記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/8/10 記事改定日: 2018/4/3
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
てんかんは脳細胞(ニューロン)が送り出す異常な電気信号によって引き起こされる特徴的な障害群のことで、痙攣(けいれん)やひきつけなどの突発的な発作が起きることが特徴です。この記事では、てんかんの症状・原因・治療法・ケアについてご紹介します。
てんかんとは、脳の神経細胞に突然異常な電気信号が生じたために起こる症状です。乳幼児から高齢者まで、どの年齢でも発症する可能性があります。
てんかんには、原因不明の「特発性てんかん」と、頭部外傷、脳卒中、脳腫瘍など原因が明らかな「症候性てんかん」の2種類があります。てんかんのうち、「特発性てんかん」が全体の約6割を占めており、残りの約4割が「症候性てんかん」と言われています。
てんかんの主な症状は発作で、以下のようにいくつかのパターンがあります。
目を開けたまま、瞳がまぶたに半分ぐらい隠れるほど上にいってしまったり、歯を食いしばったり、呼吸が一時的にとまったり、けいれんしたりする症状が起こります。
全身もしくは手足など、体の一部の筋肉が一瞬ピクッと動くミオクロニー発作や、はっきりしゃべることができなくなる失語発作などがあります。
たとえば、数十秒にわたって意識がなくなってしまう欠神発作や、ぼんやりしたまま動き回る発作などがあります。
脳の神経細胞が異常な電気信号を作り出すことによって、以下のような症状が引き起こされます。
上記のうち、どのような症状があらわれるかは人によってさまざまです。
てんかんはそれ自体で死に至る症状ではありませんが、発作が起きた状況によっては致命的な結果を招く可能性があります。たとえば、車の運転中や水泳をしている最中に発作が起きてしまうと、命に関わる大きな事故につながる可能性があります。
また、「てんかん発作」は、患者にとって社会生活を営む上でハンディキャップとなる傾向もみられます。
てんかんの治療は長期にわたることが多いため、症状が本当にてんかんなのか、ほかの原因の可能性はないかなど、初期診断で見極めて治療の見通しを立てることが大切です。
特に、てんかん発作をくりかえし起こしている場合、脳波やMRI検査などを行って原因をしっかりと確認する必要があります。
てんかんの治療では、長期にわたって薬を服用する必要があることが多いです。
治療では、発作をいかに消失させるか、意識消失を伴う発作の回数をいかに減らせるかが主な目標となります。治療には主に抗てんかん薬が使われますが、発作を防ぐためには自己判断で薬の服用をやめないことが大切です。
てんかん発作が起こっている時間は、通常、数秒から数分間程度とされています。ほとんどの時間は発作が起こっていない状態なので、てんかんを持つ方も健康な人と変わりない生活を送ることができます。
てんかんを持つ方が日常生活を快適に過ごせるようにするためには、周囲の人が病気の特徴をよく理解し、必要以上に活動を制限することなく、その人が持つ能力を発揮する機会を奪い取ってしまわないよう配慮することが大切です。
また、小児の場合は発達や就学、成人の場合は就労や自動車運転、女性の場合は妊娠と出産など、日常生活を営んでいく中で継続的なサポートが必要になります。また、発作が止まりにくい方や、てんかん発作を繰り返すことが原因で起こる脳機能障害や心理的・社会的な障害に対するフォローも重要です。
相談ごとがある場合や、サポートが必要な場合は、市町村の福祉制度や地域活動支援センター、保健所などに相談しましょう。
【 厚生労働省ホームページを編集して作成】
周囲の人にとって、てんかん発作を抱える方は近寄りがたい印象を与えてしまうかもしれませんが、てんかんに関する正しい知識を持つことで、不必要に怖がることがなくなったり、発作が起きたときに適切にサポートできるようになります。てんかんを持っていても、発作が起きたとき以外は健康な人と変わらない日常生活を送ることができる、ということを理解しましょう。