗うつ薬、睡眠薬など、様々な種類の薬が挙げられますが、副作用の現れ方は人によって異なります。薬を飲み始めてから消化不良が生じた場合には、市販薬であれば服用を中止し、病院から処方された薬の場合には、医師や薬剤師に相談して薬の変更を検討してもらいましょう。
胃を健康に保つために、日常生活で以下のことを心がけてください。
以下のいずれかにあてはまる場合、胃潰瘍や胃がんなど重大な消化器系疾患の可能性があります。
消化不良自体はそこまで深刻なものではありませんが、慢性化すると辛いのものです。生活習慣の改善で予防できるものは予防し、症状がひどいときや気になる点があった場合は、早めに病院を受診しましょう。
※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。