痔とはどんな疾患? ~ 症状・原因・検査・治療 ~

2017/7/31

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

「肛門付近がかゆい」「排便時に痛みを感じる」という場合、もしかしたら痔ができているかもしれません。この記事では、痔とはどういった症状なのか、どんな原因で引き起こされるのか、病院ではどんな検査が行われるのかといった全般的な情報をお伝えしていきます。

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痔とは?

痔とは、おしりの中や周り(直腸および肛門)の血管が膨らんで瘤(こぶ)を形成したもので、肛門管にある血管に継続的な圧力がかかることが発症の主な原因です。血管が腫れあがり、伸びて形が変わることで、痛み、炎症、かゆみ、出血などを引き起こします。

痔には「内痔核」と「外痔核」の2種類があります。肛門管の内側で血管が膨らんだものが内痔核、肛門管より下の部分に形成されたものが外痔核です。内痔核は目視での確認は難しいですが、外痔核はおしりの外のできものとして確認できるでしょう。

痔の原因とは?

痔の原因は、便秘、水分不足、妊娠、出産などいずれも一般的なものです。特に慢性的な便秘や下痢を抱える人にかなりの頻度で見られ、過敏性腸症候群のような病気とも関係しています。また、排便時の過度な力みにより肛門にある静脈に負担がかかりうっ血することで痔ができてしまうこともあります。

痔の症状とは?

次のような症状が見られる場合、痔の可能性があります。

・おしりの中や外側にできものがある
・おしりにときどき激しい痛みを感じる
・おしりの中や周りがかゆい
排便時に肛門付近に不快感や痛みを感じる
・排便時に出血がある
・排便後に粘り気のある液体(粘液)が出る
・残便感

排便時に痛みを感じていても、恥ずかしさから病院に行くのをためらう方も少なくないと思いますが、いったん痔ができてしまうと自然治癒することはなかなかありません。上記のような症状が見られたら、恥ずかしがらずに病院を受診しましょう。

病院を受診する前に

病院を受診する前に、下記を記録しておくことをおすすめします。

いつから痔の症状が出始めたか

血や粘液が便に付いていたことがあったか

・いつ排便したか(排便習慣

・痔になる前に食べたもの
特定の食べ物を食べて便秘になったり、お腹の膨張感を感じたりすることがあれば、そのことも記録しておきましょう。

病院受診後の流れ

病院を受診すると、以下の流れで問診、検査、治療に進んでいきます。

問診

問診では、主に下記の質問をされます。

・排便に時間がかかるか
・肛門に異物などの違和感を感じるか
・肛門付近でかゆみを感じるか
・排便時に力む癖があるか

検査

まずは触診で、痔の程度を確認していきます。肛門の外側に外痔核ができていないか、血栓性外痔核の兆候はみられないか、感染症の疑いはないかどうかを検査します。

もし痔が目視で確認できない場合は、直腸を検査します。検査中、医師はゴム手袋をはめ、潤滑剤をつけて肛門に指を入れ、痔やできものを指先で探していきます。同時に出血の有無もチェックします。内痔核の検査は多少不快感を伴うかもしれませんが、痛くなることはありません。痛みを感じたら医師に伝えてください。

治療

痔の検査が終わったら、症状に合わせて以下の治療が行われます。

1.薬の処方
局所麻酔クリーム、便軟化剤、痛み止めなどが処方されます。

2.手術
血栓症の兆候が確認されたら、痔を小さくするか除去する手術を行う可能性があります。

おわりに:当てはまる症状があれば病院へ

痔がどんな疾患なのか、なんとなくイメージできたでしょうか。痔は便秘や水分不足といった身近な原因で引き起こされる疾患です。痔で悩んでいる人は多く、病院に相談する人も決して珍しくありません。排便時の痛みやおしりのかゆみなど痔が疑われる症状があった場合は、恥ずかしがらずに病院を受診しましょう。

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