食後の血糖値が気になる?血糖値上昇の対処法とは

2017/8/7

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

糖尿病を管理しようとしている場合、常に血糖値に対処することが大切だということは既にご存知でしょう。しかし、食後に起こる血糖値の急上昇へはどうやって対処しますか?これは「食後血糖値」と呼ばれ、簡単な手順を踏めばコントロールすることができます。今回は食後の血糖値について解説します。

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血糖値に気をつける必要がある理由

血糖値が高いと、頭にもやがかかったような症状が現れ、はっきりと何かに集中したり、考えたりすることができなくなってしまうことがあります。体力も急激に低下し、神経質になったり憂鬱になったりするかもしれません。血糖値が高い状態が長期間続くと、心疾患や脳卒中、腎臓病やその他の問題が生じるリスクが高くなります。逆に血糖値があまりにも低くなると、意識を失ってしまう可能性もあります。

血糖値を測る方法

米国糖尿病学会(Sessions American Diabetes Association: ADA)は、食前および食後、食事で最初の一口を食べてから1~2時間経った時の血糖測定を推奨しています。これを1週間ほど続けます。その際、測った時間と血糖値をメモしましょう。薬や運動、自分が食べたものやその量、炭水化物の量など、血糖値に影響すると考えられるものはすべてメモしておきましょう。

食後の血糖値の上昇を管理する方法

血糖値の上昇を管理する方法を以下に示します。

自分に効果のある薬を使う

適切なインスリンあるいは薬を服用することが、血糖値のコントロールに重要です。一般的に、食後の血糖値の急上昇を予防するためには、ゆっくりと効果が現れて長い間持続するものよりも、効果がすぐ現れてその効果の持続期間が少ないものの方が適しているとされています。医師に相談し、自分に合った薬を処方してもらいましょう。

食べるものに気をつける

甘いもの、白パン、米、パスタ、ジャガイモなどの炭水化物は吸収が速いため、食後の血糖値が急激に上がりやすい食べ物です。また、脂肪の種類が血糖値の上昇に影響している場合もあります。例えば、バターが多く含まれている食べ物の代わりに少量のオリーブオイルで作られた食事を選ぶことで、食後の血糖値の急上昇を抑制することができるということが明らかになっています。

毎朝朝食をとる

どれだけ急いでいる時でも、朝食は抜かないようにしましょう。研究によって、朝食を食べていない糖尿病患者は、昼食後や夕食後に血糖値がより急激に高くなることが明らかになっています(朝食を食べていない分、昼食や夕食の量が増えるからかもしれません)。

理想的な朝食は、タンパク質を多く含むものをおすすめします。小規模な研究では、タンパク質が35%で500カロリーの朝食を食べた人は、炭水化物を多く含んだ朝食を食べていた人よりも、食後の血糖値が低かったということが示されています。ただし、何が自分に適しているか理解するためには、医師に相談するようにしましょう。

夕食後は散歩に行く

これは全ての人にとって健康的な習慣ですが、糖尿病の人の場合は、食後の血糖値の上昇を抑えることに特に役立ちます。

炭水化物は血糖値が上がりやすい

炭水化物を吸収すると血糖値が上がります。その結果、膵臓のベータ細胞には「インスリンを血流へ放出して血糖値を下げるように」というサインが送られます。インスリンの作用によって細胞が血糖を取り込みエネルギーとして活用され、使われなかった血糖の一部はグリコーゲンとして肝臓などに蓄えられます。

おわりに:食後の血糖値について医師と相談しよう

食後にどのくらい血糖値が上がりましたか?血糖値がどのくらいであるべきかについての専門家の主張はそれぞれ異なっていますが、ADAは一般的な目標は食事の1~2時間後に血糖値が180ml/dL以下であることだと述べています。どこを目標にすればいいかについて医師と相談しましょう。また、医師に話すことなく薬剤を調節しないようにしましょう。

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