記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
ランニングをするにあたって、「何となく無音だと味気ないから」と携帯プレイヤーなどで音楽を聴かれている人も多いと思います。このランニング中の音楽は、実は科学的に見ても効果があることが分かっています。研究によると、音楽を聴きながらランニングをすることで、より効率的に、長く時間走れるようになるようです。この記事では、ランニング中に音楽を聴くことが私たちにもたらす効果について紹介します。
音楽は私たちの心の状態に影響を与えます。気分を高めたり、リラックスさせたり、元気付けるなど音楽は私たちの気分を変えてくれます。
また読書から運動に至るまで、どんな活動をしているときでも音楽を聴くことができるので、その活動に合ったテンポの音楽を聴くことでその活動の楽しさを倍増させることができます。
特にランニングのような反復運動をしているときは、音楽を聴くと疲れを感じにくくなると言われています。ある研究によると、運動中に音楽を聴くと、疲労感を最大12%減らすことができるということが分かっています。
また、ランニング中に音楽を聴くと、心臓の鼓動ではなく歌のビートに意識が向くため、気を紛らわすことにも繋がります。
疲労感を軽減することで、その可能性はあります。実際に音楽のビートに乗って走った場合、そうで場合と比べてよりリズミカルに走れ、ランニングが効率的になるということを示す研究結果があります。音楽のリズムに合わせてウォーキングをした人は、持久力が15%向上した例もあります。
ビートに乗って走るというのは、音楽のビートをランニングのスピードに合わせるということです。音楽のスピードを上げることによって、歩を進めさせます。
理想を言えば、ビートは曲全体にわたって均一であった方いいです。従って、途中でリズムが変化しない曲の方が好ましいです。プレイリストを作成するときに、似たようなビートの曲を選んでみてください。
ビート・パー・ミニット(bpm)音楽とは、走るテンポに合った拍数で構成された曲のことです。すべての音楽にbpmがあります。ランニング初心者は120bpm程度、中級者は140bpm程度と言われています。
身体には自然なリズムがあり、リズムに合わせて動いているときが最も効果的です。
ビートに乗って走るのは、音楽に合わせて踊るようなものです。
人は音楽のテンポに合わせて踊る傾向があります。同じようにランニングでは、自然に音楽のスピードに調子を合わせる傾向があるのです。
目的に合った音楽を選択する必要があります。非常にゆったりとランニングしたい場合は、100bpm程のbpmの低い曲を選んでください。
もっと活発に走りたい場合は、より高いbpmの曲を選んでください。どんな曲を選ぶとしても、楽しく聴けるものにしてください。
気分が乗らないとき、ドアを出るまでが一番の難関ポイントです。そういう時は、音楽を聞くことで運動モードに入りましょう。プレイリストの始めにやる気を起こさせる曲を入れておいてください。そして再生ボタンを押すことで「これからランニングに行く」という合図を脳に送り、短時間で外出できるようになります。
音量は控えめにしましょう。音楽を聴きながら屋外を走る場合、自分の周りで起こっていることに注意を払う必要があります。道路の交通量、自転車に乗っている人、犬など、常に周囲には気を配るようにしてください。
ランニングは身体にとっても脳にとっても良いことは様々な研究から証明されています。ただそれでも、習慣として定着していない人にとっては、なかなか初められなかったり、続かなかったりするのではないでしょうか? そういう人は是非、まずは自分のお気に入りの音楽を聴きながら、ウォーキングや軽いジョギングから始めてみてください。きっと楽しくて、辞められなくなってくるでしょう。