死亡者も発生!カンピロバクター食中毒

2017/3/15

山本 康博 先生

記事監修医師

東大医学部卒、独立行政法人国立病院機構東京医療センター

山本 康博 先生

日本で最も発生率の高い食中毒は何だと思われますか?

大腸菌?サルモネラ菌?ノロ?

残念ながら・・・

「ああっ、O-157!」

いえ、それも違います・・・。

悪名高い細菌の数々を抑え、堂々の1位に座に着くのは、カンピロバクター、
実に、年間300件、患者数2,000人の食中毒の発症件数を誇ります。

「で、おたくだれ?」
と言いたくなるような、ある種無名の存在ですが、

飲食業界では、最も恐れられる大物、2015年には、北海道の焼き肉店で集団食中毒を発生させ、死亡者を出しました。

原因となる食べ物は主に鶏肉。
本来であれば、使ったまな板や包丁は熱湯や漂白剤でしっかり殺菌する必要がありますが、一般家庭では、鶏肉と食中毒のイメージはあまり強く結びついていないのが現状です。

この記事では、このカンピロバクターについて紹介します。

生の鶏肉は絶対に洗ってはいけません

調理する前の生の鶏肉を洗うと、カンピロバクター菌による食中毒の危険性が高まります。蛇口の下で鶏肉を洗った際に水が飛び散り、カンピロバクター菌が手、衣服、調理器具に広がる可能性があるからです。

カンピロバクター菌は、ほんの少し付着しただけで、食中毒を引き起こす原因になります。

カンピロバクター菌による食中毒は、菌に汚染された食べ物を食べてから2〜5日後に発症し、腹痛、重度の下痢、発熱および嘔吐が引き起こされます。たいていの場合発症後2〜5日以内に治療なしで回復します。

水では細菌の除去はできません

生の鶏肉を洗ったり、血を洗い流しても、細菌の完全な除去はできません。

凍結させても、カンピロバクター菌は完全に死滅するわけではありません。完全に死滅させる方法は、鶏肉を徹底的に加熱調理することだけです。

カンピロバクター中毒の予防法

生の鶏肉はラップに包んで冷蔵する

肉汁が他の食品にかかることで、細菌が飛散しないよう、生の鶏肉はラップに包んで冷蔵庫の底に保管します。

生の鶏肉は洗わない

鶏肉に存在する細菌は、加熱調理でのみ死滅します。鶏肉を洗っても、細菌の飛散による汚染リスクが発生するだけなので、決して水洗いしないでください。

使用済みの調理器具は洗う

生の鶏肉の調理に使ったまな板、包丁は徹底的に洗って清潔にしてください。また、生の鶏肉に触れた手も、石鹸と水でよく洗うようにしてください。

しっかりと加熱調理する

食べる前に鶏肉にきちんと火が通っているか確認します。肉の最も厚い部分を切り、ピンクの部分がないか、肉汁が透明かどうか確認してください。

カンピロバクター中毒の治療

脱水症状を避けるために水分を十分に摂り、経口補水塩を服用し、安静にします。食事ができるようであれば、消化しやすい物を食べます。
症状が深刻な場合は抗生物質が処方されることもあります。

以下のような症状がある場合は、医師の診察を受けてください。

・嘔吐が2日以上続く
・水も受けつけない状態が2日以上続く
・下痢が3日以上続く
・吐いたものに血が混じる
・便に血が混じる
・発作(ひきつけ、けいれん)
・意識障害
・視界不良
・ろれつが回らない
・脱水症状

妊娠中に食中毒になった場合、胎児への影響が心配されるため、必ず医師の診察を受けてください。

おわりに

ある調査によれば、非常に多くの人が、調理前に鶏肉を洗っているということが、分かっています。

また、サルモネラ菌と大腸菌は知っているものの、カンピロバクターについては、知っていた人は2割程度。

しかし、食中毒の原因のダントツの1位はカンピロバクター。大腸菌、サルモネラ、リステリアが原因の食中毒の発生件数の合計よりも多いのです。

鶏肉は洗ったりせず、しっかり加熱調理しましょう。これがカンピロバクターによる食中毒を防ぐ基本です。

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