お酒を飲まないのに脂肪肝!? ~ 非アルコール性脂肪肝疾患とは ~

2017/9/7

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

「脂肪肝=お酒の飲みすぎで起きる」というイメージをお持ちの方は多いと思いますが、実はお酒を飲まない人でも脂肪肝を発症することがあります。ここでは、そんな「非アルコール性脂肪肝疾患」について全般的な情報をお伝えしていきます。

非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)とは

お酒を飲まないのに発症する「脂肪肝」を非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)といいます。ほとんどの場合NAFLDは無害であり、重大な病気を引き起こすわけではなく、肝臓の働きにも影響しません。NAFLDを発症すると、腹部の中央や右上側に痛みや張りを感じたり、疲れを感じたりすることがありますが、こういった症状が出ない人も少なくありません。深刻な場合、肝臓の機能が停止してしまうことがありますが、これは極めてまれなケースです。

なぜお酒を飲まないのに脂肪肝になるの?

非アルコール性脂肪肝疾患の主なリスク要因は、肥満、糖尿病、高コレステロールなどの生活習慣の乱れです。太りすぎの方や糖尿病患者、腎臓病患者の方は発症する可能性が高いので注意が必要です。また、特定の医薬品や遺伝病などによって発症リスクが高まるケースもあります。

非アルコール性脂肪肝疾患を放置するとどうなる?

NAFLDを治療しないまま放置すると、肝臓が腫脹して非アルコール脂肪性肝炎(NASH)を引き起こし、肝硬変や肝臓がんに進行してしまう恐れがあります。

非アルコール性脂肪肝疾患の治療法は?

基本的には生活習慣病がきっかけで発症する肝臓病のため、治療にあたっては食生活の改善や定期的な運動、適切な睡眠といった生活習慣の改善をしていきます。ただし、体重を急激に落とすと症状が悪化することがあるので、安全に体重を減らす方法については予め医師に確認するようにしてください。

なお、コレステロール値や血糖値が高い場合は、薬物療法が必要になることがあります。また、服用中の薬がNAFLDを引き起こしている可能性がある場合は、処方薬が変更されることもあります。

おわりに:脂肪肝を改善する第一歩は、生活習慣の見直しから

お酒を大して飲まなくても、日常的に脂っこいものを食べすぎたりしていると、脂肪肝を発症してしまうことがあります。脂肪肝は進行すると肝臓がんにも発展する恐れがあるので、なるべく初期のうちから生活習慣を見直し、健康的な食事と定期的な運動を取り入れましょう。

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