記事監修医師
産業医科大学第1外科
佐藤 典宏 先生
2017/3/9 記事改定日: 2018/8/8
記事改定回数:1回
記事監修医師
産業医科大学第1外科
佐藤 典宏 先生
内耳炎を発症すると、難聴やめまいやふらつき、嘔吐といった症状が現れ、日常生活に支障をきたすことも少なくありません。
今回は、内耳炎の症状や治療方法、手術について解説していきます。重度になってしまわないうちに受診できるように、早期発見に役立ててください。
内耳は体のバランスをとるために不可欠な三半規管です。内耳炎は、この内耳が冒されることで発症します。
内耳炎は、脳髄炎性、ウイルス性、中耳炎性の3つを原因として発症します。内耳は
聴力と平衡感覚を司る器官のため、発症すると耳の聞こえ方が悪くなったり、バランス機能が急激に低下し、めまいやふらつき、吐き気や嘔吐を引き起こします。
内耳炎の症状は、目を覚ました直後に出たり、突然出たり、頻度も重さも人それぞれです。
一般的な症状としては、以下のものが挙げられます。
以上のような症状がある場合、医師に相談してください。より深刻な状態に陥る可能性があります。38度以上の熱、けいれん、麻痺、重度の嘔吐を伴うめまいがある場合は、すぐに医師の診断を受けてください。
内耳炎を引き起こす内耳の炎症は、脳髄炎性、ウイルス性、中耳炎性の3つから発症しますが、ほとんどはウイルス感染が原因です。
インフルエンザや風邪などでに気道に感染した後、内耳炎を発症する人が多いようです。
炎症を軽減するために、非ステロイド性抗炎症薬、もしくはステロイド薬が処方され、通常、数週間後に消えます。
ほとんどの人が2〜3ヶ月以内に完全に回復し、早期に治療すれば難聴が残ることはまれといわれています。
嘔吐が頻繁にある場合、脱水を防ぐために短期間入院することもあります。 治療中は、少なくとも1~2週間、安静にし、突然めまいに襲われる可能性があるので、車の運転、激しいスポーツなどは避けるようにしましょう。
中耳炎が進行すると真珠腫と呼ばれる硬い組織の塊ができたり、耳小骨が固まるなどの症状が現れ、内耳炎に発展することがあります。また、内耳の骨が炎症によって破壊されると瘻孔を形成することも少なくありません。
このような真珠腫性中耳炎などが原因の内耳炎の場合は、薬物療法だけで治療を行うのは困難であり、真珠腫を切除して鼓室や鼓膜を形成する手術や、内耳の瘻孔を塞ぐ手術が必要になります。
入院期間や費用は手術の内容や医療機関によって異なりますが、多くは7~10日ほどの入院を要し、費用は健康保険を使用した三割負担で10~15万円前後が相場とされています。
内耳炎は自然治癒することはなく、自分での判断が難しい病気です。放置して重症化すると手術の必要性が出てくることもありますが、初期のうちであれば回復率が高いといわれています
耳に痛みを感じたり、聞こえが悪くなったりめまいがするときは、すぐに耳鼻咽喉科を受診しましょう。