記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/8/7
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
難聴の原因は遺伝的要因と遺伝以外の要因の2種類に分けることができます。また、難聴はリスクを回避することができる場合もあります。今回は難聴の原因について解説します。
ほとんどの難聴は遺伝的なものであるとされ、遺伝的な難聴のうち、生まれつきのものは3分の1だけと考えられています。あとの3分の1は幼少期に始まり、残りの3分の1は大人になってから顕在化するといわれています。
遺伝以外の難聴の要因には、様々なものが挙げられます。
出生前の要因には以下の2種類があります。
妊娠期の最初の28日に、母親が感染症、特に風疹とサイトメガロウイルスに感染すると、赤ちゃんは難聴になりやすいと考えられています。妊娠期の最初の8週間の間に母親が風疹に感染した場合、86%の確率で赤ちゃんは難聴になるというデータもあります。初期に限らず、風疹は妊娠期を通じて危険な感染症のため、注意が必要です。
糖尿病や甲状腺の病気などの代謝性疾患と同様、Rh不適合を含むその他の要因が難聴に影響を及ぼす可能性があります。
出生時の段階での難聴で多く見られる要因として、分娩外傷、黄疸、酸素不足などが挙げられます。
この要因に含まれるのは、
・髄膜炎など、ウイルス性、細菌性の感染症
・薬物中毒
・過剰な雑音との接触
・中耳炎
・頭部損傷
耳の感染症は痛みを伴い、直ちに治療が必要です。治療が遅くなると、感染症は永続的な損傷に発展する可能性があります。感染症が要因の難聴は、その原因を排除するか、医学的に処置することで物理的に改善することが可能です。
以下に外耳感染症(外耳炎)にかかる原因を解説します。
大きな耳垢のように、外耳道にある何らかの物体が原因で感染症が起こることがあります。耳垢以外にも、豆、粘土の欠片、小さな虫などの異物も、感染症の原因になります。簡単に取れるものは取り除いてもかまいませんが、無理に取り除くうようなことはしないでください。外耳道に異物を発見した場合は、すぐに病院を受診しましょう。
外耳道の中の皮膚は繊細です。乱雑な耳掃除で肌を引っかいてしまうと、傷口が原因で感染症が起こる場合があります。
スイミングプールの中の塩素(と汚れたスイミングプール内の細菌)は外耳道に炎症を作る可能性があります。
子供が耳に痛みを抱えていたり、耳から膿がでているようであれば、外耳感染症になっている可能性があります。子供に口を開いてもらい、優しく耳たぶを引っ張りましょう。これが痛むようなら、耳の感染症が疑われます。
中耳炎は、中耳に起こる炎症、感染症のことであり、難聴の要因として一般的なものです。中耳に液体が溜まることが、感染症が起こる主な原因とされています。
中耳炎は5歳以下の子供、特に2歳以下の子供に多いです。この時期の子供は、喉と耳を繋ぐ耳管が短いため細菌とウイルスが鼻や喉から中耳に移動しやすくなっています。これが炎症を起こしやすい原因と考えられています。
また、咽頭扁桃腺の肥大がある子供は、耳管へ繋がる入り口を塞いでしまい、粘液が喉に流れ込むのを妨げてしまいます。これも感染症を引き起こす原因となります。花粉症になりやすかったり、口蓋裂のある子供たちは特にリスクが高いといえるでしょう。
ヘッドフォンを外すことをおすすめします。 推定では11億の若者が大音量の音楽を聴くことで、難聴になる危険にさらされています。ほぼ半分の10代と若年成人がヘッドフォンで危険なレベルの音量で音楽を聞いているとされ、40%はクラブやバーやスポーツイベントなど、「娯楽の雑音」が過剰な場所で聴力を危険にさらしているとWHOが発表しています。
リスクの軽減のために、大音量の音楽をヘッドフォンで聴くのは1日に1時間以下にすることをおすすめします。娯楽施設は音のレベルを制限し、耳を保護するための耳栓と音が静かなエリアを顧客のために設けるべきだとWHOは推奨しています。
難聴は身体的、精神的健康、そして若者の教育と雇用の見通しに深刻な結果をもたらす可能性があるとWHOは警告しています。ひとたび難聴になると、聴力は元に戻らないということを覚えておきましょう。