記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/8/10
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
喘息の発作を経験したことがある人々は、喘息の発作は象が胸の上に座っているように感じるといい、また他の人々は、呼吸がストローからピーナッツバターを吸い出そうとするような重労働になるといいます。今回の記事では喘息について解説します。
気管支喘息(以下、喘息)とは、おもにアレルギーなどの要因によって気道が狭窄することで、肺から出入りする空気の量が制限されてしまう呼吸器の病気です。咳や痰、息苦しさ、喘鳴(ぜんめい:呼吸をするときにひゅーひゅーと音がすること)などの症状が現れ、胸の痛みが起こる場合もあります。
喘息は幼い頃から10代までによく発症するといわれています。喘息が発症する原因は完全に解明されたわけではありませんが、アレルゲンやタバコの煙、汚染された大気などの「増悪因子」に気道が過敏に反応してしまうことが原因と考えられています。
何らかの増悪因子により気道が刺激されると、発作で気管支の平滑筋の筋肉が収縮し、気道の内側が炎症を起こして腫れてしまいます。そのため気道が狭くなり、呼吸がしにくくなります。
上記で説明したような、咳や痰、喘鳴以外にも、呼吸が速くなったり、首や胸の筋肉が緊張するような症状も現れます。発作で夜眠れない状態が続いたり、不安感からパニックを起こしたりなど、日常生活に支障がでることもあり、激しい発作が起こると命に関わる場合もあります。医師の指導のもと発作をきちんと管理することが大切です。
喘息は男の子に多いとされ、アレルギーか、アレルギーを持った家族の出身の子供達に主に見られます。花粉症やアトピー性皮膚炎などの関連するアレルギー性の症状と同様、家族間で多く発症する傾向にあるといわれています。小児喘息の約50%は10代のうちに症状が良くなるとされていますが、症状が治まったからといって喘息が完治したと思わないようにしましょう。喘息が落ち着いた人の約30%は大人になって再発するとされ、再発した喘息は長く続き、寛解しにくいといわれています。
喘息は、問診で病歴や症状、増悪因子などを詳しく確認をした後に、喘息以外の病気(肺や心臓の病気)を持っていないか検査されます。胸部X線検査などで喘息以外の病気による可能性が除外された段階で、スパイロメトリーとメサコリン誘発試験(日本で施行できる施設はあまりありません)などの肺機能検査が行われます。また、増悪因子の特定のために、アレルギー検査が行われる場合もあります。最近では呼気NO検査を行うこともあります。
喘息発作をすべて防げるわけではありませんが、以下の方法で発作を起こりにくくすることはできます。
・医師の指示する頻度で喘息の薬を服用しましょう。
・1日に数回、最大呼気流量計(ピークフローメーター)を使用しましょう。こうした機器が喘息の活動度をチェックするのに役立ちます。
・肺がどれほど機能しているかを把握するため、定期的に医師の診察を受けましょう。これは、薬が体に合っているかを確認するためにも必要なことです。
喘息の原因ははっきりと解明されていませんが、子供時代に発症した喘息は10代までに治まることも珍しくありません。しかし、大人になってから再発することも多く、再発後は長患いする傾向にあります。喘息を完治させることはできませんが、発作を起こりにくくコントロールすることは可能です。正しく発作をコントロールするために、定期的に医師の診断を受けるようにしましょう。