記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/8/10 記事改定日: 2018/3/29
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
片頭痛は重度の頭痛であり、激しくずきずきする痛みが最大72時間続きます。片頭痛は世界で8番目に多い身体障害性疾患といわれています。 今回の記事では片頭痛の原因を解説します。
現在では、片頭痛が何によって引き起こされているのかまだ正確に解明できていませんが、環境要因と遺伝子要因の両方が関与していると考えられています。
また、脳内化学物質であるセロトニンが関係しているとも考えられています。セロトニンは神経系の痛みの抑制作用がありますが、片頭痛が起こっている間はこの神経伝達分泌の値が下がるといわれています。
片頭痛の痛みのほとんどは、頭皮の動脈あるいは顎や首の筋肉から生じているといわれています。
顎や首の筋肉の緊張が原因のものは、筋肉を治療することで動脈の痛みが治まり片頭痛の痛みも改善することがあります。
動脈の痛みで筋肉が緊張して片頭痛になっている場合は、動脈を治療することで筋肉が緩み片頭痛の痛みが消えることがあります。
片頭痛に関与している動脈は通常、こめかみにある浅側頭動脈、あるいは後頭部にある後頭動脈といわれています。ただし、他の細い動脈が関与していることもないわけではありません。
片頭痛を引き起こす「トリガー」として、以下のものが挙げられます。
片頭痛の痛み特徴は、激しくずきずきする拍動性の痛みで、額やこめかみ、耳、顎、耳の周りなどに生じます。通常は頭の片側から痛みが生じますが、反対側にも痛みが広がる場合もあります。
片頭痛は主に下記の2つの種類に分けられます。
片頭痛の20~30%は前駆症状のあるものです。前駆症状とは、通常頭痛が始まる15~30分前に起きる一連の症状のことをいいます。
片頭痛は前駆症状が先に起こることもあり、その場合通常頭痛が始まる約30分前から前駆症状が生じ始めます。前駆症状としては以下のような症状があります。
片頭痛と共に、以下のような症状も生じることがあります。
片頭痛の前駆症状として急激な肩のこりを自覚することがあります。片頭痛が起きる一日以上前から生じることもあり、疲労感や眠気と共に急に肩が重苦しく感じることが多いです。肩こりは最も早く生じる前駆症状の一つでもあります。
ちなみに、片頭痛で生じる肩こりは「前駆症状」として現れますが、筋緊張型頭痛では、肩こり自体が頭痛を発症する原因となっています。肩こりの状態が続くと、筋肉の血流が悪くなり、筋肉内に酸性の老廃物が溜まることで、その老廃物が神経を刺激して筋緊張型頭痛が生じると考えられています。
日常生活に支障が出るような頻度や重症度で頭痛が発症する場合には、発作予防の薬が処方されることがあります。毎日飲み続ける必要があり、効果には個人差があるので医師とよく相談してみましょう。
また、マグネシウムやビタミンB2は片頭痛によいといわれており、これらを含んだサプリが多く販売されていますが、最も大切なのはストレスや疲れを溜めない生活を送ることです。片頭痛はストレスや過労、緊張などによって引き起こされることがわかっています。ですから、適度なストレス解消方法を見つけるようにしましょう。
しかし、しっかり予防をしていても発作を完全に防げるわけではないのが片頭痛の辛いところです。片頭痛は前駆症状があることが多く、何かしらの異変を感じて頭痛を予期した場合には早めに鎮痛薬を飲んで対処しましょう。また、まぶしい光や騒音などをさけ、暗い静かな部屋で休むこともおすすめです。
片頭痛の治療薬として第一に選択されるのは、トリプタン系薬剤です。トリプタン系薬剤は、脳内のセロトニン受容体に作用して、痛みを感じにくくしたり、血管を収縮させる効果があります。トリプタン系薬剤は発作時に服用すると効果がありますが、前駆症状が生じた段階で飲んでも効果はありませんので注意しましょう。
副作用としては倦怠感や眠気などが有名ですが、長期間服用を続けると、逆に症状が悪化することがあります。また、薬の値段が高く、経済的な負担が大きいことも問題となることがあります。
トリプタン系薬剤は医師からの処方がないと購入することはできませんが、世の中には様々な種類の頭痛薬が市販されています。病院に行く時間のない人や、軽度な片頭痛の人は自分で薬を購入して、何とか頭痛をやり過ごしている人も多いでしょう。しかし、市販の頭痛薬を漫然と使い続けるのは非常に危険です。
ひと月の半分以上で頭痛薬を飲んでいたり、効いていた薬の効果が薄くなったりした場合には注意が必要です。これは、市販薬の乱用による「薬物乱用頭痛」の可能性があります。不適切な頭痛薬の乱用を続けることで痛みに敏感になり、以前は辛く感じなかった軽度な痛みにも耐えがたい苦痛を感じるようになることが原因と考えられていますが、薬を飲んでも改善しない頭痛が長く続くことでQOLが著しく低下します。
片頭痛を疑った場合には、自己判断で市販薬を服用せず、病院を受診して自分の症状に合った薬を処方してもらうようにしましょう。
片頭痛のはっきりした原因はまだ解明されていませんが、片頭痛を引き起こす可能性のあるものはさまざまなものがあります。喫煙やアルコールなどは健康にも悪影響を及ぼすので控えることをおすすめします。
また、一時しのぎで市販薬を乱用すると薬物乱用頭痛を引き起こす場合があるので、疑わしい症状があるときは早めに病院を受診しましょう。