ナルコレプシーってどんな病気? ~ 突然強い眠気に襲われたら要注意 ~

2017/8/28

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

日中、急な眠さに襲われて、気づいたら眠っていた……、そんな経験はありませんか?
それって、睡眠障害の1つ「ナルコレプシー」かもしれません。この記事では、ナルコレプシーについてまとめました。

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ナルコレプシーってどんな病気?

夜十分に睡眠をとっているはずなのに、昼間の眠気が強く、目覚めていられない状態を過眠といいます。健康な人でも午後になると体内時計の働きによって眠気が強まりますが、眠ってはいけないときには意志の力で目覚めていることができます。

しかし、過眠は深刻で、認知機能や身体機能に影響を与えることがあります。肥満や心臓発作、脳卒中、糖尿病などになる可能性も高まります。

過眠があると、パソコンに向かって仕事をしていたり、会議で他の人の話を聞いていたりすると居眠りをしてしまいます。入学試験や顧客との商談中など、通常では考えられない状況で居眠りをすることもあります。居眠りや集中力の低下により、学業や仕事に支障がでるだけでなく、転落・転倒や交通事故の当事者となりやすくなり、特に居眠り運転では無関係な人に傷害を負わせてしまうことがあります。

職業運転手や大型機械オペレーターなどでは産業事故を引き起こすことがあります。

過眠を引き起こす病気はいくつかありますが、大きく分けて、「1. 睡眠中の身体の症状のために深く眠ることができず、慢性の睡眠不足となってしまうもの」「2. 脳の中の睡眠を調節する機構がうまく働かず、日中に強い眠気が出現するもの」の2種類に分けられます。

後者の代表的なものがナルコレプシーです。ナルコレプシーでは夜十分な睡眠をとっていても昼間に突然眠気に襲われ、居眠りしてしまいます。

ナルコレプシーの眠気は強烈で、「睡眠発作」と呼ばれます。入学試験中や初めてのデート中、顧客との商談中に眠り込んでしまうほどです。また、眠気が襲ってきたことに気づく前に眠り込んでしまうため、居眠りをしたことに本人が気づかないこともあります。
【出典:厚生労働省ホームページを編集して作成 https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-02-002.html

ナルコレプシーの4つの代表的な症状って?

ナルコレプシーに特徴的な症状として、以下の4つが挙げられます。

睡眠発作

上記でも説明している突然の眠気である日中の「睡眠発作」で、突然、筋緊張が失われることが特徴です。

情動脱力発作

びっくりしたり大笑いしたりしたときに全身や身体の一部の力が抜けてしまうものです。
カタプレキシーともいいます。

入眠時幻覚

寝つこうとすると幻を見ることがあります。

睡眠麻痺

寝入りや寝ている間に、体が硬直し出現する”金縛り”が起こることがあります。

ナルコレプシーの原因は?

ナルコレプシーは目を覚まし続ける役割を持っているヒポクレチンあるいはオレキシンといわれるタンパク質を作り出すことができなくなることによって起こります。

近年、ナルコレプシーが、脳の中のヒポクレチン(オレキシン)を作り出す神経細胞(ヒポクレチン・ニューロンあるいはオレキシン・ニューロンといいます)が働かなくなることによって起こることがわかりました。
この神経細胞が働かなくなる遺伝子異常が犬のナルコレプシーの血統で見つかったこと、同様の遺伝子異常が組み込まれたネズミでナルコレプシーの症状が出現すること、ナルコレプシー患者さんでは脳脊髄液中のヒポクレチン(オレキシン)がほとんど消失していることから、確認されたものです。

【出典:厚生労働省ホームページを編集して作成 https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-02-002.html

ナルコレプシーは、神経障害である睡眠障害を正しく診断し治療することが重要です。

強い眠気が続いているな・・・と思ったら検査を受けよう

ナルコレプシーは、神経障害の中の睡眠障害の1つです。正しく診断を受けて、治療することが重要です。治療は、精神刺激薬や抗打つ薬などの薬物療法が行われます。

おわりに:ナルコレプシーは怠け病ではなく、治療が必要な病気です

ナルコレプシーは、たくさんの人がかかる病気ではありません。ほとんど知られていないのと、突然寝てしまう症状から、周囲の人から怠けていると偏見の目で見られることも多いです。きちんと病院で治療しましょう。

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