記事監修医師
産業医科大学第1外科
佐藤 典宏 先生
2017/3/4
記事監修医師
産業医科大学第1外科
佐藤 典宏 先生
どの季節でも発症のリスクがあるのが「食中毒」。
かかれば健康な人でも体調不良になりますが、
ひどい場合は深刻な病気や、死に至る危険性もあります。
「食中毒」というと、レストラン、カフェ、ファーストフードなど
外食が原因と考える人が多いと思いますが、
実は、自宅で作った食事から発症するケースも多いのです!
(台所のシンクにはトイレより10万倍多くの細菌がいると示した研究もあります)
今回の記事では、
家での食中毒のリスクを減らすための方法をご紹介します。
手は細菌が広がる主要原因の1つです。実際に、大腸菌、カンピロバクター、サルモネラ菌のような細菌は、手、生の食品、ペットを通して台所に入ってくるそうです。
肉、魚、卵、野菜などの生の食品を扱ったり、ゴミ箱に触れたり、トイレに行ったり、鼻をかんだり、ペットに触れたりした後は、調理前に必ず石鹸とお湯で徹底的に手を洗ってください。
生肉、生卵、魚、野菜などが触れた調理台は、調理の前後にお湯と石鹸できれいに洗ってください。抗菌スプレーを使用する必要はありません。
ふきんやスポンジは頻繁に洗って再使用する前に乾かし、定期的に交換してください。汚れて湿ったふきんやスポンジには、細菌が繁殖しやすくなります。
生の食品とそれ以外で、別のまな板を使ってください。生の食品には、ほかの食品や調理台、まな板、包丁などに広がりやすい有害な細菌が含まれている可能性があります。
また、まな板には便座よりも約200%多くの細菌がいるとも言われています。使用時はしっかり洗ってください。
生肉をサラダ、フルーツ、パンなどから離すことは特に重要です。サラダやパンなどは調理をしないため、ついた細菌が死なないまま口に入ってしまう危険性があります。
ほかの食べ物に触れたり、血がしたたったりしないよう、生肉は常に密閉して冷蔵庫の下段に置いてください。
火の通りが不十分なことが原因で食中毒になることがあります。以下の点に注意してください。
適切な温度で調理すれば、確実に滅菌できます。だからこそ、食べ物にきちんと火が通っているか確認してください。特に以下のものは注意が必要です。
・鶏肉
・豚肉
・レバーを含む内臓肉
・ハンバーグ
・ソーセージ
・肉の塊
・ケバブ
生肉には繁殖力の強い有害な菌が含まれていることがあります。これらを調理するときは、肉の内側がピンク色でなく、肉汁が透明か確認するため、真ん中を切るようにしてください。
なお、台所中に細菌が広がる危険があるので、調理前に生肉を洗わないでください。
一羽まるごと調理するときは、足の最も太い部分(足とももの間の部分)に穴をあけて、ピンクの部分がないか、肉汁が赤っぽくないかを確認します。
また、冷凍させるとカンピロバクターの量が低下しますが、完全に死ぬわけではありません。完全滅菌する最も安全な方法は、しっかり加熱することです。
肉の中心に串を刺し、肉にピンクの部分がなく、肉汁が透明なことを確認します。
表面が高温ですばやく調理されている場合は、レアだとしても安全です。
一番安全で簡単な方法は、オーブンで食べ物を十分に調理してから、味がよくなるように、短時間バーベキューコンロで調理することです。
もしコンロだけで調理する場合、主に次の2つのリスクがあります。
・生焼けの肉
・ほかの食品に生肉の細菌が広がる
なお、肉をコンロで調理するときは次の点も確認してください。
・炭は粉だらけの灰色で表面で赤々と光っているか(十分に熱くなっていることを示す)
・冷凍肉は調理前に適切に解凍する
・均等に焼けるように肉を定期的にひっくり返す
また、使い捨てのバーベキューコンロは長持ちしないことも覚えておいてください。
冷蔵庫内の温度を5℃以下に保ってください。冷たい状態を保つことで、食中毒のウイルスの増殖を防ぎます。
すぐに食べない物をつくった場合は、できれば90分以内に冷やし、冷蔵庫か冷凍庫に保管してください。また、冷蔵庫の残り物は2日以内に食べてください。
見た目が普通でも、消費期限を過ぎた食べ物は食べないでください。消費期限は、どれくらいの速さで有害なウイルスが現れるか、科学的な検証に基づき設定されています。
食べる前に、冷水で果物や野菜を洗うこともおすすめします。洗うことで、目に見える汚れや表面についている可能性のある細菌を除去できるからです。皮むきや調理でも病原菌は除去できます。
日ごろからキッチン周りを清潔にし、調理方法に気をつけることで、家での食中毒は予防できます。ひどい症状で苦しむ前に、上記のことを心がけてください。