記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/2/17
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
生命の源・血液。
心臓でつくり出された血液は、手足の先から脳に至るまで、全身にエネルギーを運んでいます。そして、その血液をクリーニングしている器官が、腎臓です。
腎臓は、人の生命活動を支える核となる部分。もし、腎臓が悪くなれば、水分や老廃物が体内にどんどん溜まり、全身への悪影響ははかり知れません。
わが子が、そんな腎臓の病になってしまったら・・・
お母さんの胸が締め付けられるのは、当たり前の話です。
少しでも心の負担を軽くする、役に立つため、子どもの腎臓病についてお話します。
腎臓病は、薬の服用や食生活の変更で、子どもの日常生活、学校生活に大きく影響します。
腎臓病を抱える子どもが心配なのは親として当然のこと。子どもの健康状態について知りたいこと、不安を覚えることはたくさんあるはずです。
ここでは、そんな子どもの腎臓病に関する疑問に答えていきたいと思います。
子どもの病状によっては、腎臓病は腎不全となり、腎臓移植が必要になります。そんな場合、親として、子どものため自分の片方の腎臓を移植する人は少なくありません。
腎臓移植を受ける患者のほとんどは、生きている人が臓器提供者となり、そのドナーは家族であることが多いです。血液型が一致することが多いからです。
腎臓の片方を提供したとしても、ドナーは、その後も問題なく人生を送ることができます。
腎臓提供は重大な事であり、腎臓移植は、厳しいルールに基づき、検査と話し合いを繰り返した上で初めて施すことができる大手術です。
医療チームとよく相談し、腎臓移植手術が治療として可能かどうか判断し、可能な場合、そして臓器が適合する場合に臓器提供を決定することになります。
腎臓は、子どもの成長に重要な役割を果たす器官であるため、腎臓病を患っている子どもは、成長ホルモンの分泌が低下し、背が伸びなくなる可能性があります。
また、病状が深刻だと、気分が悪くなったり、味覚が変わったり、食欲がなくなります。
~子どものためにできること~
腎臓病を患っている子どもが、栄養をきちんと摂取できるようにすることが大切です。
成長を助けるためにどのような方法があるか、医師に相談し、話し合ったうえで、処方を検討してください。サプリメントを飲ませたり、脂質や炭水化物を多めに摂って摂取カロリーを増やしたり、成長ホルモンの注射、特定の食べ物を制限することで効果が出ることがあります。
腎臓病を患う子どもは、学校を休みがちになるため、同年代の友達をつくったり、周囲に溶け込むのが難しくなる可能性があります。
また、腎臓病のために、年齢の割りに体が小さかったり、太りすぎてしまい、自信を失い、極端な内気になってしまう場合もあります。
~子どものためにできること~
ほかの子どもと遊んで、友だちづくりができる機会をつくってあげましょう。同じ病院の子どもや、地域の学童クラブなど、学校以外にも、友達ができる場所があります。
腎臓病が学力に影響することはありませんが、腎臓病の子どもは、病院で過ごす時間が多くなり、学校の勉強についていけなくなる可能性があります。
~子どものためにできること~
子どもが学校を休まなくてはいけない場合、塾や家庭教師など、勉強で助けられることはすべてしてあげてください。学校の先生にお願いして、勉強に追いつけるよう、個別に宿題を出してもらうことを頼んだり、学校からできる限りの学習サポートを受けられるようにしてください。
また、子どもの学力に関して心配がある場合は、学校、または担任の先生に相談してください。
病気の子どもに対しては、一般的に必要以上に過保護になりがちです。しかし、腎臓病を患う子どもにとって、運動は非常にいい効果をあたえます。ただ、ほかの子どもに比べ、疲れやすい可能性があることを覚えておいてください。
~子どものためにできること~
友達と同じ運動をするように勇気づけてください。人工透析を受けている場合の水泳、腎臓移植後の接触スポーツを避けたほうがいい以外、ほとんどの運動は問題ありません。
薬の服用は、腎臓病を患う子どもにとっては、必要不可欠。しかし、生活の一部となっていることにストレスを感じ、服用をやめてしまうことがあります。
~子どものためにできること~
なぜ薬を飲みたくないのか考えてください。思春期の子どもは、外見の変化が嫌で薬の服用をやめてしまう場合があります。
健康のために薬がいかに重要で、飲まないとどうなってしまうか、きちんと話してください。また、子どもが薬を飲んでいないと思ったら、すぐに病院の医療チームに話してください。
腎臓病の医療チームは、医師、看護士、精神科医、カウンセラー、ソーシャルワーカーなど、子どもが気軽に相談できる、さまざまな専門家を紹介することができます。
~子どものためにできること~
子どもが腎臓病の医療チームのメンバーに相談できる機会をつくってあげてください。また、子どもの頃に腎臓病を経験したティーンや、同年代の腎臓病の子どもと会わせてあげることも、心の負担を軽減します。
腎臓病を患う子どもの兄弟姉妹は、あまりかまってもらえなくなるため、孤独を感じたり、不安になったりします。親として、腎臓病の子どものケアが最優先になるのは、いたしかたありませんが、他の子どもの心のケアも心に留めておいてください。
また、精神科医やカウンセラー、ソーシャルワーカーに相談することで気持ちが楽になる親御さんもいます。自分と同じような状況にある人のグループや、サポートグループが助けになることもあります。積極的に参加してください。