記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/8/9
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
なかなか便が出ずにお腹が苦しくなる「便秘」ですが、便秘に苦しむのは大人だけではありません。赤ちゃんも便秘になってしまうことがあります。では、赤ちゃんが便秘になったらどうすればいいのでしょうか。保護者の方はぜひご一読ください。
一般的に赤ちゃんの便秘は、ミルクなどの水分や食物繊維の摂取不足が原因で引き起こされるものです。まれに特定の病気が原因で便秘を発症してしまう場合もあります。
赤ちゃんの排便の頻度は月齢や育児方法によって異なります。母乳育児の場合、便秘はまれですが、生後最初の週での排便回数が1日5回未満であれば便秘の可能性があります。その後、6週から3ヵ月頃には1日に1回、2〜3日に1回まで減ることがありますが、赤ちゃんが3日以上排便していない場合は、便秘の可能性が高いです(ミルク育児の場合は5日以上)。
赤ちゃんの便秘の解消法は、固形食を食べているかいないかによって異なります。詳しくは以下のとおりです。
固形食デビュー前の赤ちゃんが便秘になってしまった場合、まず最初にやるべきことは食事と食事の間に水分(母乳やミルク)を摂取させることです。調合乳を与えている場合は薄めることはせず、製品の指示どおりにつくってください。
また、おすすめなのがマッサージです。赤ちゃんの足を自転車をこぐように優しく動かしてあげたり、丁寧にお腹をマッサージしてあげることで腸の働きを促すことができます。
すでに固形物を食べている赤ちゃんの場合、水や薄めたフルーツジュースをたくさん与えましょう。赤ちゃんの歯の成長状況に応じて、ピューレ状のものや細かく刻んだ果物をなるべく多く食べさせてください。赤ちゃんの便秘改善におすすめの果物としては、以下のものがあります。
・りんご
・あんず
・ぶどう
・桃
・梨
・プルーン
・いちご
水分の摂取量を増やしたり、食事を改善したりしても便秘が治らない場合は、病院で下剤を処方してもらう必要があるかもしれません。膨張性下剤は赤ちゃんには適していないため、浸透圧性下剤を処方されるのが一般的です。
また、珍しいケースですが、赤ちゃんの便秘は以下の病気のサインの可能性があるため、治らない便秘や長続きする便秘の場合は早めに病院を受診しましょう。
・ヒルシュスプルング病
腸の動きを制御する腸の神経節細胞が生まれつき無いために、重い便秘症や腸閉塞を起こす病気です。
・直腸肛門奇形
赤ちゃんの肛門や直腸が正しく形成されていない病気です。
・脊髄異常(二分脊椎症や脳性麻痺など)
・囊胞性線維症
粘り気の強い粘膜をつくる遺伝子の病気です。便秘につながることがあります(ただし日本では極めてまれです)。
赤ちゃんの便秘のほとんどは、水分や食物繊維の不足が原因です。まずは食生活を改善させてみてください。それでももし効果が得られなかったり、便秘が慢性化したりしている場合は、病気の可能性もあるので病院を受診することをおすすめします。