生理痛(月経痛)を和らげる方法と生理痛がある人とない人の違いとは

2017/8/14 記事改定日: 2018/7/13
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

生理痛が重くて生理意中は寝込んでしまうという人がいる一方で、生理時に痛みが無い・ほとんど感じないという人もいます。
その違いはどこにあるのでしょうか?
この記事では、生理痛の解消法とあわせてその理由について見ていきます。

月経(生理)で痛みが起きる原因とは?

人によって程度は異なりますが、生理痛が起こるのには理由があります。
ここでは生理痛が起きる主な原因を3つ紹介します。

プロスタグランジンの分泌量が多い

生理時にはプロスタグランジンという生理活性物質が分泌されます。
プロスタグランジンが月経血を排出しようと子宮の収縮を促すために、下腹部の痛みや腰痛などの生理痛が起るのです。

体の冷え

生活習慣や食習慣によって体が冷えやすい状態にあると全身への血液循環が悪くなるため、生理痛が起こりやすくなります。

子宮が未発達である

子宮が充分に発達していない場合、子宮口が狭いために月経血の排出がスムーズにできず、さらに子宮の収縮が促されることで痛みが強くなることがあります。
この場合は、産道が広がる出産後や子宮の成熟と共に生理痛が軽くなる傾向が高いです。

生理痛がある人とない人の違いは何?

生理痛があるかないかの違いは、上の項目で紹介したように「プロスタグランジンの分泌量、子宮口大きさ、生活習慣」などが原因で生じていると考えられます。

骨格や体質が異なるように生理痛にも個人差があるのは自然なことです。
痛みが辛いと感じたら婦人科の医師に相談して、ご自身の症状にあったケアを教えてもらいましょう。

どうすれば生理時の痛みを和らげることができる?

生理痛の原因にアプローチすることで痛みを軽くすることができます。
ここでは生理痛の緩和に効果的な方法をいくつかご紹介します。

適度な運動で血行を良くする

ウォーキングやジョギング、ヨガなどの運動は、月経前に起こりがちな骨盤の血流の滞り(これがあると生理痛が起こりやすくなる)の解消に効果的です。
また、血行が良くなるので冷えの防止にもつながります。

痛み止めを服用する

痛みがひどいときは我慢せずに鎮痛剤を服用しましょう。
鎮痛剤は生理痛が起きる前に飲むことで、少量でも効果があらわれやすくなります。

低用量ピルを服用する

低用量ピルは排卵を一時的に止めて生理痛の原因となるプロスタグランジン量を抑えることで、痛みを軽減しくれます。
服用中は排卵をストップするため、月経血量を減少させたり、月経前症候群(PMS)の症状を軽くする効果もあります。

生理痛がまったくないのは無排卵月経の可能性も・・・

無排卵月経は月経中に排卵がない状態のことです。
ストレスやホルモンバランスの乱れによって起こり、主に生理周期が不定期(周期が整っている場合もある)、月経血量が異常に少ないあるいは多い、生理痛がないなどの症状が見られます。
排卵障害の一種で、そのままでは妊娠することが難しくなります。
思い当たる症状があれば、早めに婦人科で診断を受けましょう。

無排卵月経はほとんどの場合、排卵誘発剤で排卵を促す、ピルでホルモンバランスを整えるなどの方法で治療します。

そのほか、ひどい生理痛を引き起こす病気はある?

生理痛は健康な人であっても起こりうる症状ですが、中には子宮の病気が原因となっている場合があります。
生理痛を引き起こす病気としては、子宮内膜症、子宮筋腫、子宮腺筋症が挙げられます。

子宮内膜症は、子宮内膜が子宮内ではなく卵巣や卵管、腹腔内などに増殖する病気です。これらの子宮内膜は、女性ホルモンの働きによって増殖・脱落を繰り返し、生理の時期になると増殖した組織が脱落するため非常に強い痛みを生じます。

子宮筋腫は子宮の筋肉にできる良性の腫瘍のことです。成人女性の4人に1人は子宮筋腫があるといわれていますが、大きくなると生理の出血量が増え、周囲の臓器を圧迫することで下腹部痛を引き起こします。

子宮腺筋症は子宮内膜に類似した組織が子宮に筋肉内にできる病気であり、子宮の壁が厚く硬くなることで、生理の出血を排出する際に非常に強い収縮が生じるため、強い生理痛が生じるのです。

どんな状態のとき病院に行くべき?

生理痛は誰にでも起こる症状ですが、次のような症状がある場合には病院へ行って、子宮内膜症を始めとした病気がないかどうかを検査してもらいましょう。

  • 経血量が多く、レバーのような血の塊が出る
  • 常に貧血症状がある
  • 性交時に腹痛が生じる
  • 排尿時や排便時に痛みが生じる
  • 生理の時以外にも下腹部痛を生じることがある
  • 不妊である

おわりに:生理痛を緩和するために、生活習慣の改善から始めてみよう

生理痛が起きたその場その場で対処することももちろん大切ですが、生理痛を和らげるには根本からの改善が重要です。
体を冷やさない、きちんと睡眠を取ってホルモンバランスを整えるなど、生活習慣を改めることから始めましょう。

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