カンジダ症の症状は口や手にも出るって本当?!

2017/8/10 記事改定日: 2018/4/3
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

「カンジダ症」と聞くと「腟カンジダ」などの性病をイメージするかもしれません。
ですが、実はカンジダ症にはいくつかの種類があり、発症する部位によってみられる症状も様々です。
そこで今回は、カンジダ症の代表的な種類と症状について紹介します。

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カンジダ症の症状は口や手にも出る?!

カンジダ症(真菌感染症、モニリア症)はカンジダ属の真菌による感染症で、発症部位によって症状が異なります。
一般的には口の粘膜、鼠径部(そけいぶ)、わきの下、手や足の指の間のすき間、包皮切除を受けていない陰茎、乳房の下、爪、腹部のたるみなどの皮膚の湿潤部位で発生しやすい傾向があります。
以下の文で、代表的なカンジダ症の症状を見ていきましょう。
※「腟カンジダ症」については次の項目を参照してください

〈1〉口の症状

口に発症するカンジダ症は「口腔カンジダ症」とよばれます。
◆口の中や舌と口蓋と唇の周りに白い斑点があらわれる
◆口の角がひび割れる
◆口の角が赤くなって痛みがでる
・・・などの特徴があります。

口腔カンジダであらわれる斑点は通常は痛みを伴いませんが、食べ物を食べるときや歯を磨くときの刺激で剥がれてくることがあります。そのときに赤く炎症を起こした部分が露出して、少量の出血がみられることもあります。

〈2〉手や爪にあらわれる症状

爪の周りの部分や爪の甘皮に発生するカンジダ症をカンジダ性爪囲炎といいます。
代表的な症状は爪の周囲が赤くなって腫れて痛みを伴うことです。
感染が長期化すると爪の下が白色または黄色に変色して、爪甲(爪の硬い部分)が爪床(爪の下の部分)から剥がれる爪甲剥離症という症状がみられることがあります。
カンジダ性爪囲炎は糖尿病患者や免疫機能が低下している人、手を頻繁に濡らしたり洗ったりする人がなりやすい傾向が高いです。

〈4〉間擦部位の症状

皮膚がこすれ合う部分やへその中で起こることの多い感染で、通常は鮮やかな赤色の発疹が生じ、ときに皮膚の破綻がみられます。
小さい膿疱が発疹の縁にできて強いかゆみやヒリヒリする痛みを生じることがあります。

〈5〉慢性皮膚粘膜カンジダ症の症状

慢性皮膚粘膜カンジダ症は免疫系がカンジダにうまく反応できない場合に発生する、皮膚や粘膜、爪などに慢性的なカンジダ症があらわれる病気です。
赤くて膿がたまって痂皮(かさぶた)ができた厚みのある皮疹が鼻と前額部に現れやすく、乾癬(かんせん― 乾癬)の病変に似ているといわれます。

男性・女性特有のカンジダ症とは?

ここでは、男性・女性それぞれに特有のカンジダ症についてお伝えします。

〈陰茎カンジダ症〉

男性に特有のカンジダ症は「陰茎カンジダ症」です。
主に糖尿病の男性、包皮切除を受けていない男性、セックスパートナーの女性が腟カンジダ症にかかっている男性に起こりやすい病変です。
発症しても症状があらわれないこともありますが、通常は亀頭(陰茎の先端部分)に赤い発疹が生じてその部分の皮膚がむけ、かゆみや灼熱感、痛みを伴うことがあります。

〈腟カンジダ症〉

女性に特有なカンジダ症は「腟カンジダ症」で、特に妊婦、糖尿病患者、抗菌薬を服用している女性に発症しやすい傾向があります。
腟カンジダ症の代表的な症状は、白・黄色のチーズ状のおりもの、腟壁と腟の外部周辺の灼熱感、かゆみ、発赤などです。

カンジダ症かどうかは、どうやってチェックしたらいいの?

〈セルフチェックの場合〉

カンジダ症は発疹や発疹から出る粘り気のある白いかすが出ることが多いので、まずはそれらの症状があるかどうかをチェックしましょう。
ただし、カンジダ症を早く治療するためには原因菌を特定して適切な処置を行う必要があるので、自己判断で市販の治療薬を使わず、必ず病院で診察を受けてください

〈病院での診断〉

病院では診断を確定するためにまずメスや舌圧子(ヘラ状の器具)で皮膚や病変から出たかすを一部こすり取ります。そして、付着したかすのサンプルを顕微鏡で調べるか培地(微生物を増殖させるための物質)の中で培養して、カンジダ症の原因になっている真菌を特定します。

おわりに:まずは病院で原因を特定してから治療しよう

カンジダ症は発症する部位によってみられる症状と適切な処置が異なります。
カンジダ症が疑われたらまずは病院を受診し、原因を特定してから治療薬などを使うようにしましょう。

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