記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/8/3 記事改定日: 2018/5/17
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
ニュースなどで食中毒の話題を耳にすることもあると思いますが、食中毒はうつるということをご存知でしょうか。
ここでは、食中毒の二次感染について解説しています。予防法についても紹介しているので参考にしてください。
食中毒の原因は主に細菌、ウイルス、自然毒、化学物質がありますが、その中でも「うつる」可能性が高いのはノロウイルスのようなウイルスが原因の食中毒と考えられます。
これは他の原因菌に比べて、接触による感染や飛沫感染が起こりやすいからです。
など、ほとんどが経口を通して感染するため、もしノロウイルスが原因の食中毒になった場合は感染を拡大させないための対策が必要です。
以下のような行為は、食中毒がうつる可能性が高まるので注意しましょう。
また、ノロウイルスは飛沫感染をしやすいため、人が多い場所や共同施設では二次感染のリスクが高くなります。
ノロウイルスに感染すると、37~38度の発熱、嘔気、嘔吐、下痢などの症状があらわれます。
下痢や嘔吐などで吐き下しをした汚物には強い感染力を持つノロウイルスが大量に含まれているため、二次感染を招く危険性が充分にあります。
ノロウイルスに感染している場合は、食中毒を周りの人にうつさないように注意をしましょう。
食中毒にかかったお子さんや患者を看病した場合は、作業後や食事の前、トイレの後には入念に手洗い・うがいをして感染を広げないように努めてください。
石けんを泡立て、手や指先をすりあわせるようにして30秒以上洗います。
石けんそのものに殺菌効果はありませんが、手をこすり合わせて摩擦を起こすことで物理的な汚れと共にノロウイルスを取り除くことが可能です。アルコールによる殺菌ではノロウイルスを取り除けないことに注意してください。
加熱処理はウイルスの活性を失わせるために効果のあるな手段のひとつです。
特にノロウイルスの汚染のおそれのある二枚貝などの食品を調理するときは、中心部を85℃~90℃で90秒以上加熱するようにしてください。
ノロウイルスによる食中毒を防ぐ有効な方法として、次亜塩素酸ナトリウムを使った消毒があります。
洗剤などで洗浄した後に、調理器具を次亜塩素酸ナトリウム(塩素濃度は200ppm以下が望ましい)で浸すように拭くことでウイルスの働きを弱めることができます。
次亜塩素酸ナトリウムを含む家庭用の塩素系漂白剤(ハイター、ブリーチなど)でも代用できますが、短い期間に多量の次亜塩素酸ナトリウムを摂取すると人体に悪影響を及ぼすため、使用の際には容量を守るようにしてください。
細菌性食中毒も二次感染を引き起こすことがあります。
食中毒を引き起こす細菌は、感染者の便とともに体外に排出されます。このため、感染者の便を介して他者に接触感染や経口感染を生じることがあるのです。
便と共に排出された細菌は、便座や感染者の手に付着する可能性があり、感染者の手によってドアノブやトイレレバー、電気スイッチなど様々なものを汚染することが考えられます。そして、それを他者が触って無意識のうちに口に触れてしまうと細菌を体内に取り込んでしまうことがあるのです。
また、感染者の手から菌に汚染された食品を介して感染することもあります。これらの感染様式を接触感染や経口感染と呼びますが、このようにして細菌性食中毒の二次感染が拡大することがあります。
二次感染を引き起こす食中毒の代表的な原因菌としては、腸管出血性大腸菌やサルモネラ、カンピロバクターなどが挙げられます。
主に牛肉に潜んでいる菌ですが、たい肥などを介して汚染された野菜や井戸水によって感染することもあります。腸管出血性大腸菌は激しい下痢の後に血便を引き起こし、急性脳症や溶血性尿毒症症候群などの生命の危機を及ぼす重大な合併症を併発することもあります。特に小児や高齢者が感染すると時には死に至ることもある恐ろしい病原菌です。
牛肉や鶏肉、卵、乳製品などによって感染しますが、一般的に家庭で飼育されているペットから感染することもあります。加熱には弱いですが、低温に耐性があるため、冷凍食品を介して感染することも多々あります。
嘔吐や頻回の水溶性下痢、38度以上の高熱を引き起こし、脱水症状を引き起こしやすいのも特徴です。
最も発生件数が多い食中毒の原因菌です。鶏肉が原因となることが多く、比較的少ない菌量でも症状が引き起こされるため、発生件数や患者数が多くなるのが特徴です。
潜伏期間が1~7日と長いのが特徴で、発熱や腹痛、下痢を生じます。多くは一週間ほどで治りますが、まれに腹膜炎やギランバレー症候群などの重篤な合併症を引き起こすこともあります。
一般的に「うつる」と言われるのは、ノロウイルスなどのウイルスが原因となっている食中毒です。モノや人との接触や飛沫感染が多いので、予防のために手洗い・うがいを念入りに行なって感染を広げないように気をつけましょう。