生理痛で下痢になることがある!? その理由と対処法が知りたい

2017/8/7

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

「生理中に下痢になりやすいかも・・・」と感じたことはありませんか?
実はお腹の痛みや腰痛、頭痛のように、下痢もまた生理痛の症状のひとつです。
ここでは生理痛による下痢の原因や対処法をご紹介します。

生理時に下痢をしやすくなるのはどうして?

生理時の下痢の主な原因は、生理中に分泌されるプロスタグランジンという生理活性物質です。
プロスタグランジンは子宮内膜を収縮させ、不要になった内膜を血液と一緒に月経血として子宮の外に出す役割があります。生理の時にプロスタグランジンの分泌量が増えるのは出血量を低下させるためです。
しかし、プロスタグランジンの分泌量が多い場合や子宮の中に溜まってしまった場合、子宮や周りの血管が必要以上に収縮して下腹部痛を引き起こす原因になります。このときに子宮だけでなく胃腸にも影響が及び、下痢になってしまうのです。

生理痛に伴う下痢を和らげる方法は?

ただでさえ辛い下腹部の痛みに下痢の症状が加わると、さらに不快に感じますね。
ここでは生理時の下痢を落ち着かせる方法をご紹介します。

下痢止めを服用する

薬によって腸の過剰な動きが止むので、下痢の症状を素早く止めることができます。
しかし一般的な下痢止めはプロスタグランジンに働きかけるわけではないので、あくまで一時的な対処法です。

体を温めて血行を良くする

体を温めることで血行を良くして症状が軽くなることが示唆されています。
生理中の下痢が辛いときは以下に挙げる方法を試してみてください。

・温かい飲み物を摂る(ただしコーヒーはカフェインが多く含まれているので注意)
・シャワーだけでなく湯船にしっかりつかる
・アロマオイルを垂らした足湯で足を温める

消化の良い食事と水分補給を

下痢のときには脂肪分が多いものや刺激の強い料理は避け、胃腸に負担がかからない食事を摂りましょう。

また、下痢によって体液の排出量が増えているため、水分を普段よりも多めに補給してください。
その際は冷たいものではなく、常温か温かい飲み物を飲みましょう。

生理時の下痢を予防することはできる?

生理痛を招く大きな原因であるプロスタグランジンが過剰に分泌される原因の一つにホルモンバランスの崩れがあります。
女性ホルモンのバランスは、忙しさなどを理由に睡眠不足や栄養の偏った食事など不規則な生活習慣を続けることで不安定になってしまいます。

生理時の下痢や痛みなどの症状が起きたら、その場で対応することはもちろん大切です。
しかし、生活習慣が要因となっている場合は普段から寝不足や冷えを防ぐなどの工夫をして、根本から生理痛や下痢の症状を予防することが最も効果的でしょう。

おわりに:下痢になったら無理をせずしっかり休もう

いかがでしたか?
生理時の下痢でお悩みの場合は今回ご紹介した方法などを取り入れて、症状を和らげるのに役立ててください。
また、症状が辛いときには下痢止めを利用したり体を温めたりしながら・・・無理をせずに休むようにしましょう。

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