HIV検査キットの信頼性は大丈夫?やっぱり保健所の方がいいの?

2017/3/14 記事改定日: 2018/6/11
記事改定回数:1回

佐藤 典宏 先生

記事監修医師

産業医科大学第1外科

佐藤 典宏 先生

HIVは早期のうちに発見できれば、エイズを発症するリスクをかなり下げることができます。発見のためには検査が必要です。手軽に検査が受けられる「HIV検査キット」もありますが、信頼性は大丈夫なのでしょうか。

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HIVの早期検査が必要なわけ

HIVは、コンドームなしの性行為、注射針を共有したり、体液(血液、精液または腟液など)で感染します。
HIVかもしれないと感じたら、早期のうちにHIV検査を受けることが重要です。検査を受けず未診断のままだと、自分にエイズ発症の危険があるだけでなく、HIVをほかの人に感染させる危険もあります。
適切な治療とケア、感染の拡大を防ぐためにも、早期の検査が必要です。を受けることができます。

HIV検査キットとは?どこで買えるの?

HIV検査キットとは、唾液や血液を少量採取し、それを検査機関に送付して検査を行うことができるものです。
アメリカなどの海外では、薬局で購入することができますが日本では承認されておらず、インターネットを介して購入するか民間の検査機関を介するしかありません。

保健所や医療機関を受診する必要がなく、仕事や学校で検査機関に行けない場合や顔を見られたくないなどの事情がある場合に適した検査方法であるといえます。

信頼性は大丈夫?

検査キットでの検査は非常に利便性が高い一方で、血液や唾液を自分で採取するため、検査に必要な十分な検体を取ることができない場合もあり正確な検査結果が得られないこともあります。
このため、日本でのHIV検査は医療機関や保健所の検査が基本であり、検査キットはあくまで目安として考え、感染が強く疑われる出来事があった場合や気になる症状がある場合には早めに然るべき検査機関で検査を受けるようにしましょう。

HIV検査はどこで受ければいいの?

日本ではIHV検査は保健所や自治体の相談室などで無料・匿名で検査を受けることができます。同時に性感染症や肝炎の検査を行うことができる機関もあります。検査の予約方法や受け方などが実施機関によって異なりますので、希望する機関のホームページを参考にしたり、電話で確認してみるとよいでしょう。
また、自費診療にはなりますが医療機関で検査を受けることもできますので、かかりつけ医がある場合には医師に相談してみましょう。

即日検査はあるの?

HIVの検査には通常検査と即日検査があります。
通常検査とは、血液の中にHIVが潜んでいないか遺伝子検査を行うものであり、結果が分かるまでに一週間ほどかかります。一方、即日検査とは血液中にHIVに対する抗体がないかを調べる検査であり、簡易的な検査用紙が開発されているため、検査後30分以内で結果がわかります。
しかし、即日検査はあくまで感染の有無をスクリーニングする検査であり、検査で陽性が出た場合でも感染していないこともあります。このため、即日検査で陽性となった場合には通常検査で感染の有無を確定する必要があります。
一般的に保健所などで行われる検査は即日検査がほとんどであり、陽性となった場合にだけ通常検査が行われます。

検査が遅れてしまうとどんな危険がある?

HIVの検査が遅れて未治療のまま放置すると、免疫システムが損なわれ、肺炎などの重篤な病気に発展する危険性が高くなります。このようにしてウイルスが免疫系を破壊するのには約5〜10年かかるといわれています。

この段階でHIVと診断された場合(後期診断と呼ばれる)、抗レトロウイルス薬治療が有効ですが、予後に影響を与える可能性があります。

おわりに:検査キットの結果だけで安心せず、早めに保健所か専門の医療機関で検査しよう

HIVに感染してエイズを発症すると、命に関わる合併症に発展します。治療薬で発症をある程度防ぐことはできますが、見た目では感染しているかどうかわからないので、まずは検査が重要です。思い当たることがある場合に検査を受けることはもちろんですが、定期的に検査を受けることで、リスクを減らすことができます。
手軽に検査できるという点で検査キットを使うのはかまいませんが、信頼性の面で不安な部分もあるので、必ず保健所か専門の医療機関で検査を受けるようにしましょう。

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