記事監修医師
産業医科大学第1外科
佐藤 典宏 先生
2017/3/7
記事監修医師
産業医科大学第1外科
佐藤 典宏 先生
緊張や不安などのストレスは
起きているときだけでなく、
寝ているときの身体にも悪影響を与えます!
その代表的な症状「不眠症」と、
無自覚に発症している可能性のある「歯ぎしり」
の2つのトラブルを今回はご紹介します!
ストレスにより、不眠症になることがあります。詳しくは以下を参照してください。
成人は毎晩約7〜8時間の睡眠が必要ですが、不眠症になると、眠れない、夜間に目を覚ましてから寝つけない、朝早く起きるといった症状が現れます。
不眠症を抱えている人は数多く、4週間以上続く場合は慢性的な不眠症となります。
ただし、必要な睡眠の量は成人期を通して一定していますが、睡眠パターンは年齢とともに変化する可能性があります(高齢者は夜間には眠りが浅く、日中に昼寝するなど)。
不眠症は精神的にも肉体的にも影響を与え、日中の仕事などが困難に。十分な睡眠を定期的に取らないと、高血圧、心臓病、糖尿病などの病気のリスクが高くなるといわれています。
不眠症を引き起こす可能性のあるものには、以下があります。
・ストレス
・不安
・うつ病
・カフェイン、アルコール、ニコチンの過剰な摂取
・関節炎などを原因とする痛み
・労働時間の変化
・不規則な睡眠スケジュールなどの睡眠不足
・眠れないほどの心配ごと
・特定の薬(心臓・血圧の薬、アレルギー薬、コルチコステロイドなど)
なお、不眠症の原因が明らかでない場合は、睡眠記録をとるよう指示されることがあります。いつ寝るか、寝るまでにどれくらいの時間がかかるか、夜に起きる頻度、朝起きるか、どれくらい眠るかを記録します。睡眠記録は、睡眠に影響を与えるパターンや状態を特定するのに効果的です。
病院で受けられる代表的な治療には、以下のものがあります。
・行動療法
睡眠への不安を取り除く方法を学びます。
・筋肉のリラクゼーションや深呼吸の指導
リラックスにつながります。
・(不眠症の原因が特定の薬の場合)代替薬を処方する
・睡眠薬を処方する
処方箋の睡眠薬は不眠症に効果的ですが、副作用が出る場合もあります。
主な副作用には、過度の眠気、思考の停止、平衡感覚障害などがあり、深刻な場合は顔の腫れ、重度のアレルギー反応、睡眠中の異常行動(運転や食べ物の摂取など)が出る恐れがあります。そのため、基本的には長期間服用しないことが望ましいです。
また、睡眠薬は不眠症を一時的に改善させるだけで、根本的に解決させるわけではないという点にも注意!定期的に使用すると、不眠症が再発する可能性があります。
特定の病気の場合は、睡眠薬の服用が危険な可能性もあるので、詳しくは医師に相談してください。
なお、市販の睡眠補助剤やサプリメントですが、これらも長期間の服用にリスクがあります。服用している間の飲酒は避けてください。
安全性に関して保証されたものではないため、試す前には必ず医師に相談してください。
ストレスが原因で歯ぎしりが引き起こされることがあります。詳しい症状や治療法は下記をご覧ください。
歯ぎしりは、歯を意識的または無意識にきしませることで、子どもに起こるケースが多いです。通常、子どもの約20%〜30%が睡眠中に歯ぎしりをしており、不安になると日中でも歯ぎしりをすることがあります。ほとんどの場合、永久歯が生える頃には、歯ぎしりをやめるようです。
歯ぎしりをすると、特に目を覚ました時に、顎が痛くなります。
特に深刻な症状ではありませんが、歯ぎしりは歯のエナメル質を削ることがあるので、放置すると、歯が摩耗したり欠けたり、知覚過敏などのトラブルになります。また、頭痛、耳痛、および顔面の痛みにつながる可能性があり、 過度の歯ぎしりは、顎関節症(TMJ)を引き起こす可能性があります。
以下のような感情面との関連性が指摘されています。
・不安
・ストレス
・緊張
・うつ病
・摂食障害
また、多動性障害や脳性麻痺などの子どもの場合や、ある種の薬も、歯ぎしりの発症率を高めます。歯の位置が正しくない場合も発生します。
まず、就寝時に落ち着ける環境をつくることが大切です。下記の方法を試してみてください。
・寝る数時間前に、テレビや電子機器を観ない
・落ち着いた音楽を聴く
・お風呂で身体を温める
・読書する
夜間にマウスガードを着用させることから始めます(子どもの場合は、歯に合わせて特別に作られています)。ガードを装着すると、上下の歯が接触することが防止され、歯ぎしりがなくなります。
また、ストレスが原因の歯ぎしりは、抱えている悩みを解消することで、症状を緩和することもできます。改善の兆候がない場合やメンタルの問題が深刻なように感じたら、医師に相談して、治療法を検討してください。
不眠症の場合も歯ぎしりの場合も、根本的な原因であるストレスを解消することが一番です。正しい治療法を選択しつつ、健やかな眠りを取り戻していってくださいね。