記事監修医師
前田 裕斗 先生
2017/8/21
記事監修医師
前田 裕斗 先生
ある日突然、片方の耳が聴こえにくくなる突発性難聴。その原因ははっきりしておらず、毎日騒音にさらされている人でなくても起こりえる病気です。最近は若い世代にも増えているという難聴の原因は、ストレスなのでしょうか?
難聴といえば、老人性難聴に代表されるように、高齢者のものというイメージは強いでしょう。しかし近年、若者の間にも難聴になる人が増えています。
その中でも、突発性難聴は年間3万人~4万人が発症するとされ、誰にでもおこり得る病気です。
ウイルス感染説や内耳の血流が悪くなって起こるなど、諸説ありますが、原因はまだはっきりとわかっていないのです。
現代生活の中では、ほとんどの人がそれぞれストレスを抱えて生きています。ストレスは免疫力を低下させたり、循環器の不調や、自律神経が乱れにより血流障害を引き起こします。そこに不規則な食生活や生活習慣の乱れなどが重なり、さまざまな病気を誘発します。
実際、内耳の血管がストレスによって収縮させられ血行が悪くなり、難聴を引き起こすことは十分考えられることでしょう。
ある時突然、片方の耳(稀に両耳)が聴こえにくくなります。文字どおり、“突然”起こるため、突発性難聴になった人は、聴こえにくくなったときの状況をはっきり覚えていることがほとんどです。
同時に起こる症状としては、耳鳴り、回転性のめまいや体のふらつき、耳が詰まった感覚、めまい、吐き気などがあります。
ストレスが原因となっていると考えられる以上、やはりそのストレスを取り除くことが最適な改善方法といえるでしょう。
しかし、突発性難聴が完治するかどうかは、発症後、どれだけ早く受診したかが重要になってきます。
症状を自覚したら、48時間以内に医師にかかってください。できれば1週間以内、遅くても2週間以内に受診しましょう。それをすぎるとどんどん完治の確率が下がっていき、1ヵ月後以降になると完治の見込みはほとんどなくなるとされています。
難しいことですが、常にストレスコントロールを意識しましょう。なるべくストレスを感じない、もしくは感じてもそれを病気の原因としないような心の持ち方、生活態度を実践することが大切です。
また、規則正しい生活をおくることや栄養バランスのとれた食事を摂ること、疲労をためないこと、質の良い睡眠をとることを心がけましょう。
このことは、免疫力の低下を防ぎ、ウイルス感染による突発性難聴を防ぐことにもつながります。
さらに、このような生活習慣により、ストレスからの攻撃にも強い体をつくっていけるでしょう。
「心因性難聴」があります。これは子供に多い難聴であり、いじめなど学校生活の中で経験する問題や、一人親家庭で感じる孤独感などがストレスとなり、そこから逃避するために難聴を発症します。
耳の器官には明らかな異常がみられないにもかかわらず、心の問題が原因で聴こえなくなってしまうのです。
もちろん、会社や家庭で問題を抱え、ストレスを感じている大人も発症します。
治療法としては、原因となっているストレスを見つけ、状況の改善ができるように指導したり、精神科医による心理療法を受けるなどが挙げられます。
耳の機能に異常はないため、治療や投薬は通常行いません。
突然、発症する突発性難聴。片側の耳は正常に聴こえるため、軽症で、ひどいめまいも起こらないといった場合、難聴自体に気づけなかったり、治療を後回ししたりしがちです。
しかし、突発性難聴の治療は、いかに早くスタートさせるかが重要です。気になる症状があるときは、すぐ耳鼻科を受診しましょう!