突発性難聴、治療しても完治しないことがあるって本当!?

2017/8/28

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

突発性難聴は治療によって治ることも多いですが、発症から時間が経ちすぎている場合や原因によっては後遺症が残ってしまうケースもあります。
この記事で突発性難聴の治療や対処法について詳しく見ていきましょう。

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突発性難聴は薬で治療するのが一般的

突発性難聴は突然耳が聞こえにくくなる病気です。
聞こえなくなる原因や聞こえの程度は人によって様々ですが、同時に耳鳴り、耳の閉塞感、めまいを感じることが多く、ときには吐き気を伴うこともあります。
男女問わず40~50代の発症率が高いですが、高齢者や子供にも症状があらわれます。

突発性難聴の治療には以下のような薬剤を使うことが一般的です。

ステロイド薬
急な神経麻痺や神経のむくみを解消する
循環改善薬
内耳の血行を良くする
ビタミン薬
内耳の治療に効果がある

ただし、糖尿病や腎疾患がある場合には血糖コントロールや腎臓の状況を確認しながら投薬を行うため、入院して治療を行う必要があります。
また、場合によっては神経系へのアプローチを行うこともあります。

治療すれば、聴力は元通りになる?

治療は早ければ早いほど効果を発揮しますが、突発性難聴の発生から2週間以上が経過していると聴力の回復は難しいです。
また、治療後に聴力が回復しても後遺症が残る可能性もあります。

聴力が回復しなかったときにできること

聴力が回復しなかった場合は、補聴器や人口内耳などを使って弱くなった聴力を補う方法があります。
それぞれの方法について見ていきましょう。

補聴器

補聴器は音を拡大し、音がよく聞こえるようにサポートしてくれる機器です。
加えて、入ってきた音を加工して聞きやすくするという働きを持ち、耳の後ろに装着するものから耳の穴にはめるものまで様々なタイプがあります。

人工内耳

人工内耳は補聴器で効果が得られなかった聴覚をサポートする唯一の人工臓器です。
蝸牛(かぎゅう)という聴覚器官に代わって音を電気信号に変換し、直接神経を刺激して脳へ電気信号を送ることによって脳が環境音や音声、言葉を認識できます。
その多くが手術で耳の奥などに埋め込む部分と音をマイクで拾って埋め込んだ部分へ送る体外部で成り立っています。

ただし、人工内耳の移植が可能かどうかを判断するには厳しい選択基準をクリアしなければなりません。
また、聞こえ方には個人差があるため、人工内耳移植を受けた場合は専門家による聴覚とコミュニケーションの訓練を受ける必要があります。
さらに、手術後すぐに人工内耳を使えるわけではありません。

突発性難聴が再発することはある?

突発性難聴が治療後に再発する心配は通常はほとんどありません。
繰り返し発症する場合は腫瘍やメニエール病などの他の病気が関係している可能性があるため、すぐに医師の診察を受けましょう。

おわりに:治療を始める時期が早ければ早いほど、完治する可能性は高くなる

突発性難聴は治療開始までが早いほど治る可能性が高いです。
しかし、突発性難聴発症から2週間以上が経つと聴力が回復する見込みは低くなります。
最悪の場合、聴力を完全に失ってしまうこともあるので、急に耳が聞こえないと感じたらすぐに医師の診断を受けてください。

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